文房具56話 (ちくま文庫 く 8-5)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480036063

感想・レビュー・書評

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  • 著者が普段使っている文房具について、子どもの頃から使っているものだとか、どこで買ったものだとか、誰それからもらったものだとか、その文房具の使い勝手などについてあれこれ書いている。その文房具の歴史などにも触れているが、さほど詳しいものではない。要するに、際立って驚くようなことでもない地味な話なのだが、文房具への愛着がにじみ出ていて、なんだかひそやかに読書を愉しませてもらった。取り上げられた物の中には、今では余り使われなくなった、萬年筆や小刀、吸取紙、文鎮、便箋、カーボン紙、鳩目パンチ、ペーパーナイフ、状差のようなものもある。結構ノスタルジックだ。書かれたのは1970~1973年。たくさんある挿絵が16世紀のデューラー風の版画で素晴らしい。

  • 私の生まれた日に出版された本だという事が解り嬉しかった。
    子供の頃は実家にここに載っている文房具がまだまだたくさんあったと思う。

    串田孫一さんも算盤に乗ってスケートごっこして遊んだとは。

    それにしても
    文房具、使う人の愛着があって良いなあ。

  • 今は使わなくなったもの、読み方がわからない文房具も登場するが、文房具は仕事や生活に常に使われるものであり、作者の文房具への愛情が感じられる。
    「文房具はどれもみな物である。物であっても付き合いが深くなると単なる物とは言い難い。」
    世の中がデジタル化し、デジタルデバイスでほとんどのことができるにも関わらず、筆記用具やノート、ペンケース等持ち歩かずにはいられない自分としてはあっという間に読んでしまった本。

  • アラビア糊も好きだけど、指で塗るヤマト糊の安心感も好き。
    ノートじゃなくて「帳面」と呼びたい。それから、スケッチブックは「画帳」。
    万年筆をよく使う人は、人生で1本だけ、特別な万年筆を買うべきだ。

    などなど。
    文房具に対する柔らかい愛が感じられるエッセイ。

  • 文房具大好きなため、目に止まった瞬間手に取り
    レジまで一直線。

    おもしろかった。
    高級文具へのこだわりなどが書かれているのではなくて、
    著者と文房具の関わり方が書かれている。
    手にした道具を愛情をもって長く大切に使いうという
    著者の姿勢がとても清々しい。

    取り上げられた文房具のうち、
    使ったことがないものもあるが、ほとんどが本当に身近なもの。
    読むたびに自分の身近な文房具に愛着が湧いてくる。

  • 文房具好きには読んでもらいたい一冊。
    挿絵も個人的にすごく気に入った。

  • 串田氏の書く話は、文房具を題材にしているが、人間の話だ。人と道具の関わりをゆっくりと丁寧に書いてある。私もいつかこういう文章を書ける大人になりたいなと思うのである。

著者プロフィール

哲学者・詩人・随筆家

「2022年 『寺田寅彦随筆集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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