バカのための読書術 (ちくま新書)

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著者 : 小谷野敦
  • 筑摩書房 (2001年1月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480058805

バカのための読書術 (ちくま新書)の感想・レビュー・書評

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  • 本を読まない生徒対策になるだろうかと思ったら、自分向けの内容でした。
    一部の人文科学が不必要に難化している現実と、教養がないばっかりにその現実についていけない、しかしインテリたちにバカと思われたくない人々。どうやって本を読めばいいのかという話。
    難しいと思えば読まなければいい、と言われてほっとした。これが読めなきゃ…って強迫観念を持ってるのは私だけじゃなかったんだなぁ。
    私自身「不純な動機の読書家」ってのはよくやるから、それでいいのかーって。
    まずは、「事実につく」。自分で学ぶときにも、生徒に教えるときにも、忘れないようにしなきゃ。

  • 勉強法とかのハウツー本ではなくて、どっちかというとブックガイド的な本。バカといっても少なくともガチで大学受験した程度の教養はないと、全く役に立たない上に何言ってるか分からないはず。
    まぁ小谷野ファン向けの一冊ですかね。


    100円。

  • 何かを学びたい、という知的好奇心はあるんだけれども、買ってくる思想書は前書きとあとがきしか読まない(読めない)人のための勉強法指南。小谷野が提案するのは「事実」の集積である歴史を学ぶことにより教養を深めていこう、という方法。歴史小説、歴史漫画をとっかかりとして、歴史的な知識を蓄積し、教養を深めていけばいい。思想と違って歴史的事実に関しては「はやりすたり」がないから、学んでソンは絶対ない、と小谷野。思想や文学に接するのはその後でもよいということなのだろう。

     小谷野が歴史の学習を勧める背景には、次のような問題意識がある(と思う)。八十年代のニュー・アカデミズムの流行は相対主義を知の領域に蔓延させた。ニュー・アカデミズムというとフランスの現代思想を核とした学問のスタイルのことだけれども、フランスの現代思想がやって来たことというのは、乱暴な言い方かもしれないが「絶対的真理」とか「客観的事実」という概念の破壊だった。こうした概念の是非を問うことは確かに意味のあることだが、俗世間ではこうした「高尚」な問題について考えてみないままそのスタイルだけが受け入れられてしまい、「ほんとうのこと」をまじめな顔して議論することを恥じる風潮や、歴史に対する無関心を生み出す一因となった。でも、知的な議論というは、たとえそれがカッコ付であっても事実を基盤をせざるをえない。例えば、太平洋戦争について議論する場合、皇国史観であれ、左翼の史観であれ、色が付いていてもひとまず手にとって読まなければ議論さえ成立しないのだ。つまり、小谷野が促しているのは、どんな方法であれまず土俵に上がること、知の現場に足を踏み入れることと言っていいと思う。

     ところで小谷野はこうした文脈とは別に「知的な」書物は、「明晰に」、つまり判り易く書かれるべきであると書いている。こう書くと実に当たり前なことなのだが、近現代の知の領域では必ずしもそうでないんだな。デリダやドゥルーズ、ラカンの書くものはきわめて難解で、非論理的な書かれ方をしており、小谷野自身も「解らなかった」と言う。この本にはこうした思想家に対する批判もある。小谷野の批判する文体とはどのようなものなのか。去年読んだ本から面白い例を紹介しよう。

    「肛門・男根…は価値を奪われた換喩的隣接性の中で機能し、男根状の糞塊という概念は隠喩的代置の領域の中で機能する」(『サイエンス・ウォーズ』 金森修 東京大学出版会 2000)

    これは『サイエンス・ウォーズ』(大変面白い本なのでそのうち内容を紹介します)にある現代フランス思想の文体のパロディの一例なのだが、一体何を言おうとしているか理解できるでしょうか? 

    「肛門とペニスはすぐ隣りにあるのに形は似ていないが、肛門から出てくる大便はペニスと形が似ているときがある」

    …アホらしくなってくるが、思想の領域では実際にこういう文体がまかり通っている。

    小谷野はこうした明晰でない文体、論理を厳しく批判する。こうした発言からも『バカのための…』における小谷野自身の学問観は保守的、あるいは古くさいと批判されうるものかもしれない。だが、僕自身は小谷野の議論はまっとうなものだと思うし、「面白さ」のみを追求するきらびやかでおしゃれな「思想の戯れ」は無内容と紙一重だとさえ僕は思う。 インテリの文体という事に関して付け足し。易しいことを難しく書くことなら誰でも出来るが、難しいことを易しく書くのはインテリの義務だぜ、と僕は思うのだ。だから、上のような文体で書かれた文章がいくらすぐれた内容を持っていたとしても、批判されなければならない、とも思う。だが、わけのわからん文章を書く人にはその人なりの理由はあるらしい。最近こんな文を読んだ。

    なにしろ、文化が「文化財」「文化価値」として商品化され、市場で安易に消費されていく時代、そうした文化のあり方を批判する「文化批判」そのものでさえ、簡単に商品化されかねない。それを拒否しようとするアドルノや、彼の属するフランクフルト学派の人たちの批判の文体は、いやでも安易な理解をはねつける難渋なものにならざるをえない。めったに使われない言葉を選び、文法を無視し、わざと読みにくく分かりにくく書くという戦略がとられる。(『哲学以外』 木田 元 みすず書房 1997)

    アドルノはデリダやラカンとは全く別の思想的文脈に属するドイツの思想家だが、この人の書く文章もきわめて難解で翻訳がちぃともでない。上の引用はアドルノの文章のわからなさを説明してくれているが、本当にアドルノがこう思っていたのだったら、アドルノ間違ってるよなあ… 消費社会と戦うためにはそんな方法しかなかったんかい、と僕は思ってしまいました。


  • なるほど。「バカ」が嫌いな著者による、「バカ」を減らすための書か~。「バカ」を自認する筆者による、同類に向けた本だと勝手に思ってたから、良い意味で裏切られました。いわゆる”古典”であろうが退屈なものは退屈、っていう切り捨て方は魅力的だし、内容は秀でているけど難解だから「バカ」には向かない、っていう評価も分かりやすい。最後にオススメ本がまとめられているけど、流れに沿って読み進めているうち、そこに上げられている本くらいはせめて読まないと、って気分にさせられる。読み物としても十分に楽しめる、優れたブックガイドだと思いました。

  • 歴史と読書を合わせて司馬遼太郎を掛けると何かと槍玉に挙がる昨今で、司馬遼でも大河ドラマでも漫画でもいいからそれらをきっかけに歴史の概要を知ることが始まりだと言い切っていたが、今までそのようなことを言う知識人は自分が知る範囲ではほとんどいなかったように思うので、思い切ったことを言うなと思うと同時にそれでいいんだというお墨付きを貰ったようで嬉しかった。

    最近自分の読書に行き詰まってなかなか本を読むことができなかったが、これをきっかけに自分の身の丈に合った本を読んでいこうと少し気力が湧いてきた。
    幸い「バカ」なりに読みたいものはたくさんある。

  • 文章が難解なのか、下手なのか、わからず、何を言いたいのか、よく解らなかった

  • 私にはちょっと読み進めるのが難しかった、、救いようのないバカ?でも挙げていた本に読みたい本がちらほら。歴史も再度勉強していきたい。

  • 【読書量膨大】
    口は悪いですが、読書量・知識量は尋常じゃないです。

  • 「あなたがバカだからです」事件を発端に、ベストセラーを読んで生きる人生には不満だが、難解な哲学書をよんでもわからない人向けに書かれた本。結論は歴史本(特に司馬遼太郎)を読め。斉藤孝も大人の読書と子供の読書の境界線に位置するのが司馬遼太郎と述べているし、この辺が読書としてのひとつのゴールであり、スタートでもあるのだろうと思う。基準としては大河ドラマ見てツッコミ入れられるレベルか否かという所か。
    「好きな作家:司馬遼太郎」と言うのが恥ずかしい問題というのがある。これには2つの意味があって、バカと思われるから恥ずかしいのと、気取ってると思われるから恥ずかしいの2つの側面があるようだ。これも境界線ならではなのかなと思う。政治家には「好きな作家:司馬遼太郎」が多い。どちらにも取れるので都合がいいのだろう。
    その他、入門書・書評・ブックガイドに関する考察は参考になるところが多い。本の作り手、売り手の性善説に立てば、この世に悪書はなく、読み手のレベルや好みに合わなかっただけなのだろうが、だからこそ本選びは難しい。人生にも限りがあるし。まずは自分のレベルを知る事だろう。とりあえずは、面白くない、難しい本は読む必要はないという事をあらためて教えてくれる内容である。当たり前の話だが、見栄で本を読んでしまう事による時間の無駄は避けなければならない。

  • 「あなたがバカだからです事件」を記憶した。

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バカのための読書術 (ちくま新書)の作品紹介

現在、「知」は混迷状態に陥っている。インテリたちはかつてないほど熱心に西洋の新理論の輸入に血道をあげ、難解な言葉と言い回しに身をやつしている。その一方で、有名大学の学生がフランス革命の存在を知らなかったりする。では、この両極の中間に位置する人は、何をどう読めばよいのか。学校は出たけれどもっと勉強したい人、抽象的な議論がどうも苦手だという人。そういう「バカ」たちのために、本書はひたすら「事実」に就くことを指針とし、インチキ現代思想やオカルト学問、一時の流行に惑わされず、本を読み勉強するための羅針盤となるべき一冊である。本邦初「読んではいけない」リスト付き。

バカのための読書術 (ちくま新書)のKindle版

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