うつを生きる (ちくま新書)

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著者 : 芝伸太郎
  • 筑摩書房 (2002年7月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480059536

うつを生きる (ちくま新書)の感想・レビュー・書評

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  • S493.764-チク-353 000441386
    (ちくま新書 353)

  • うつという言葉は近ごろ耳にすることが多くなったが、大抵は気分の表現として使われるため、その語を含むうつ病に対する認識がイメージだけで固められることを危惧していた。そんなときにこの本を見かけて手に取った。
    この文章では、うつ病の中でもメランコリー親和型うつ病について、世界から見たときに日本で症例数が際立つ理由を風土に求め、多くの日本人がしがちな思考の背景にある観点を説いて、そのような風土で生活する(=「うつを生きる」)方法に軽くではあるが触れている。
    その背景として重点をおかれているのが「モノ」と「金」で、これは「質」と「量」に対応しているのだが、日本では人間関係がモノの贈与より金の交換としての側面を強くもっているという。他者にされたことを「借り」として位置付け、一刻も早く返さなければならないという義務感をもつ。それが人一倍強い性格の人は、どうしても返せなくなるとうつ病へなるというのだ。
    私は小さいころ実母によく「他人にしたことはいつか必ず自分に返ってくる」と言われたものであるが、その考え方も上の性質を帯びているといえるだろう。
    この本では借りたときの義務感についてのみ触れているが、逆に自分の行いを「貸し」として認識したときの心的負担についても問題になりうるのではないかと考える。
    他者に本人が喜ぶようなことを「してあげた」のに相手は何もしてくれないのが不満だ。そう感じるのは人間関係を価値交換の場と捉えているからであろう。もし極端にこの考え方に則っているのならば、自分がした行いの価値から相手にされた行いの価値を差し引いた分だけ不満を持つことになるが、互いに対する肯定的な行動については相手のものより自分のもののほうが大きく感じられるという。[参考]
    こうなると、両方が平均的な行動をしていても不満が一方的にたまっていくこととなる。
    だからこそそのような人は自分の考え方にある観点を認識しておくこと、著者の言葉を借りれば「『うつを生きる』自分をしっかりと自覚しておくこと」が必要であるといえるだろう。

  • [ 内容 ]
    「うつかもしれない…」。
    現代を生きる日本人の多くが、つぶやいた経験をもつ一言。
    実は、わが国に顕著な“メランコリー親和型うつ病”は、「律儀、几帳面、清潔、真面目、仕事熱心」など、われわれの多くが思い当たるであろう、その心性に深く根ざすものだ。
    つまり「風土病」と称されるべきものである。
    本書は、「平凡な良き日本人の生き方」を考察し肯定しつつ、「病」から私たちを救い出すよう試みる、一精神科医の思索の結晶である。

    [ 目次 ]
    第1章 メランコリー親和型うつ病
    第2章 うつ病の症例
    第3章 金、商品、モノ
    第4章 罪と罰
    第5章 うつを生きる
    第6章 うつを病む
    第7章 うつ病と資本主義

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 「メランコリー親和型」という日本人に典型的な人格が、貨幣制度の浸透と宗教、資本主義という観点から見事に分析され、日本人とは何かということを含めて「なるほど~」という納得の連続で示してくれる本。それにしても、自分があまりに典型的な日本人だと実感した。

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芝伸太郎の作品

うつを生きる (ちくま新書)の作品紹介

「うつかもしれない…」。現代を生きる日本人の多くが、つぶやいた経験をもつ一言。実は、わが国に顕著な"メランコリー親和型うつ病"は、「律儀、几帳面、清潔、真面目、仕事熱心」など、われわれの多くが思い当たるであろう、その心性に深く根ざすものだ。つまり「風土病」と称されるべきものである。本書は、「平凡な良き日本人の生き方」を考察し肯定しつつ、「病」から私たちを救い出すよう試みる、一精神科医の思索の結晶である。

うつを生きる (ちくま新書)はこんな本です

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