- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480056818
作品紹介・あらすじ
聖なるものへの覚醒とはなにか。エロチシズムとはなにか。熱き情念に突き動かされながら、人間の思考のあり方を問い、その限界の彼方を指し示した人バタイユ。ヘーゲルを頂点とする西欧文明における理性の体系に対し、彼は「非-知」「好運」を看板に掲げて果敢に戦いを挑みつづけた。現代のヨーロッパはいまだ彼が投げかけた問いのなかにあるといえるだろう。そこにバタイユの思想を問う意味があるのだ。「死とエロチシズム」の思想家といわれて久しい彼の活動の全貌を新たな視点から明快に解き明かす、若い読者のための入門書。
感想・レビュー・書評
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非常にわかりやすくよい入門書であった、ということの上で。
価値・力force(すなわち非力impuissance)・至高性・現在時 に対して、 行為・意味・認識・善・永遠を切り下げていく。
侵犯の瞬間において主観に対して聖なるものへの感情が沸き起こるのであり、そのための行為が供犠で、例えば芸術やエロティシズムに現れる。
著者は「個人の生」というものを西洋の強いテーゼとして取り上げ、それへの徹底的な対抗者としてバタイユを位置づけるため非常に見取り図がとりやすい。
最後の章で、どうしてバタイユが明晰に書き始めたのかはよく分からなかった(それは本人が棄却するところの有用性ではないのか?) ただ、有用性への反発のするべき仕方というのは、有用性への反発を徹底することではなく、むしろforceに任せることであるのかもしれない。
またこの説明だと供犠は目的性を持ってしまうようなきがするのだけど、どうなのだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
もう一回チャレンジしますすいません
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前半バタイユの生涯などはわかりやすかったが、やはり後半のバタイユ学は入門とはいえ難易度高し。
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涙腺がいくら緩いったって哲学の入門書読んで泣いたの初めてだ。人間の総体性という概念にこれほど現在の自分を許容されるとは思わなかった。私はずっと一貫性のない自分をゆるせずにいたのだな、と。ほんとに私の哲学かも。でも彼の西欧思想(人間の理性)への批判を考えると「哲学」という言葉は適切ではないのかな。思想、思索、想念……確実にこのところ私がいだき続けてきた左派思想全般に対する違和感への答えというか共感を示してくれるものだし、こういう在り方があっていいのだというのがめちゃめちゃ嬉しい
すべての物事を自分に引き付ける読み方をしてきて良かった、私の話が書いてある、と思いながら読んでいた。私がアンドレ・ジッドの文章を読んでうめいていたのと同じ時期に友だちがこれを読んでいたのも感慨深い。
こういう入門書は入り口に過ぎないので ちゃんと言葉を自分の顎で噛み砕いて飲み下したいけど 原著はむりでもせめて翻訳で。 -
西欧を西欧たらしめている思想の根を撃つ思想家バタイユ。マルクス、アウシュビッツなどその論は冴え渡っていた。
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導入が印象的だったことを覚えている。。
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私は感性的体験によって生きているのであって、論理的釈明によって生きているのではない。
心の空間は超自我―自我―エス
自我は上からも超自我の攻撃に悩まされている。超自我は過剰な道徳性、非現実的な観念(=理想)の化身であって、自我に苛酷な裁きと命令を加える。自我はエスの侵入を少しでも許すと、超自我から厳しい抑圧
人間の生の真の目的が非生産的な消費(
フロイトがエスと名付けた各個人のなかの非個人的なもの、この人間の根底に巣くう非人称の恐ろしげな力がアウシュヴィッツを引き起こしたのである。
蕩尽という無益な、そして危険でさえある消費を否定している。肯定されているのは、いずれの社会においても、生産と蓄積だ。
カフカの父親は、「全面的に生産活動に専念する」人間であったので
資本主義と共産主義は同一の「行動」のイデオロギーの二つの表情でしかない。
行動」とは、ある未来の目標(社会の改革でも名誉の獲得でも給与を得ることでもかまわない)を達成するための理性的行為であり、大人はさまざまな形でこれに専念している。子供は未来のことなど考えずその時々の気分で好き勝手に遊んでいる。 -
眼球譚でバタイユの小説を読み、今度はバタイユその人の人物と思想についての本を繙く。入門…のわりに難しい、と言うのが正直な感想である。哲学や思想なんかは好きだけど、あまりにも知識がつまみ喰い過ぎて、わからない言葉が多かった…。哲学入門とかあったら読んだ方が良いかもしれない。バタイユの浮遊感が好きだ。元々、私自身が浮遊している性質だから、なんとも言えない浮遊感に親近感が。今まで、バタイユ=エロティシズムの印象しかなくて、何か変態なフランス人のおっさん(←失礼/笑)というくらいの認識だったが、それを改めるには十分だった。そして、どうでも良いけどバタイユ氏結構イケメンである。
次は、バタイユの書いたものを再び読もうかな。