ふるさと隅田川 (ちくま文庫)

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著者 : 幸田文
制作 : 金井 景子 
  • 筑摩書房 (2001年1月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480036148

ふるさと隅田川 (ちくま文庫)の感想・レビュー・書評

  • ◆隅田川をはじめ、自然とともに暮らす人びとの姿を映し出している随筆集です。土地(自然)の美しさや雄大さへの憧れ、隅田川とともに生きる人びとへの優しいまなざしが感じられます。一瞬しか味わえないという桜の葉の香り、川のそばで暮らす人びとの力強さ、川の暴力、晩年の父露伴の姿、変わりゆく街。繊細で優しいかと思えば、クジラ漁の風景や岩場の崩壊の様子が大胆に描かれていて、なんとも面白いです。季節感や香りを想像させてくれます。

    ◆印象に残ったお話
    「流れる」花を見ながら、まぶたの裏には故郷が浮かぶ。
    「廃園」ある名家の庭にあった松。みんなが「**様のもの」と思っていたが、同時にみんなでそれを楽しんでいた、という在り方が面白いと思った。けれどその家は没落、廃園に松だけが残っていたが、新しくやってきた商家はすべてを作り変えてしまった。
    「みずばち」”おまえに水がこしらえられるか”。
    「あだな」船頭芳の喜びや別離の悲しみ、そして老い、人生をよくこれだけ描いたなと思う。近所のおじさん的な桶屋の新さんがまたいい。父のあだ名のことを話され成長した芳の息子の気持ちが手に取るように伝わる。
    「湿地」”いい土地”ではない湿地に暮らす人びとの力強さ
    「鯨とり」クジラ漁の大胆さ。そして殺すことへの感覚、それは職業や商売を超えた感情なのだと思う。
    「濡れた男」繁殖行為を終えぼろぼろになったサケに出会った男が、それを看取る場面が印象に残った。不思議な縁。
    「地しばりの思い出」発展を急いだ結果自然を失い、いままた自然を取り戻そうと急いでいるという見方が面白い。自然への愛着と畏怖。

  • 教訓めいたことは一切ない散文だけれど、自然と生活は一体で、どちらかが一人歩きしてもいけないんだということを思う。

  • 人生の局面のように様々な表情を見せる川。
    私は東京の土地勘がありませんが、ある人は向島、新川、柳橋など今の風情と重ね合わせて読むことができるのでは。
    幸田文の随筆はふと思い出すと読みたくなる魅力があります。

  • このひとの書く自然のものものは、何と鮮やかなことだろう。

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ふるさと隅田川 (ちくま文庫)の作品紹介

幸田文は人生に三度、隅田川のほとりに暮らした。最初は、生まれてから二十歳まで向島で、次に嫁ぎ先の新川で、そして作家になってから休筆して赴いた柳橋である。日々の暮らし、また重要な転機の折々に、川は彼女を育み、癒し、励ました。「川すじの思い」「水辺行事」「船内屋さん」など、隅田川を主に、「水の風景」をテーマにしたセレクションである。

ふるさと隅田川 (ちくま文庫)はこんな本です

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