「わかる」とはどういうことか―認識の脳科学 (ちくま新書)

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著者 : 山鳥重
  • 筑摩書房 (2002年4月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480059390

「わかる」とはどういうことか―認識の脳科学 (ちくま新書)の感想・レビュー・書評

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  • ☆☆☆☆
    この本を読みながら常に頭に置かれていたのは【心像】と言うイメージです。記憶するにも、感じるにも自分の内部に存在するこの心像という器という自分の外に想像した心像という器に、砂を注いで満たしていくそんなイメージで読み続けました。
    ・「知識の網の目のお話し」は『天網恢々疎にして漏らさず』という老子の言葉が良いイメージ創りをしてくれました。
    ・「絵の極意はひたすら見ることにある」という高名な日本画家の言わんとすることも、外の心像が自分の内部の心像の器に砂を注いでそれを創り上げていくことをイメージして読んでいました。
    そのほかにも、「いい表現だなぁ」「そう言うとらえ方もあるなぁ」と自分の心像を大きくしたり、知識の網の目を細かくしてくれるというイメージをたくさんのいただけました。
    本の最後にも、帯にも書かれていることが山鳥氏のメッセージだと思います。「『自発性という色を持った知識』が海図なき航海という人生には必要なんだよ」
    というメッセージです。ここにある自発性とは自分の内部にある心像を育てるというイメージを持つことで近づけたような気がします。
    2017/1/11

    「わかる」って表現は、 「頻繁に使う割には、物凄く大雑把な感覚表現だなぁ」「もう少しスッキリしたいなぁ」と思ったので、この本を手にしてみました。

    スッキリはしないまでも、「そういうものなのか」という読後感があります。

    この本を手にした目的の達成度とは別に、

    ①【「わかりたい」と思うのはなぜか】の章で説明されていたエントロピーの話、たいへん興味を持ちました。(著者は謙遜に拙い説明と言っていますが、私には興味を抱き「わかりたい」と感じさせてくれる良い内容でした。)
    〜〜ある装置と知識(動き回る分子を見分ける)があると、混沌の中から秩序を作り出せるのです。分子のレベルでは、たとえば、空気の中から酸素だけを選び出しています。あるいは食事の中から鉄や銅だけを選び出しています。分子より上の、もう少し複雑な物質だと、たんぱく質や、脂肪や、炭水化物だけを選び出しています。つまり、生命の本質はエントロピーを減少させることにあると考えることが出来ます(物理学者エルヴィン・シュレディンガー)
    この原理は物質的部分だけでなく、心理的現象にも貫徹しています。〜〜

    それと、
    ②「天網恢々(かいかい)疎にして漏らさず」
    の引用がされている部分での、人間の知識の獲得のイメージを描いた文章は、意味が違いますが上記の老子の言葉とともに、私の記憶に深く刻まれました。
    〜〜知識は意味の網の目を作ります。網の目は逆に知識を支えます。ひとつひとつだと不安定ですが、網の目になると安定度を増します。ひとつの知識だと不安定ですが、100の関連知識に支えられると、その知識は安定度を増します。
    心理過程はすべての記憶の重なりです。知らず知らずに覚えこんだか、意識して覚え込んだかの違いはあっても、覚えこんだものが積み重なった結果が現在の心です。
    記憶の網の目ができると、何がわかっていて、何がわかっていないのかがはっきりするようになります。網の目が変なものをひっかけてくれるのです。
    知識の網のおかげで、わかるところとわからないところが区別できるのです。まったく何も知識がなければそもそも網の目ができていませんから、網にひっかけること自体ができません。すべてのものは網を遠く外れたところをどんどん流れていってしまいます。
    何事であっても、わかるためには、それ相応の知識が要ります。知識の網の目を作らなければなりません。〜〜



    〜〜社会で生きてゆくには自分で自分のわからないところをはっきりさせ、自分でそれを解決してゆく力が必要です。
    人間は生物です。生物の特徴は生きることです。それも自分で生き抜くことです。知識も同じで、よくわかるためには自分でわかる必要があります。自分でわからないところを見つけ、自分でわかるようにならなければなりません。自発性という色がつかないと、わかっているようなみえても、借り物にすぎません。実地の役には立たないことが多いのです。〜〜

  • 『わかる』とは脳の中に蓄積された心像と、外界からの刺激(音声、映像、臭いなど)が重ね合わさって意味を見出すことである。確かにこの説明はわかり易い。また大脳に障害が起こるとどうなるかの例も興味深かった。
    ところが、これが『わかる』です、そして別の『わかる』があります、さらにはこんな『わかる』も大事です、というように個々の『わかる』例を脈略なく羅列されても全体像や構造が見えなくて、ちっともわかった気にならない。
    ある本で読んだのだが、人が納得する=わかる には『それって正しいの?』と『それだけなの?』という2つの疑問が腹落ちすることが必要条件だという。この本には後者の網羅感が決定的に不足している。

  • S141.51-チク-339
    000354191
    本書は、神経心理学の権威である山鳥重先生が書かれた一般書です。「わかる」について、日常の様々な例を挙げながらわかりやすく説明しています。ヒトの脳の働き(高次脳機能)について学ぶだけでなく、「わかる」の理解と通して指導法などにも応用できる内容が多く含まれています。

  • 「わかる」とはどういうことか、丁寧に記述されている良書。

    という、可能な限り主観を省いた感想を述べたところで、率直な思いを述べますと。。。

    これ、新書を読み漁るような知性や教養がある人に必要な本か?
    という思いでいっぱいです。

  • 2016年5月、勧められて読んだら以前にも一度読んでいた。読んだことを忘れていたくらいなので、印象に残っていなかったのだろう。
    今回もそんな感じ。面白いけど、あらゆる分野に共通するような書き方で物足りない。

  • いろいろ、興味深い内容もあったが、後半、論理的に飛躍しすぎて、独りよがりで、あまり納得できない内容も多かった。

  • 脳科学から「わかる」ことへのアプローチ。心象から始まり、知覚するものを「区別」できることで、違いがわかる。記号化、言語も記憶の手段。「全体像」「整理」「筋が通る」「空間関係」「仕組み」「規則」など「かわる」ことのいろいろ。知識の網の目を作ってわかったことは行為に移行できる。

  • 前半部分はやや読みにくく、途中で中断、積読になっていたのを再開し、一気に最後まで読み進めた。後半はとても読みやすく、役立つ内容が多かった。
    特に、「何かの価値を判断しようとすると、比較が必要だ」という点は、あらゆる勉強方法の指針になると思う。いずれにせよ、自分から自発的にわからないことをはっきりさせ、それを自分で解決してゆかないかぎり、自分の能力にはならないことを痛感した。

  • 自分が考えていること・思考,それ自体についてまじめに考えたことがある人などそういないだろう.

    何かを「わかる」にもいろいろな程度・段階・側面などいろいろとあるようだ.ものの見方・考え方にもさまざまな観点があるように,「わかること」にもいろいろな観点がある.


    個人的な感想として,
    自分では難しいことでも,それを専門にしている人がおり,時間をかけて整理された知見がまとめられた本がある.それを読むことで,ほんの一部でも自らの経験として得て今後に活かしていける.数々の本によって人は知識を伝播させ高度に発達してきたのかと感じた本だった.

  • 「知覚心象が意味を持つには、記憶心象という裏付けが必要です。」

    ゆるい、エッセイみたいな読み物でした。

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「わかる」とはどういうことか―認識の脳科学 (ちくま新書)の作品紹介

われわれは、どんなときに「あ、わかった」「わけがわからない」「腑に落ちた!」などと感じるのだろうか。また「わかった」途端に快感が生じたりする。そのとき、脳ではなにが起こっているのか-脳の高次機能障害の臨床医である著者が、自身の経験(心像・知識・記憶)を総動員して、ヒトの認識のメカニズムを、きわめて平明に解き明かす刺激的な試み。

「わかる」とはどういうことか―認識の脳科学 (ちくま新書)はこんな本です

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