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この作品からのみんなの引用
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「個人の顔の見えない、塊としての民族イメージ」というのは、誤解と偏見と軋轢を生む可能性のあるものであることは確かでしょう。
― 219ページ -
異なるレベルのものをたくさん含みこんでしまっている複雑さ、曖昧さゆえに、外部からは「異文化」として見えにくく、内側からも「これが私たちの文化なのだ」とは誇れないという困った状態を生み出しているように思うのです。
― 219ページ -
多文化主義の理想を支持している白人でさえ、「異文化が問題の原因なら理解を示すべきだが、ただ怠けて駄々をこねているだけなら許せない」という意識があります。狩猟採集をしているわけではない。伝統的な宗教儀礼をしているわけでもない。言葉も英語。でも、なんとなく白人とは違う。白人側からも、そしてアボリジニ自身の側からも、どこが違うと、はっきり指摘できない。でも、なんとなく異質な集団であること。
ここに「地方の町のアボリジニ」が抱える問題の鍵があると、私は思うのです。
― 217ページ
みんなの感想・レビュー・書評
作家上橋菜穂子の根っこには文化人類学者としての彼女がいるのですね。
私は、上橋作品を読んで悲しさや憤りという言葉をはみ出してしまうなんだか捉えどころのない複雑な気持ちを感じます。
上手く言葉に出来ないけど、この本に書かれてある様な彼女の学者としての経験からくる物の見方が心を揺さぶるような物語を紡ぐのかなぁ?と感じました。
独自の生活様式と思想を持ち、過酷な自然の中で生きる「大自然の民アボリジニ」。そんなイメージとは裏腹に、マイノリティとして町に暮らすアボリジニもまた、多くいる。伝統文化を失い、白人と同じような暮らしをしながら、なお「アボリジニのイメージ」に翻弄されて生きる人々…。その過去と現在を、アボリジニの視点と白人の視点を交差させつつ、いきいきと描く。多文化主義オーストラリアのもうひとつの素顔。 (裏表紙紹介... 続きを読む »
守り人シリーズの作者・上橋菜穂子が、もともと文化人類学者でもあるのは知られている所。 毎年オーストリアに出かけているそうですが、これは1990年に最初に行ったときの体験記。 アボリジニの話を聞きたいと思っても、いきなりインタビューに行って話して貰える物ではない。 ボランティアの小学校教師として滞在し、しだいに信頼を得ていくのですが… 最初に驚いたのは、混血が進み、街中で暮らしているために、... 続きを読む »
[ 内容 ] 独自の生活様式と思想を持ち、過酷な自然の中で生きる「大自然の民アボリジニ」。 そんなイメージとは裏腹に、マイノリティとして町に暮らすアボリジニもまた、多くいる。 伝統文化を失い、白人と同じような暮らしをしながら、なお「アボリジニのイメージ」に翻弄されて生きる人々…その過去と現在を、アボリジニの視点と白人の視点を交差させつつ、いきいきと描く。 多文化主義オーストラリアのもうひと... 続きを読む »
昨今私が怒り狂っているのは吹き荒れる厚労相へのバッシングに対してです。 ってアボリジニと関係ないじゃないか、と言われそうですが、この本は要するに単純化された情報がどれだけ危険か、ということについて書かれていると思うのです。 何度も繰り返し文中に出てくる「ステレオタイプ」というやつですね。こういう伝える側にとっても受け取る側にとっても分かりやすい情報がまかり通ることはつまりこれこそがファシズムの... 続きを読む »
文化人類学者としての1冊。
10年にわたるオーストラリア生活の中で出会ったアボリジニの現在と過去。
個人的な出会いを軸に展開してあることでステレオタイプな民族のイメージでなく、ローラやアーサーといった個人の生活や思いが浮き彫りになっている。
歴史的な流れもよく分かる。
作成日時 2007年09月16日 11:17






