私の幸福論 (ちくま文庫)

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著者 : 福田恒存
  • 筑摩書房 (1998年9月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480034168

私の幸福論 (ちくま文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 福田恒存全集を買って積んでみたはいいものの、これは未収録の模様。しかし、彼の作品というか、思考・精神に触れる意味で、これもまた重要な作品であることは間違いない。
    別に何かを解説しているわけでも平易なことばでわかりやすく述べているわけでもない。彼のことばで、かれの考えたことを書いているに過ぎない。しかし、彼のことばは、決して彼だけのものではなく、滔々と続く流れの中で、そして、世界そのものを相手取る、そういうことばであるから、ことばと共に生きる人間に伝わっていくのである。
    この点で、「わかる」ということばの普遍的な在り方が現れてくる。理解とは、頭でわかるだけのことだ。しかし、頭でわかる、このこと自体が実に難しいのである。頭でわかっても…というひとは、たいてい、頭でものをわかっていないのである。わかるということは、文字通り、あたまでしか無しえないことだというのをわかっていない。あたまというのは、細胞の詰まった脳みそではなく、脳みそを抱えて生きている、このあたまだ。わかるということは、生きていく中で見つけられ、培われていくもののはずだ。
    このひとは、誰かのことばを借りてそれを武器に戦っているのではない。自身のことばで、太古からのことばで考えている。それはソクラテスやプラトンといった古代から続いている。
    精神のバトンとは言い得て妙だと思う。そのバトンは2000年たった今も変わらずに次の世代へと受け渡されていく。どこへ行くか、誰に渡されるか、そんなものはわからない。つづく精神に出会うその時、はじめてそのバトンを受け取り、ひととして走り出そうと決意するのだ。そんなバトンを受け取り、また受け渡せる、こんな幸福なことはないのだ。なんとしても、このバトンをつながなければならない。ことばの中で、生れ、考えてしまったからには。
    家庭を持つこと、結婚すること、こどもを育てること、働くこと。どれをとったとしても、立ち上がった精神で生きるひとは、限られた生命の中で歩いていける。どこにいても、いつでも、孤独だからこそ結びつく喜びを愛おしく思える。孤独だからこそ、わかれる痛みと強さが抱えられる。そうやってひとは生きてきたし、これからも生きていくのだと思う。

  • いま、女性に対してリアリズムをつきつけるということは、メディアはおろか国も提示できない状態で、あと子どもにもそうだけど。ここに立ち返らないといけない場面て本当ににたくさん見かけるね、最近。著者が亡くなった20年前の比ではないと思う。その一方で流行りの芸能人がリアリストを気取るけれども、彼らは自分の発言がいかに論理性にもとづいていないか知るべき。「言いたいことも言えないこんな世の中じゃ」が、逆転現象を起こしてるね。そんな今読むからこそ面白い。

  • 本書は女性を主な読者の対象とされた。この幸福論に収録されているのは、最初の「美醜について」等、決して扱いやすいテーマばかりではない。著者が捉えた1970年代の慣習や事実をベースに論を展開している。違和感がある意見がないわけではないが、1998年の文庫化から16刷に至っていることから、多くの人々が支持する輿論なのだと思うことにした。個人的に興味深く読んだのは、「自由について」「教養について」であり、特に男女の性別を意識せずに頁を捲れた。

  • この本に出会えたことに感謝します。
    おかげさまで道が開けました。
    言葉ひとつひとつを再定義し、丁寧に順序よく、時には叱りつけながら心に突き刺してくる。いや、突き刺すというよりはぶつけてくる。いや、ぶつけるというよりは、意識すらしていなかった間違いを提示し、少なくとも間違った方向に進まないようにエスコートしてくれる。
    迷ったらここに戻ってきます。

    つねありさんまじあざす!

  • 数十年前に書かれたとは思えない。とてもしっくりきた。

  • 厳しく不合理な現実を突きつけながらも、著者の論旨は真摯で、論理的かつ説得的。
    幸福になるための安易な方法論ではなく、不幸にたえる術が示されている。

  • 大人の本だなあ( v_v)

  • 自由になる本。
    変えられない現実を受け入れ、手に余るものを捨てると、自由になれる。

  • 幸せになるために読みたいと思った。
    内容は厳しいものでしたが、とても大切なことに気づくことができました。

    まずなによりも信ずるという美徳を回復することが急務です。p.222

    一人でもいい、他人を幸福にしえない人間が、自分を幸福にしうるはずがないp.223

    快楽とは、おのれ一人にかかわる孤独な迷妄にほかなりません。(中略)快楽や快適を目指すところには、その底に利己主義がひそんでおります。p.211

    「不幸」というのは、ただ「快楽」がかけているということであり、「快楽」でないということにすぎない。その意味の「不幸」のうちにあっても、なおかつ幸福でありうるのです。p.218

    今日より明日は「よりよき生活」をということにばかり、心を用いすぎるのです。その結果、私たちは「よりよき生活」を失い、幸福にみはなされてしまったのではないでしょうか。p.220

  • 結婚式の祝辞の役を賜ったとする。この本を読んで感じた事を書き、それをたたき台にして、スピーチの原稿を書く。オリジナルで魅力的なお祝いの文書が書けそうな気がする。

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私の幸福論 (ちくま文庫)の作品紹介

人間は不平等だ。悪いといおうが、いけないといおうが、事実だ。しかし現実がどうであろうとこの世に生まれた以上、あなたは幸福にならねば…。誤まった幸福観を正し、人間の本当の生き方とは何か、幸福とは何かを、平易な言葉で説いた刺激的な書。

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