日本の哲学を読み解く: 無の時代を生きぬくために (ちくま新書 269)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480058690

作品紹介・あらすじ

はたして、日本に独創的な哲学など存在したのであろうか。明治以降、西洋思想の輸入に明け暮れていた日本。しかし世界恐慌を機に、模範としていた西洋近代の諸理念が崩れていった一九三〇年代、日本でも初めて独自の哲学が生み出されていく。それは、いかなる形而上学原理をも前提としない「無」の哲学であった。そこには、すべての価値観が色あせた時代にあっても、なお「生きた力」となりうるものが潜んでいるのではなかろうか。西田幾多郎・和辻哲郎・九鬼周造・三木清ら、日本の哲学山脈を形づくった四人の思想をわかりやすく解説し、現代を生きぬく知恵を探る。

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  • 西田幾多郎、和辻哲郎、九鬼周造、三木清の4人の哲学者たちが、いかにして日本独自の哲学を築いていったか、それらの思想形成はどのような影響によるものか、そして思想がカタチとして発展するにつれて、結局は彼ら自身が形而上学の罠に嵌ってしまう過程などに触れられています。記述やアプローチに目新しさはありませんが、解説が非常にオーソドックスなので、「日本近代哲学史」の入門書としてお勧めです。

  • 日本の哲学者による、
    日本の考える哲学。

  • [ 内容 ]
    はたして、日本に独創的な哲学など存在したのであろうか。
    明治以降、西洋思想の輸入に明け暮れていた日本。
    しかし世界恐慌を機に、模範としていた西洋近代の諸理念が崩れていった一九三〇年代、日本でも初めて独自の哲学が生み出されていく。
    それは、いかなる形而上学原理をも前提としない「無」の哲学であった。
    そこには、すべての価値観が色あせた時代にあっても、なお「生きた力」となりうるものが潜んでいるのではなかろうか。
    西田幾多郎・和辻哲郎・九鬼周造・三木清ら、日本の哲学山脈を形づくった四人の思想をわかりやすく解説し、現代を生きぬく知恵を探る。

    [ 目次 ]
    第1章 西田幾多郎―「無」の哲学の創成(最も確実な知識を求めて;創造的自己としての「自覚」;意識の根底にある「無の場所」 ほか)
    第2章 和辻哲郎―「間柄」の底にある「空」の運動(美と倫理の間;人間存在と「空」;否定の運動 ほか)
    第3章 九鬼周造―「無」としての「偶然性」(出会いと別れ;「いき」の倫理学;「偶然性」への問い ほか)
    第4章 三木清―「虚無」からの形成(「中間者」としての人間;「闇」としての「基礎経験」;歴史を作りだすもの ほか)

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    [ 参考となる書評 ]

  • 西田の「無」を中心に4人の哲学を概説し、かつ批判的検討を加える。わりと読みやすい。伝記的要素は少ない。

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著者プロフィール

(たなか・きゅうぶん)
1952年生まれ。東京大学文学部倫理学科卒業、同大学大学院博士課程 修了。文学博士。現在、日本女子大学教授。専攻は倫理学、日本思想史。 著書に『九鬼周造――偶然と自然』(ぺりかん社、第 1 回中村元賞受賞)、『丸山眞男を読みなおす』(講談社選書メチエ)、『日本美を哲学する―― あはれ・幽玄・さび・いき』(青土社)『日本の哲学をよむ――「無」の 思想の系譜』(ちくま学芸文庫)、『象徴天皇を哲学する』(青土社)、編著に『甦る和辻哲郎――人文科学の再生に向けて』(ナカニシヤ出版)、『再考 三木清――現代への問いとして』(昭和堂)、『近代日本思想選 九鬼周造』(ちくま学芸文庫)など。

「2020年 『西田幾多郎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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