山田風太郎明治小説全集 (3) (ちくま文庫 や 22-3)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (387ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480033437

作品紹介・あらすじ

明治の東京、孫娘を横に乗せ辻馬車を走らせる元会津藩士、干潟干兵衛。この孫娘と祖父は大山巖、三遊亭円朝、坪内逍遥、川上音二郎、自由党壮士らが引きおこす事件に巻き込まれていく-。時代にはじかれてしまった者たちの哀愁。

感想・レビュー・書評

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  • ミステリ、怪談、チャンバラ活劇にスパイアクション、カーチェイス。
    時代物の中にこれでもかと盛り込まれたサービス精神。
    これぞエンターテインメント。
    実在の多数の人物、多数の事件が虚実入り交じり、干潟干兵衛と孫娘お雛をのせた辻馬車を軸に収束していく様は見事。
    明治時代の独特の雰囲気もいいです。

    角川文庫版もありますが、ちくま文庫版の装丁のほうが味があって好きです。

  • 元会津藩士の老馬車御者を一応の主人公としつつも、多種多様な出自と職業を持つ人たちが微妙に関わりながら登場する。
    まさかの嘉納治五郎が姿三四郎を弟子にしており、大山巌の妻 捨松に横恋慕しているなんて、創作と史実の境界なんて意識せずに描き放題ですね。他にも幽霊と剣士を戦わせてみたり、山田風太郎氏ならではの自由な作風がとても楽しいです。

  • やまぷーの明治小説、自分にとっては3編目の本作品。
    ううむ。幽霊か……。まあ、全編に出るわけではないからいいけれども、歴史上の人物が数多登場する現実的(とはいっても山田風太郎的現実)な物語にいきなり幽霊出されてもなぁ(笑
    キングの作品とか『死神の精度』とか、幽的の類が出る小説も読むが、これはどうなんだろう……。
    「鹿鳴館前夜」なんて幽霊が殺人犯とされたが、ちゃんと下手人を登場させてほしい。これは下巻で判明するのだろうか?……ということで下巻に突入。

  • 山田風太郎「明治もの」第2弾。
    今回の主人公は、辻馬車の馭者で元会津藩士、干潟干兵衛とその孫娘お雛。自由民権運動の中、事件に巻き込まれてゆく展開。危機が訪れると干兵衛の死んだ息子が幽霊として登場するという、ちょっと変わった設定となっている。前編では「明治もの」ならではの実在の人物と架空の人物が入り混じった活劇だが、後編では前編で提示された謎が解決するはず。

  • 『幻燈辻馬車』がどこかで紹介されてたので読んでみた。そのときは「幽霊による勧善懲悪物語」みたいなものを想像したのだが、全く違った。
    明治の著名な人物が多数話に絡むのも大いに興味を引かれるのだが、特に、随所で描かれる、自分がいったい何者なのかを見失い、意味も理解できないままひたすら自由を叫ぶ自由党壮士の姿が痛ましかった。正しいことと間違ったことなど、時には見方の問題でしかないこともある。
    「人の世に情けはあるが、運命に容赦はない」
    明治という時代特有の空気に触れたような気がした。

  • 有名無名を問わない歴史上の人物と虚構の人物が入り乱れる山風お得意の明治もの。辻馬車が覗く明治期の人間模様がたまらなく魅力的。自由党を巡る騒動がどう動くのがが気になりつつ下巻ヘ♪

  • 明治小説!

  • 明治時代の著名人がちょいちょい顔を覗かせては過ぎ去ってゆくので、ちょっと覗きからくりを見ているような気分になった。
    雰囲気はいい。だが、どこか憂鬱。

  • 圓朝が出てきた。
    今夏は全生庵の圓朝まつりに行ったし、歌舞伎では幕末(勝小吉)ものを見たし。縁だなあ。

    結末をはっきりと予感させつつ~FIN~というのが小憎らしい。

  •  上下2冊を読んだ上での感想。

     雰囲気はすごくいいけど、小説としてもおもしろさはもうひとつなんじゃないかなって言うのが率直な印象。敢えて言うなら、通好みであり、通好みすぎるような感じがする。幽霊が出てきた時点でね。その幽霊が、けっこう俗っぽいのがねらいなんだろうけど、僕の好みには合わなかった。

     しかし、こういう視点から見ると、「明治維新」というのは悲惨な運命の上に立身出世があぐらをかいているような時代で、ものすごいなって思う。そういう意味でも、すごい小説だなと思ったけど、おもしろい小説だなとは思えなかった。
    2007/5/25

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著者プロフィール

1922年兵庫県生まれ。47年「達磨峠の事件」で作家デビュー。49年「眼中の悪魔」「虚像淫楽」で探偵作家クラブ賞、97年に第45回菊池寛賞、2001年に第四回日本ミステリー文学大賞を受賞。2001年没。

「2011年 『誰にも出来る殺人/棺の中の悦楽 山田風太郎ベストコレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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