- Amazon.co.jp ・本 (569ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480034113
感想・レビュー・書評
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短編の推理物は未完成な感が否めないものが多いように感じた。実際乱歩も巻末の解説の中でいくつかの作品について完成度が低かったことを認めている。犯罪者の側の奇妙な性癖とか人間の根幹にある残虐性に絡めて、犯罪者が犯した事件を探偵なり警察なりが推理をして最後に捕まえる、といったものが僕は好きだ。
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江戸川乱歩の文庫コレクターなので、当然ながら全部持っているんだけど、「全短編」と言われると、つい購入してしまうわけですね。
で、その第1集は、乱歩の代表作でもある「二銭銅貨」を含み、前半は明智作品、後半はその他の、謎解きを中心としたものです。特に暗号を読み解く話が多く入っております。
当然再読のため、タイトルとオチは全部知っていましたが、改めて読むと面白いですな。流石に名作ぞろい。さらには、最終的に犯人と明かされる人物(パターンがあるので、薄々わかると思いますが)と対峙しての心理戦など、映像化前提で描かれる最近の作品とは、また違った醍醐味も有ります。
乱歩は、同じ時期に同じようなオリジナルの文章を使い回すことが多く有り、春陽堂などの短編集で「また火星の運河か」などとげっそりしたわけですが、本書はうまくバラされていて、夢遊病と暗号(割と簡単)くらいのため、続けて読んでもバラで読んでも面白い作品となっております。
kindle等の電子書籍での購入もおすすめの1冊。 -
初めて江戸川乱歩を読んだ。江戸川乱歩というとほとんど怪人20面相のイメージしかなかったので違う面を知りたいと思い読んだ。
短編集で読みやすく、構成も最後のどんでん返しが練られていて面白かった。
特に心理試験が最近読んだ罪と罰をベースにしており、それを思い出しながら読めたのが良かった。 -
読むのに結構時間がかかってしまったけど 楽しく読めた
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江戸川乱歩というビッグネームに構えて読んだら、驚いたことにかなりタッチが軽くて読みやすい。
よくもまあこれだけ書いたと思うほど短編の中にさまざまな種類の殺人やら事件やらが書かれている。
この人の書くミステリはなぜか、読み終わると微笑んでしまうような後味がいいものが多い。
個人的に好きなテーマはプロバビリティの犯罪。完全犯罪があるとすればこれはかなり近いと思う。
でも好きな話は「二銭銅貨」「断崖」「二癈人」「石榴」かな。
後者二つはラストがほぼ同じじゃないかということに今気付いたのですが、ストーリーとしてきれいに閉じてると思ったので。
「二癈人」は、既に扱った夢遊病者というテーマを今度はどう料理するのかな、とワクワクしていたところ、トリック云々より物語としてまとまりがよかった。
D坂は明智小五郎が出てました。もじゃもじゃ頭の天才探偵というキャラクタは多いものだ。
目撃者の証言があてにならないと明智さんは言ってましたが、そうなるとクイーン作品の微に入り細を穿つ賢い証言者たちはどうなるのでしょう。
いやいや言うまい。無粋である。
トリック云々で言うなら断然「石榴」一押し。
被害者の顔が硫酸でわからないほどぐちゃぐちゃだったとか、比喩に使った石榴をちゃんと最後でまた活かしてくるとか、小説的読み物としての魅力にあふれた作品。
主人公=犯人、被害者=犯人の図はいつでもそそるものさ。
もしこの人が「石榴」みたいな薄気味の悪い小説を書くのであれば、長編も読みたいなあ。 -
大正14年1月の作品。
証人が虚偽の証言をしたって、それってありなの?
明智小五郎初登場の作品だが、髪の毛をモジャモジャするあたりが金田一耕助っぽい。
若いな……、明智探偵……。 -
やっぱり二銭銅貨が好きですねー。
これにはD坂も入ってて良いですね。乱歩先生、やっぱり好きです。 -
大正から昭和にかけて発表された短篇集を集めた一冊。暗号解読がキーとなる「二銭銅貨」「黒手組」等が入っている。明智氏や小林少年がでてくるとやっぱり面白い。犯人の心の機微(動揺)がこまやかに描かれていてついつい続けて読んでしまう。第二巻も読みたくなる。
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これに収録された「二銭銅貨」がきっかけでミステリーにはまることに。
「人間椅子」「芋虫」など、謎を解き明かされていくドキドキ感と江戸川乱歩作品が持つ独特の妖しい雰囲気は病み付きになる。