禁演落語 (ちくま文庫 こ 5-20)

制作 : 小島 貞二 
  • 筑摩書房
3.29
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本棚登録 : 37
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480037213

感想・レビュー・書評

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  • 冒頭の1章が、戦時下の「禁演落語」について。
    禁演落語というのは「禁煙落語」ではなくて、「演じることを禁じた演目」という意味。
    戦時下に、あんまりくだらない話、エロい話は、不謹慎だっていうことなのか、プレッシャーがあったのか、分かりませんが、形としては落語家たちの団体の側が自粛して、「演じないことにしようね」という演目を決めた、という話。

    今でも浅草に、「はなし塚」というのが残っています。
    (禁演落語を決めて、塚を建てて、そこに演目を「埋葬した」というアピール行動をしたんですね。新聞記事になりました)

    それから、実は戦後直後の混乱期にも、「禁演落語」がまた別途制定されたそうです。これはGHQサイドが「仇討ち」とかは描くな、と言ったようなことですね。歌舞伎や映画でもありました。プロパガンダとしての波及力が破格なので、映画はいつでもそういうのを強く浴びますね。映画に比べると、落語は実は「屁みたいなもの」。軍国主義時代の禁演落語にしても、ずいぶん抜け道もあったようですね。そもそも、その演目をやったって、監視する人がいない落語会も多かったでしょうし、その上相当は演芸ファンじゃないと、「これは禁演のはずのネタだ」と気がつくことが難しい。
    当然その上、プロパガンダとしての効果も段違いに低いですしね...。

    ただまあ、そんな落語にも、いろんな事があったんだ、という話は実に面白い。
    寄席に、内容監視する「臨監席」があったという話とか。
    その辺はこの著者の独壇場。面白い。

    ただそういう演芸歴史ドキュメントな内容が、はじめの1章目だけで、そのあと、本の残り9割は「禁演指定された落語のテキスト起こし」を延々と載せているだけ、という、口あんぐりな本でした。

    落語、読んでもねえ。
    確定テキストが決まっている訳でもないし。落語はやはりライブ、あるいは音で聞くしかないんですよねえ。

  • 3.11 図書館

  • 戦時中にふさわしくないとされた落語、GHQの命令により、禁じられた落語。それらの噺と解説が載っております。かなり暗かったりディープな噺も多く、有名な「品川心中」の(下)は禁止されていたのが意外でした。読物としてもおもしろい一冊。

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