美少年学入門 (ちくま文庫 な 11-5)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480034267

感想・レビュー・書評

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  • BL草創期の立役者の一人である著者のエッセイを中心に、竹宮惠子や木原敏江などのマンガ家との対談、さらに「実践編」として短編小説「遊戯」を収録している本です。

    古い本ですが、竹宮との対談のなかで、著者が「カップリングの思想」について語っており、すでにこのころからこうした基本的な構図が自覚されていたことがわかります。そうした歴史的な関心から読むと、興味深い点も多く発見できるのかもしれません。

    ただし本書には、一般的な理論を構築しようとする意図は見られません。文庫化にさいして増補された「反少年派宣言★」というタイトルの文章でも、「個人事情」に左右されるということをはっきりと述べており、本書で論じられているのは、著者自身のきわめて私的な「美少年学」です。著者にとっての「美少年」は、「十七歳に一日もかけてはならんし……二十七まではギリセンで許してしまうのだ」と規定されており、「ぎりぎりで少年にしちゃうというところが好きなわけ」だと述べられています。こうした著者自身のこだわりについて、行きつ戻りつしながら考察をかさねていくというスタイルで議論がおこなわれているのですが、趣味の対象について語ることはその本人について語ることと無縁ではなく、けっきょく著者の「個人事情」に話は立ちもどることもすくなくありません。

    そのほかでは、竹宮惠子の『風と木の詩』や、木原敏江の『摩利と新吾』について、作家自身が著者の問いかけにうながされつつ分析をおこなっている対談は、これらの作品を読んだことのある読者にはおもしろいのではないかと思います。

  • この本を読むには、私に当時の知識が無さすぎた。
    1984年に書かれたものが1998年に出版されたもの。
    著者の推し、沢田研二さんの美しさについて、どうにもピンと来ず、昔の写真を調べてみた。美しい!!
    出てくる名前が一々分からず、一々画像検索するため、進みが遅く、、出直そうと思った。
    先ずは森茉莉から。
    とはいえ、好きなものを語る時独特の熱量が楽しく、読了できた。

  • これも紀伊國屋書店限定リクエスト復刊で入手した1冊。中島梓は言わずと知れた栗本薫の別名義。栗本薫の小説は記憶にある限り『キャバレー』が映画化されたとき(1986年)にミーハーに原作を読んだ程度。完結したら老後の楽しみにいつか『グイン・サーガ』を全部読もうと思っていたのに、完結する前に亡くなられてしまい、以来なんとなく読むタイミングを失ったまま。唯一読んだ『キャバレー』に関して言えば、なぜか異様に泣きツボにはまってしまいラストで号泣した記憶が(まあ10代の感受性今となっては謎だけど)。あの作品も今なら「におわせBL」にカテゴライズされそう。

    そんなわけでこちらはまだBL等というライトな言葉がない時代、1978年のJUNE創刊号から1984年まで掲載されたエッセイをはじめ、竹宮恵子、ささやななえ、木原敏江、青池保子らマンガ家さんたちとの座談会など盛り沢山。ちくま文庫になった時点で1998年なので1978年の連載からすでに20年経過しており、さらにほぼ20年後のこの復刊、トータルで40年の歳月が流れているので筆者の口調というか言葉使いの古さに対する違和感はさすがに否めない。堅い文体の小説ならまだしも、くだけた口調のエッセイとなると「ナウい」に代表される死語のオンパレード、そこそこおばちゃんの私ですら世代的には一回り下なので、共感できる内容は半分くらい、若い子はこれ読むのしんどいだろうなあ(苦笑)

    言葉の問題だけでなくもしこれがクレーマー文化の発達した現代なら、その発言は叩かれるよーという部分も多々。一例だけれど、ご本人が妊娠出産されて自分の赤ちゃんが美形だという話から「ブサイクな、全然誰にもほめてもらえない赤ん坊のお母さんは気の毒だなー。どうやってこの先長い一生を生きていくのかしら。」とか、まったく悪気なくユーモアのつもりでおっしゃってるのだろうけれど、独身の私でもちょっとカチンとくる(苦笑)ツイッターでもしこれ言うママタレがいたら炎上間違いなし。これに限らずこのテの上から目線の空気読まない発言が結構散見されて、引いちゃうこともあるんだけど、まあその自由さにすら時代を感じます。

    とはいえ、今やBLの元祖のように言われる森茉莉がわりと高尚な純文学寄りだったことを思えば、70~80年代に人気エンタメ作家がJUNE文化を称揚し堂々と商業作品で売れたという功績はBL史的にはエポックメイキングと呼べるかも。まあ現在にいたっても耽美・頽廃がベースにあったJUNE系というのは、いたってライトなBL文化とは実は一線を画しているとは思いますが。

    美少年論・美中年論など、なるほどと思う部分も多少ありつつ、共感できない部分が自分でも意外なくらい多く、時代の差というよりは嗜好の差かしら。竹宮恵子との風木連載終了後の対談、木原敏江との「摩利と真吾」連載終了後の対談などは、それぞれの作品への思い入れがあるので、それなりに面白かった。

    ※収録
    少年派宣言/美少年学入門/美少年の輪郭(座談会:竹宮恵子・ささやななえ・増山法恵・羅亜苦・中島梓/青池保子・木原敏江・中島梓)/花の美中年学入門/少年愛幻想(対談:竹宮恵子・中島梓/木原敏江・中島梓)/小説「遊戯」

  • 限定復刊と聞いて入手。

  • JUNEの連載エッセイ+書きおろしの耽美短編小説という構成。
    病弱狡猾少年の甘美さは不変でした。

  • 第1章の「少年派宣言」で語られる美学が気高く、完成されすぎていて面白い。約30年前の文章なんだが。

  • 前書き・後書きでの(爆)の嵐に本を投げようかと思った。が、風木とまりしん評目当てに読んでみた。ネタ元となっている人物や作品には時代を感じるが、いつの時代もヲタクの会話は変わらないんだなーと変なところで納得。しかし(爆)が許せないので★は2コ。

  • 集英社文庫版を古本屋で買いました。

    完全なるタイトル買い。

    でも、凄く面白いです。

    さぁ、貴女も貴女の心の美少年を思い浮かべながら読んでみましょう!

    え?私ですか?

    私の場合は不(以下強制終了)

  • 筆者と意見があわないことはあったが(笑)、過去の作品のよい資料になった。巻末におまけとして入っている小説も素敵。

  • エッセイの部分は、年代が違いすぎて元ネタがわからず???という感じだったけど、竹宮恵子氏や木原敏江氏との対談は読み応えアリ!
    重要なネタバレをしてるので「風と木の詩」と「摩利と新吾」は読んだ後この本を読んだ方が楽しめるかと思います。

  • 今読むと時代を感じる(ジュリーとか、たのきんトリオとか・・・)。ある時代の少女文化の遺産。今となっては教科書。竹宮恵子ら少女漫画家との対談も収録されている。

  • 中島梓はグイン・サーガの栗本薫の別名。表紙からもうすでに風と木の詩だから…もうなんとなく想像つくでしょう
    それにしてもこの人の文章独特すぎて、軌道にのるまでにすごい時間かかる

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