ラスプーチンが来た 山田風太郎明治小説全集 11 ちくま文庫 (ちくま文庫 や 22-11)

著者 :
  • 筑摩書房
3.71
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本棚登録 : 110
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (508ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480033512

作品紹介・あらすじ

日露戦争中、ロシアの内乱を企て日本を勝利に導いた男、怪男児明石元二郎の若き日の物語。明治23年、ひそかに来日し暗躍していた怪僧ラスプーチン。彼はロシア皇太子襲撃を画策していた!?チェーホフ、二葉亭四迷、乃木希典、森鴎外までをも巻き込んで日本とロシアの大怪物の対決は続く。

感想・レビュー・書評

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  • ネタバレ!!!/下有劇情
    【8.5/10】

    第一次讀山田風太郎的明治系列,實在太有趣!主角是明石元二郎,是個不拘小節的豪傑,故事發生在年輕的他還在軍校時,因為受川上操六次長調查乃木將軍家的鬧鬼事件,而與乃木家馬丁津田七藏、竜岡一家認識,把雪香從可疑的神棍稲城黄天那邊給救了出來。然而神棍並不放棄一再糾纏雪香,都讓明石一一擊破。稻城在參觀四谷鮫ヶ橋貧民窟之後染指下田宇多子利用他的關係。

    拉斯普廷在樺太收到他人托轉寄日本的信,是一封瀕死的遊女(雪香的母親)所寄出的信。而他由於想接近皇室,得知太子之後要訪日,因此提前度日在物色女性(與其戀人),跟著長谷川辰之助(二葉亭四迷),在貧民窟展現他的特殊能力。雪香的弟弟是血友病患,雪香血友病的緣由之後不敢結婚(會藉由母親傳給男系),好不容易下決心嫁給明石,但後來為了救自己的血流不止的弟弟還是衝向拉斯普廷處。而拉斯普廷利用戀愛中的男人津田七藏,讓他和自己的哥哥互換,為了救雪香製造了大津事件攻擊太子,好讓拉斯普廷得以到太子御前,並引起太子注意。明石最後敗給拉斯普廷的超能力,沒能除掉他。

    **
    這個明石的爽快感(但是很沒衛生就是了),讓我想起隆慶筆下的主人公們如慶次跟山田的柳生十兵衛。行事破天荒,不受束縛,然後就是無比地強!明石給色狼稻城好看,每一次都很大快人心,特別是殘飯戰爭(幫貧民窟搶贏木村的いろは肉店當豬飼料。只是最後被稻城栽贓說是引入コレラ)。大概這種主角都很合我的胃口。卷末雖然他的乾坤一擲沒有成功,但是那種爽快感闔卷之後依然留在心中,這也是這部作品出色的地方。

    最厲害的還是作者編織明治的世相(大教堂、貧民窟、稻城、尼古拉太子訪日及大津事件),然後讓名人們紛紛登場卻又天衣無縫(連夏目跟正岡都出現幾行~),又具有極強的娛樂性絕無冷場,讀起來真的很歡樂,一開始讀的時候期待並不高,但這種久違的愉快的過程,令人欣喜。

    雖然最後結局有點寂寞,明石終究不敵拉斯普廷的妖術,雪香也被拐走,然後作者好像也沒寫續集,但是之後的明石成長為將才,可是在日露戰爭的幕後讓沙皇出足苦頭,而拉斯普廷死後一年帝制及沙皇一家於焉不存。能從歷史的縫隙鑽出這樣一個自成一格,雖然出現一堆異能人士但卻寫得很有說服力,還與歷史事件緊緊嵌合,這是非常高度困難的創作。畢竟有很多嘗試,不是被歷史綁太緊最終回歸平淡,或者是天馬行空到完全忘記應該要有一套邏輯和說服力。山田風太郎的明治小說是如此出色,讓我決定之後也要繼續讀作者其他的明治系列。

    突然想起,之前去聖彼得堡參觀過的尤斯托夫公爵暗殺拉斯普廷的宅邸裡的光景...。

  • ★いずれ、ロシアで逢おう(p.498)
    【感想】ラスプーチンについてはずっと昔コリン・ウィルソンの著作を読んだことがあるくらいですがてきとーに読み流してしまったのでまったく覚えてないです。まあ、強烈な人物だったというくらいの印象。今回の本ではすでに妖怪。
    【内容】日露戦争でかたちの上だけでも勝てたのはこの人のおかげかもしれないという大物スパイの明石元二郎の若かりし頃、豪放磊落で誰に対しても無遠慮で人タラシの彼はロシアからやってきた怪物と対峙する。稲城黄天という日本の怪人物とのいやがらせ合戦のさなかロシアからさらにとんでもない化け物がやってきて渦の中心になってしまう。

    ▼簡単なメモ

    【明石元二郎/あかし・もとじろう】後の大物スパイ。この話の時点では二十五歳。豪放磊落を絵に描いたような人物。なにをやっても人に好かれてしまうタイプ。
    【稲城黄天/いなぎ・こうてん】伊勢神道占(いせしんとうせん)という占いの主宰者。明石元二郎より二、三歳ほど年下のはずなのでこの時点で二十二、三歳くらいと思われる。乃木静子に作戦を与えた。静子は明石に似ていると言う。政治の中枢にまで入り込んだ怪人物で「日本のラスプーチン」と呼ばれることもあるらしい。名前は異なるが実在の人物がモデルらしい。
    【入沢達吉】ベルツ博士の弟子。後に天皇の侍医。
    【内村鑑三】下山宇多子が企画した下婢養成所にクレームをつけた。
    【川上操六】明石の上司。参謀次長。実質的なトップ。四十二歳。
    【木村荘平】いろは牛肉店の経営者。二十数軒の支店の支店長はすべて妾で合計三十人の子を生ませた。
    【座田重秀】森有礼のボディガード。西野文太郎を斬った。
    【サハリン】囚人のみの島。チェホフが旅の目的地とした。
    【下山宇多子】実在の人物がモデルのようだ。女子教育に力を入れている桃夭女塾の創始者。華族女学校でも教鞭を取る。稲城黄天と親しく愛人だったという説もある。
    【主役】《芝居なら知らず、ほんとうの人間の世界には、脇役というものはないもんだな、と明石は改めて感心した。》p.143
    【竜岡左京】伊勢神宮の神官で津田の恩人。息子の綱彦、娘の雪香とともに連れて東京に来た。妻は行方不明。
    【竜岡綱彦】左京の息子。血友病のようで一度血が出ると止まりにくい。
    【竜岡雪香】左京の娘。美人。稲城黄天に巫女にと望まれている。
    【タニジャキ・ジュンチロー】谷崎潤一郎かな? 谷崎活版所の子ども。幼い頃二葉亭四迷に連れられて建築中の聖ニコライ堂に登ったとき明石と出会う。
    【チェーホフ】この時点で新進気鋭の作家。医師でもあったらしい。雪香の母を看取りラスプーチンと出会う。
    【津田七蔵】乃木希典の馬丁。双子の兄、三蔵が滋賀県で警官をしている。
    【夏目漱石】正岡子規が喀血して明石元二郎に助けられたとき傍らにいた。
    【ニコライ大主教】聖ニコライ堂を建てた。その高さのことで乃木希典と言い争った。
    【乃木静子】希典の妻。姑と不仲で別居中。
    【乃木寿子】希典の母で希典より怖い。苛烈なスパルタ教育をおこなう。嫁いびりも得意。
    【乃木希典】家に幽霊が出るらしい。子どものしつけは超スパルタ。
    【西野文太郎】森有礼を襲った。
    【長谷川辰之助】→二葉亭四迷
    【二葉亭四迷】本名長谷川辰之助。建築中の聖ニコライ堂で明石と出会う。内村鑑三一行が極貧民街鮫ヶ橋を見に行ったとき再会し用心棒としてついてきた。
    【フルイスティ】ロシアの古くからの邪教。キリスト教の異端のようだ。自分を鞭打つ。ラスプーチンがその隠者マカルイに自分に訪れた奇蹟を話にいった。
    【ベルツ博士】エルウィン・フォン・ベルツ。医師。森林太郎の師匠。
    【正岡子規】学生の頃カッケツしたところを明石元二郎に助けられた。
    【松岡岩五郎】ジャーナリスト。二葉亭四迷とともに貧民窟を彷徨した。鮫ヶ橋の貧民窟などを描いたルポルタージュ「最暗黒の東京」を書いた。
    【森有礼/もり・ありのり】イギリスかぶれの文部大臣。四十二歳。
    【森林太郎】軍医大尉で陸軍軍医学校教官、陸軍大学教官となった超秀才。森鷗外。明石元二郎にベルツ博士を紹介してくれた。
    【ラスプーチン】グリゴリイ・エフィモヴィチ・ラスプーチン。怪僧。チェホフと出会った頃二十歳前後だったのではないかと思われるがすでに得体の知れないところがあった。不思議な力を持っているのはたしからしい。似たタイプでも稲城黄天よりだいぶ大物のようだ。

  • 豪放磊落な主人公・明石元二郎の魅力に負うところも大きいが、多くの怪人・奇人が跳梁跋扈し、悲劇・悲恋に彩られているにもかかわらず、全体的にユーモラスで爽やか。タイトルにもなっている怪僧ラスプーチンの何を考えているかわからない不気味さもいい。

  • 明石元二郎とラスプーチンが対決する。娯楽小説として面白かった。登場人物も豪華。山田風太郎は明治物がいい。

  • 明治もの唯一の長篇。ニコライ暗殺のためにラスプーチンが日本にやってきて、明石元二郎と対決する。まさに奇想そのもの。

    入れ替りトリックがミステリ風味。主人公に魅力あり。ちょっと前半がだるいか。相変わらず登場人物は豪華。

  • 続編作って欲しかった

  • 明石元二郎が巻き込まれた事件。乃木将軍の家の子供たちが恐れる幽霊の謎。乃木夫人が信仰する稲城黄天。黄天のねらう達岡家の娘・雪香。血友病の雪香の弟を人質に取る黄天。乃木の従卒・津田七蔵の協力。下山宇多子の下に秘書として働きに出た雪香。下山女史と黄天の関係。スラムにやってきた一行。スラムでの事件。雪香の死んだ母親の手紙を携えたラスプーチの来日。ロシア皇太子に近づこうとするラスプーチン。明石元二郎とラスプーチの戦い。大津事件の発生。

     2011年6月4日読了

  • 面白かった!
    本当にラスプーチンが出てくるとは思わなかったし、まさか二葉亭四迷だの夏目漱石だの谷崎潤一郎だのが顔をだしてくるとは思わなかったなあ

  • 東洋のラスプーチン飯野吉三郎の本って何かないかなー……と探してたときに出会った小説。と言っても飯野は別名で登場、タイトルのラスプーチンはまんま本物を指しています。
    明石元二郎を主人公に展開する大津事件ミステリ。ちょくちょく、乃木など有名どころが華を添えています。

  • 20090605−20090610★★★★★★★
    文春文庫
    1889(m22)-1891(m24)
    明石元二郎、川上 操六、乃木さん、長谷川辰之助(二葉亭四迷)、稲城黄天→飯野 吉三郎、下田宇多子→下田歌子→チェーホフ、ニコライ、内村鑑三、津田三蔵
    大津事件

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著者プロフィール

1922年兵庫県生まれ。47年「達磨峠の事件」で作家デビュー。49年「眼中の悪魔」「虚像淫楽」で探偵作家クラブ賞、97年に第45回菊池寛賞、2001年に第四回日本ミステリー文学大賞を受賞。2001年没。

「2011年 『誰にも出来る殺人/棺の中の悦楽 山田風太郎ベストコレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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