- Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480057907
感想・レビュー・書評
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全然「入門」じゃない
近代になってニーチェやハイデガーなどに批判されているプラトンであるが、その批判はプロティノス以降、認識論としてのみのイデア論になってしまい、西洋思想の屋台骨となってしまった「通俗プラトン主義」への批判であり、プラトンそのものへの批判ではないという点を著者は指摘している。
改めてプラトンに対する新しい見方を喚起させてくれる一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ホントの入門書としては良い。一通りプラトンの書籍と思想について紹介されているし、はしがきのプラトンの思想のまとめも良いと思う。
プラトンが求めた思想は「絶対的真理」でなく、「普遍的真理」だ、というのが本書の要旨のようだが、よくわからん。ニーチェの思想と対比させた考察も浅い印象だ。 -
近代哲学における基本像を通して見ると、ヒュームは独我論者であり、ヘーゲルは形而上学汎神論者であり、ニーチェは解体主義者であり、フッサールはこれまた、絶対的真理の擁護者である。そして、プラトンは形而上学的性格の絶対源流だ。
著者の竹田青嗣は、こういった近代哲学の基本像を真っ向から否定する。哲学の本質はそれが方法的な思考法にあるとし、最も革新的な理念は普遍性という概念で示されると主張する。
普遍性は、しばし誤解されているように、あらゆることに妥当する完全な認識や知のあり方、ということを意味しない。普遍性の本質は、異なった人間同士が言葉を通して共通の理解や共感を見出しうるその可能性という点にある。
プラトンにおいてそれは、まず言葉の本質の取りだしという場面から始まり、イデア論や想起説という独自の形をとり、さらに後期における存在的探求に至る。この作業によって、プラトンはそれまでの哲学の至高の中に萌芽として存在していた原理的な思考と普遍的な思考という概念の核を深く掘り下げ、それを方法とした。プラトン哲学は、それが方法的な思考法なのだ。
現代の思潮と真っ向から対決する姿勢をみせる著者のプラトン観。著者の竹田青嗣に私淑している僕としては、哲学という"方法"の原点に立ち戻る為の手段としてのプラトン哲学を学んで行きたい。 -
1999
なかなかの良著。 -
20100916 読了 プラトンの各著書の重要点を取り出して、存在主義に傾倒している著者の解釈の元に、反ブラトン派に対する反駁をしている。
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[ 内容 ]
ヨーロッパ哲学の絶対的な「真理」主義の起源をなす人物として、ポストモダン思想家から最悪の評価を与えられている人、プラトン。
しかしプラトンこそ実は、異なった人間どうしが言葉を通して共通の理解や共感を見出しうる可能性を求めた、「普遍性」の哲学者であった。
また同時に、哲学の本質的なテーマは、人間の生の原理にかかわることを明確に提示した哲学者であった。
プラトン評価を逆転させながら、著者自らの哲学観を明快に開陳する、目から鱗の一冊。
[ 目次 ]
序 反=プラトンと現代
第1章 哲学のはじまり
第2章 ソクラテスからプラトンへ
第3章 イデア
第4章 エロス、美、恋愛
第5章 政治と哲学の理想
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
名著の予感。
むずかしかった。
また読む。
次は木田元『反哲学史』を。 -
古代ギリシャにおいて、哲学を自身の内面を知る方法として深くまで掘り下げ、現代の思想にまで強い影響を及ぼしたプラトン。入門書ということで著者のわかりやすい解説とニュートラルな視点がプラトンの偉大さを教えてくれる。『恋』と『美』についてはもう一度読み返したい。
イデア思想は自分としては非常に納得してしまうのだが。
09/2/22 -
安心して読める、プラトンの入門書。
分かりやすいし、濃厚な内容。 -
071012