- Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480059086
作品紹介・あらすじ
アニメ作家・宮崎駿の仕事は「監督」という枠に収まるものではない。大気の流れからメカ、建物、動物、人間、草木、そこに流れていた歴史まで。画面上のすべてを自らの能力で統率する。地下に潜ったかと思ったら、今度はとてつもなく高い場所に上がっていく…世界は横にだけではなく縦にも見渡せるのだ。そして悪夢と解放を示す"落下"と"飛翔"-本当の表現とは一つしかない、それを探しているのだと言う宮崎駿。そもそもアニメーション自体が「らしさ」の表現であり、我々の何気ない動き、そして観察力に対する批評である。やがて、宮崎作品とともに生きてきた我々の時代とは何だったのか、あるいは彼が時代に何を残してきたのかが見えてくる。
感想・レビュー・書評
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宮崎駿さんの仕事について、非常に丹念に情報を抜き出しまとめられた、大変労力がかけられた一冊だと思います。 新たな知見、というわけではないですが、宮崎作品を考えるうえで、重要な一冊だと思います。
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宮崎駿監督の初期の作品、特に未来少年コナンの記述が多いですね。ルパン三世などは、宮崎駿監督がこんなに関わっているのかと知ることができました。宮崎駿監督作品と事件との関係など、ファンとしては触れることが難しいところにもアプローチが当たっています。
世界というタイトルですが、世界観というよりも初期作品の解説書のような感じです。 -
東2法経図・6F開架:778.7A/Ma66m//K
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所在記号:新書||778.7||ミヤ
資料番号:10144968
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『未来少年コナン』や『ルパン三世カリオストロの城』などの初期作品を経て、『風の谷のナウシカ』から『千と千尋の神隠し』に至る、宮崎アニメの作品紹介を、ていねいにおこない、その魅力を語った本です。
「あとがき」で著者は、本書では「作品を体験し直す」という快感にこだわったと述べています。宮崎アニメといえば、「自然」や「少女」といったテーマを軸に語られることが多いように思うのですが、著者は生粋のアニメオタクらしく、宮崎作品の中の人物の動きやメカニックのフォルムなどにも注目して、アニメを「見る」ことの楽しみを甦らせています。
ただ、ミクロな部分への着目が目立つぶん、本書のタイトルになっている「宮崎駿の〈世界〉」が全体として何であるのかということが分かりにくく、新書にしてはかなり大分の本書を読み終えた後、けっきょくどういうことなんだろうという疑問を持ってしまいました。 -
横の作画、縦の作画という概念。あと、同じ走るシーンでもどこを走っているのかわかるような描写。
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未来少年コナンが1番長かった気がする。
細かい所までアニメ版の映像が頭に流れてくるのは
それだけジブリ作品を観ているということなのだろう。
もうちょっと千と千尋の話が長くてもよかったなあと思った -
著者が淀川長治を思い出す語り口で、宮崎駿を語り下ろしてゆく。宮崎駿を語る著者は淀川長治もそうだが著者も作品への愛が溢れてており、著者の宮崎駿体験を追体験できるような構成になっている。宮崎駿は左翼と勘違いしがちだが、徹底した理想主義者。『どうぶつ宝島』を通して、妻への愛の告白と同時に、アニメ作家としての生きる決意を語っている部分に感動。その後の手塚治虫の『新宝島』に自分の作品をケガされたと憤慨する宮さんがカワイイ。