東郷平八郎 (ちくま新書 208)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480058089

作品紹介・あらすじ

日露戦争時の連合艦隊司令長官だった東郷平八郎は、日本海海戦に奇跡的な勝利を収めたあと、東宮御学問所総裁、陸海軍を代表する指導者として近代史に大きな足跡を残した。その生涯は、近代国家としての道を歩み始めた日本の運命を一身に体現したものとなった。一次資料をもとに英雄神話の背景を探り、東郷の実像とその時代を描いた本格的評伝。

感想・レビュー・書評

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  • 東郷平八郎の人物像と彼がたどった生涯を解説している評伝です。

    東郷といえば、いうまでもなく日本海海戦で劇的な勝利を収め、日露戦争を勝利にみちびいた英雄として知られています。本書は、その東郷の実像にせまるとともに、日露戦争後の東郷と彼をとりまく日本軍の人脈が、その後の歴史の推移にどのような影響をもたらしたのかということについてもくわしく説明がなされています。

    昭和天皇の東宮御学問所が開設され、東郷がその総裁となった経緯や、御学問所をめぐるさまざまな意見の対立などが紹介されています。さらに日本・アメリカ・イギリスの軍縮会議をめぐって「条約派」と「艦隊派」の対立が生じ、そのなかで日露戦争の英雄にかつぎあげられた東郷がどのように振る舞ったのかということについても、客観的に歴史的事実を見極めようとする立場にもとづいて検討なされています。

    著者は、日露戦争後の東郷が「元老」的存在となっていったと述べています。そして、統帥権干犯問題が起こると、西園寺公望と東郷が協調することで辛うじて国家の舵取りが可能となったものの、その後は明治憲法体制がコントロールをうしなって悲劇に向かっていくことになったという歴史の見かたを提示しています。

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著者プロフィール

1943年、長野県生まれ。1974年、早稲田大学大学院文学研究科博士課程満期退学。現在、防衛大学校名誉教授。 ※2021年11月現在
【主要著書】『東郷平八郎』(筑摩書房、1999年)、『秋山真之』(吉川弘文館、2004年)、『山本五十六』(吉川弘文館、2010年)、『消されたマッカーサーの戦い』(吉川弘文館、2014年)

「2021年 『小笠原長生と天皇制軍国思想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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