サラサーテの盤―内田百けん集成〈4〉 (ちくま文庫)

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著者 : 内田百けん
  • 筑摩書房 (2003年1月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480037640

サラサーテの盤―内田百けん集成〈4〉 (ちくま文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 表題作は鈴木清順の映画『ツィゴイネルワイゼン』の原作にもなった短編小説。映画を先に観ているので、どうしても中砂さんの顔が原田芳雄で浮かんでしまいます(苦笑)。

    余談ですが三島の解説がとても面白かった。百間の作品ってカテゴライズが難しいのではないかと思うのです。これって何なんだろうっていつも思います。例えば泉鏡花みたいに、背景や設定や登場人物やエピソードのどれをとっても「幻想的」としか呼びようのないものだとわかりやすいのですが、百間の書くものはものすごく日常的で、鏡花的耽美さから一番遠いところにありながら、紛れもなく現実よりは幻想の世界に近いところにある。その現実と非現実の境目というか、日常生活の中にふいに紛れ込む非日常的な光景というか、現実だと思い込んでいた世界がいつのまにか非現実のほうへシフトしていたその瞬間とか、その感覚をどう言い表していいものかわからないというのが正確なのかもしれません。しかも、それを登場人物自身は異常だと自覚していない、当たり前だとのように普通に受け止めているところが、眠っているあいだに見ている夢のような感触を読み手に与えるのだと思います。鮮やかな手腕だなあ…。憧れの文体です。

    「東京日記」「桃葉」「断章」「南山寿」「菊の雨」「柳検校の小閑」「葉蘭」「雲の脚」「枇杷の葉」「サラサーテの盤」「ゆうべの雲」「由比駅」「すきま風」「東海道刈谷駅」「神楽坂の虎」(解説:松浦寿輝/三島由紀夫)

  • 不可思議でいて、のめり込ませておきながら最後はほっとかれる…というような短編集。
    『冥途』に似て、悪夢をみてるような『東京日記』。
    有名な『サラサーテの盤』などが収録されていて、どちらも良いが、個人的には『柳検校の小閑』『とおぼえ』が好き。
    前者は、ホラーというわけではなく最後になんだか哀愁漂う切ない気持ちにさせる作品。後者はこれぞホラー、怪談という感じ。

    不可思議な話を読みたい人にはおすすめしたいが、近年ありがちなわかりやすいホラーや、はっきりとした結末などを求める人には読後感がもやもやするので向かないかもしれない。

  • 内田百閒は「冥途」は凄味のある作品で百閒らしいうすら寒い怖さが好きだけど、ほかの作品はわりあいのんびりした風景描写が大好きだったりする。
    「柳検校の小閑」「とおぼえ」がよかった。

  • ここに収録されている『東海道刈谷駅』は、友人の宮城道雄が列車から転落死したことを題材にしています。未だに本当の原因が分からない事故原因を、百閒は“死神のしわざ”と考え(←これが百閒クオリティー)、いかにして死神に殺されていったのか妄想力を働かせています。そこの部分の緊迫感と、後半部分で繰り広げられる、友人を悼む哀しい阿房列車の旅の対比とで、読ませる作品だと思います。

  • ◆ これこそ映画は原作を完全に超えた!である◆
    鈴木清順監督の映画『ツィゴイネルワイゼン』。
    原作の幻想性をこれほど見事に映像化した映画は無い。死んだ友人の妻が、借りていたものを主人公の家にとりに来るだけの話しだが、身の毛がよだつほど怖い。幽霊が出るわけでも、人間が切り刻まれるわけでもない。おすすめは映画を見てすぐに本を読む、それを最低三回は繰り返すこと。映画は144分あるが、原作は10分で読める。妻役の女優の美しい顔が、とてつもなく怖くなる瞬間がきっと訪れるにちがいない。

  •  
    ── 内田 百閒《サラサーテの盤 200301‥ ちくま文庫》集成〈4〉
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4480037640
     
    …… サラサーテ自身が演奏した1904年録音のレコードが残されている。
    この録音には、途中でサラサーテの声とも言われる謎の呟き声が入って
    いることで知られる。一説によれば、サラサーテ本人がレコードの録音
    許容時間をオーバーしそうなことに気付き、伴奏のピアニストに途中を
    端折って演じるよう指示したものという(20世紀初頭のレコード吹込み
    時間は短く、またミステイクによる修正録音が技術上できなかったので、
    通常なら雑音に相当する声もカットできなかった)。
     上記のレコードの呟き声をモチーフとし、内田百閒は短編小説
    「サラサーテの盤」を書いており、さらにその小説を元に鈴木清順が
    「ツィゴイネルワイゼン」という幻想的な映画を制作している。(Wikipedia)
     
    …… 鈴木 清順・監督《ツィゴイネルワイゼン 19800401 リトルモア》
     荒戸 源次郎 映画監督 19461010 長崎 東京 20161107 70 /籍=吉村 敏夫
    /移動式映画館プロデューサー《どついたるねん 19891111 》
    https://twitter.com/awalibrary/status/795865800049623044
     
    …… 「チゴイネル・ワイゼン」── 昔、私も持ってゐたことのある
    ヴィクターのハイフェッツ演奏の赤の大盤。
    http://d.hatena.ne.jp/adlib/19471225
    ── 尾崎 一雄《虫のいろいろ 194801・・ 新潮》
     
    …… 出谷 啓《雨の中のサラサーテ 19690308 月刊アルペジオ》P10-11
    http://d.hatena.ne.jp/adlib/20040228
     自作自演 ~ デーやんの処女稿 ~
     
    (20161108)
     

  • 不可思議な世界。
    暗い世界と明るい世界の錯綜。
    現実世界と妄想世界の混濁。
    「柳検校の小閑」
    盲人の視点からの不思議な小説。
    盲人の淡い恋物語。
    いったい何が見えたのだろう。

    戦前のまだ「暗闇が存在した時代」だからこそ書けた小説。 
    「菊の雨」
    言葉一つ一つが美しい。

  • 高熱にうなされて見る妙に現実ぽい夢のよう。→無意識と関係があるのかも。「超常現象を本気で科学する」参照。

  • 東京物語、桃葉、断章、南山寿、菊の雨、柳検校の小閑、葉蘭、雲の脚、枇杷の葉、サラサーテの盤、とおぼえ、ゆうべの雲、由比駅、すきま風、東海道刈谷駅、神楽坂の虎

  • 角田光代さんオススメ

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