本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480058553
作品紹介・あらすじ
日蓮主義は、軍国日本において超国家主義者に信奉されるなど、時に政治を動かす危険なイデオロギーともなってきた。だが、実際の著作を読んでゆくと、真の日蓮は、そんな一筋縄ではとらえられない、実に多面的な思想家であることに気づくだろう。政治権力に挑戦する闘う思想家、孤独で内省的な理論家、ユートピアを思い描く夢想家、大らかな現実主義者など。魅力的なその人柄に触れつつ、『立正安国論』『観心本尊抄』『三大秘法抄』などの遺文をひとつひとつ読み解き、多彩で奥深い思想世界を探る。
感想・レビュー・書評
-
日本史上に残る傑僧でありながら何かと誤解されがちな日蓮。その生涯を追いかけ、また主著と遺文を読み解く一冊です。
「入門」と銘打っていますが内容はかなり濃厚。日蓮の主著を丁寧に読み解きながら、そこに内包された思想を丁寧に解説してくれます。特に佐渡流罪以前以後の思想的変遷を重点的にフォローしており、これ一冊である程度の概要を掴むことが出来るでしょう。
わけても日蓮の持つ多面性を教えてくれる点がいい。政治権力と戦う闘士、国家を超えたユートピアを思い描く夢想家/思想家、それでいながら国家権力の重要性を認識したリアリストと、陰影に富んだ日蓮の姿を知ることが出来ます。仏教的な観点を抜きにしても興味をそそられる一冊と言えましょう。
なお、現在はちくま文庫から増補版が出ています。これから読むという場合はそちらをお勧めします。詳細をみるコメント0件をすべて表示
全2件中 1 - 2件を表示