アリストテレス入門 (ちくま新書)

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著者 : 山口義久
  • 筑摩書房 (2001年7月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480059017

アリストテレス入門 (ちくま新書)の感想・レビュー・書評

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  • アリストテレスの哲学の入門書。論理学、形而上学、自然学、倫理学の全般にわたって、わかりやすく解説している。

    アリストテレスが難しいのは、なぜそのように考えなければならないのかが見えにくいからではないかと、個人的には思う。本書は、「私たちがさまざまな事柄について考える際の思考法そのものにかかわる問題を考えさせてくれる」ところに、アリストテレスの哲学の現代的意義を認めるという視角から、アリストテレスがさまざまな問題にどのように取り組んだのかを解説しており、彼の発想の理由を見てとりやすい記述がなされている。

    とはいうものの、やはりアリストテレスを新書で解説するのは難しいという感想を抱いたのも事実だ。たとえばプラトンであれば、「イデア」という中心概念によってその思想を統一的に理解することが可能だろう。これに対して、アリストテレスの「実体」(ousia)という概念には複雑な論点が入り混じっており、それによってアリストテレス哲学の全貌を見通すことのできるような視点を与えてくれるわけではない。

    ある文脈では、実体には質料としての実体と、形相としての実体、そして両者から成るものがあるとアリストテレスは述べている。だが別の文脈では、本質、普遍、類、基体という4つのものが実体と呼ばれうるとされている。本書では、こうした複数の視点の共存は、「私たちがさまざまな事柄について考える際の思考法そのもの」に関わっていることが明確に述べられている。私たちは「ある」という言葉をさまざまな仕方で用いており、その多様性はカテゴリー間の区別であったり、可能性と現実性の違いであったり、「それ自体である」か「付帯的にある」かの違いだったりする。こうした「私たちがさまざまな事柄について考える際の思考法そのもの」の多様性を明確にすることで、私たちが世界や事実を理解する仕方を解き明かしてゆくことが、アリストテレスの思考法の際立った特徴になっているのである。

  • めも)
    ・問答法的推論(非形式的推論)の有用性 67
    論証は真である命題すべてを結論付けられない。
    ある命題を証明するためには、その前提となる命題が真である必要がある。さらにその前提そのものを証明するためには、さらなる前提が真でなければならず…このように前提を考えていくと、必ず「最初の証明」に行き着く。アリストテレスが論証と呼ぶのは、そのようなそれ以上証明することができない最初の証明のことである。論証の前提となる命題自体は証明できない。/
    問答法的推論は、論証の前提となる事柄を論じることができるということである。
    これ自体は「証明」ではなく、前提の蓋然性を示すものにすぎない。したがって、それが確実な命題であるためには、問答法の手続きだけでなく、直観や知性が前提の真実性を認める必要がある。

    ・推論 syllogismos の三分類 65
    推論―何らかの事柄を出発点として結論を導く論理的手続き
    1.「論証」―学問的で厳密
    2.「問答法的推論」
    3.「論争法的推論」…詭弁、誤った推論

    ・noesis noeseos (self-contemplative thought) 192,193
    「質料をもたないもの」(知性によって知られる)を認識する思惟は、思惟されるものと同一。

  • 書名の通り、アリストテレスの入門書である。しかも、(専門家から見ればどうだか知らないが、素人の僕から見れば)この種の入門書に期待される諸々の基準を十全に満たした内容と見える。簡潔な文体で、アリストテレスの様々な業績を解き明かしていく。

    ざっくりとした印象だが、アリストテレスは物事をやたらと分類するのがお好きなようで、この点現代のいわゆる「学者肌」の人物と通じるところがある。というか、実際のところ、彼が実践した分析思考という学術研究のアティテュードが現代にいたるまで引き継がれてきているというのが本当なんだろう。なにしろ彼は「万学の祖」と呼ばれる人物である。

    それはともかく、彼はいろいろと分類し、その過程でいろいろと概念を発明している。したがって、本書にもそのような概念があちこちに出てくる。これらについて、逐一丁寧な説明はなされるものの、読み進めていくうちに説明された内容を忘れてしまったり、他の概念と混同して訳が分からなくなってしまったりというのは初学者の常である。というか僕がそうなりがちなのだが、その際には巻末についている索引を利用して、該当語句の初出箇所に立ち戻ってみるといいと思う。

    新書に索引がつくのは珍しい。詳細な出典一覧もそうだが、大変配慮の行き届いたつくりだと思った。

  • こちらも10年前に読んで以来、久しぶりに引っ張り出してきた。アリストテレスは形式論理学を作った人であり、本来ならもっと尊敬すべきなんだけど、私は理念先行のプラトンの方が好き。だって、アリストテレスは完全に科学者/技術者なカテゴリの人なんだもん(昔はそんな区別はなく、学問をする人はみんな「哲学者」だった)。もっとも、プラトン的な合理主義では「カネにならない」のが大問題なわけであるが。。。(プラトンの合理主義は、日本語でいうところの効率的合理主義とはまったく異なり、まさに「理想的な理」に適っているということ)

  • オフィス樋口Booksの記事と重複しています。記事のアドレスは次の通りです。
    http://books-officehiguchi.com/archives/3983132.html

    紀元前の哲学者であるが、現代でも注目されている哲学者のひとりである。私の研究分野とアリストテレスとの関連する点として、「政治学」「正義」「哲学」「倫理学」が挙げられる。読者の研究分野と問題意識に応じて、アリストテレスを通して知識と教養を得てほしいと思う。

    最後に、入門書だけでなく、専門書を読みたい人は終わりに読書案内があるので、参考にしてほしい。

  • 「万学の祖」と呼ばれるアリストテレス。現代文明の多くの礎を築いたとも言える。現代人は思弁的すぎるように思う。今一度アリストテレス先生のように、この世界そして現世の人々をよく観ようとすると意思を示すべきかもしれない。

  • 幸福とは「よく生きること」と同じである。

  • 理論と実践、正義と善、幸福と政治、そういうことについてもう一度アリストテレスに立ち返ってみよう、ということで読みました。ただ論理学のところはもうちょっとわかりやすく説明して欲しかったなあ。

  • アリストテレスの体系をプラトンと比較して書いてあり分かりやすい。全ての物事の原因に神を考えている点や生きる目的としての徳は愛である点などがキリスト教と親和性が高い原因であるのだろう。入門書として読むのに良い。アリストテレスの現代的な意義は彼の思考のプロセスをトレースすることにあると書かれている。

  • アリストテレスは、2400年前の哲学者なんだぁ

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アリストテレス入門 (ちくま新書)の作品紹介

プラトンとならぶ古代ギリシア哲学の巨人アリストテレス。彼はのちのヨーロッパ哲学に影響を与えただけではない。いわゆる三段論法を中心とする形式論理学の基礎を築き、具体・抽象、普遍・個別、可能・現実といった概念を創始して、近代自然科学の発展をささえる知の総合的な枠組をつくりあげた。われわれがさまざまな事柄を考える際の思考法そのものに関わる問題を、彼はどのように追求していったのか。本書は、そのねばりづよい知の探求の軌跡をたどるアリストテレス再発見の試みである。

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