ウィトゲンシュタイン入門 (ちくま新書 20)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 67
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480056207

作品紹介・あらすじ

世紀末のウィーンに生まれ、20世紀初頭の英国ケンブリッジを舞台に活躍した天才哲学者ウィトゲンシュタイン。ユダヤ系の鉄鋼財閥の裕福な家庭に育ちながら、その後たどった数奇な生涯と一風変わった人となりによって、彼の思想の全貌はいまも神秘的な色彩を帯びている。彼が生涯を賭けて問いつづけた「語りえないもの」とは何か。初期の写像理論から中期の文法理論、後期の言語ゲーム理論へと展開する独特のアイディアにみちた思想の核心にわけ入り、読者とともに考える、清新な魅力にあふれた入門書。

感想・レビュー・書評

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  • 急に読みたくなったので、手に取ってみました。入門と謳ってますが、一読しただけでは理解が難しい本でした。全体としては「語りえぬもの」を中心としてウィトゲンシュタインの著作を解説しています。本書を読んでより気になったので、また再度したいです。

  • 前期はともかく、中期および後期のウィトゲンシュタインの思想はかなり錯綜している印象を受けた。

    そのことが、ただでさえ深淵な彼の言語観を読者に伝えるという手続きを甚だ難しいものにしているように思う。

    しかし、これだけ錯綜した彼の思考過程を一冊の本にまとめ上げた著者の筆力は圧巻。

  • この本読むの何度目だろ。ふう、やっと近づいてきた。ウィトゲンシュタインって本当にかっこいいです。ドライブかかってきたので、ずっと積んである全集に(今度こそ)とりかかろう。

  • 「考えつつ読み、ときに立ち止まって考える、という過程を省略しないでいただきたい」と筆者が述べるように、本書はウィトゲンシュタインはもちろん、哲学の入門書にもなっている。
    世界観をつくるということ。問題を提示するということ。ウィトゲンシュタイン、哲学を学び始めたいすべての人へ。

  • 独我論の断念→言語ゲーム
    世界に対し、実存を付与することで、形式としての世界を現実(私の世界)として存在させる主体

    語りえぬもの 超越論的、先験的

    フィッカーへの手紙
    倫理的なことがらの限界
    内側から限界づけ、正当な位置を与える
    書かれていないこと=沈黙しなければならないこと

    カント『純粋』の限界設定と同じ
    しかしカントは外側を『実践』で書く

    可能性の条件→言語批判

    論理形式の共有による内的関係

    56
    事態(対象の特定の結びつき、成立可能なものは事実)<状態<世界

    60
    名辞=対象
    要素命題=事態の成立
    複合命題=複合的な事態=状態の成立
    命題は事実がいかにあるかを語る

    写像理論
    対象と意味の結合

    『論考』→意味のある命題
    後期→無意味の言語行為

    写像形式
    真理関数
    ラッセルの論理定項を否定、命題論理学から述語論理学(量化理論)へ
    70
    数学の等式=論理学のトートロジーによって、事実を語るのではなく、形式を示す

    82 実質を、もっと強くいえば存在を、付与するのである。「私」とは、世界に意味を付与する主体ではなく、世界をこの世界として存在させている世界の実質そのものなのである。

    他者=別の世界

    論理から文法へ
    文法から使用へ 言語ゲーム

    根拠のない信念体系 世界像

  • 再読。まだ掴み切れない。

  • カテゴリ:図書館企画展示
    2021年度第1回図書館企画展示
    「大学生に読んでほしい本」 第1弾!

     本学教員から本学学生の皆さんに「ぜひ学生時代に読んでほしい!」という図書の推薦に係る展示です。
     小柳智一教授(日本語日本文学科)からのおすすめ図書を展示しています。
     展示中の図書は借りることができますので、どうぞお早めにご来館ください。

  • ■メインテーマ
    語りえないものとは何か?

    ■筆者の主張
    言葉は論考である程度決定することが出来るが、本当はきちっと語れるものではなく、
    日常生活の中で生まれた判断の一致のようなもの。
    その中で言語が使われないような場面でも、意味が通ずるのは、言語ゲームの世界に
    我々が生きているから。

    ■学び
    文法などの規定の中で、私たちは世界を規定させることに成功したが
    限界があることも認識する必要がある。

  • 難解なものを低いレベルに引き落としてまで分かりやすく解説することに意義を感じないとする筆者の態度が、もう、めちゃくちゃに伝わってくる。
    ので、難しい。

    論理学のような因果関係で結ばれる関係性が、言語とその対象や描写しようとしているものには存在しない。だから言語は生活に深く織り込まれており、暗黙のうちに言語に縛られている。ってこと?
    あらゆる事を表現しようとしてもどうやっても言語から逃れることは出来ず、暗黙のルールによって取り組まれているゲーム(勝ち負け系ではなく遊び系)のようだ。ゲーム規範/ルールがあってゲームがあるのではなく、ただゲームがあるのであり、ゲームの外からルールを把握することはできない。
    「私の痛み」というときの、「私」には、今この文章を書いている私と、それぞれの個人が自己を指すときの一人称としての私があり、同じ「私」でも絶対に意味が共有されない。ってこと?
    検証可能な命題に意味があるのではなく、「青」や「黄色」のような経験によって満たされる言語が意味をもつ。???
    むずかしー

  • 名前だけしか知らずに読んでみた。
    初めて出会う言葉の数々と、時代の輪郭。
    人物も朧げだが浮かんだ。
    再読での再会が楽しみになった。

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著者プロフィール

1951年生まれ. 専攻, 哲学・倫理学. 慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位所得. 現在, 日本大学文理学部教授.
著作に, 『〈私〉の存在の比類なさ』(勁草書房, のち講談社学術文庫),『転校生とブラックジャック──独在性をめぐるセミナー』(岩波書店, のち岩波現代文庫), 『倫理とは何か──猫のインサイトの挑戦』(産業図書, のちちくま学芸文庫), 『私・今・そして神──開闢の哲学』(講談社現代新書), 『西田幾多郎──〈絶対無〉とは何か』(NHK出版), 『なぜ意識は実在しないのか』(岩波書店), 『ウィトゲンシュタインの誤診──『青色本』を掘り崩す』(ナカニシヤ出版), 『哲学の密かな闘い』『哲学の賑やかな呟き』(ぷねうま舎), 『存在と時間──哲学探究1』(文藝春秋), 『世界の独在論的存在構造──哲学探究2』(春秋社)ほかがある.

「2022年 『独自成類的人間』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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