希望のビジネス戦略 (ちくま新書 378)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480059789

作品紹介・あらすじ

デフレ不況が深刻化する中で、身動きが取れずにいる企業は少なくない。ばら色の夢をふりまいた「IT革命」論も今は鳴りをひそめ、日本経済は展望を失ったままだ。こうした状況から抜け出すには、企業再建が欠かせない。その処方箋を提示するべく、戦略的ベンチャー企業家と気鋭の経済学者が徹底討論。自己革新能力を低下させた企業の再生に必要なのは何か、問題の核心は何なのかを明らかにしてゆく。企業再建の実例も示され、これからのビジネスを考える上で、多くの手がかりが得られるはずだ。

感想・レビュー・書評

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  • (~2004大学時代の本@202012棚卸)

  • 経済学者の金子勝と、マイクロソフト日本法人社長を辞めて投資コンサルティング会社を起業した成毛眞の対談です。

    両者の立場にはかなり隔たりがあるようですが、なぜか両者が(とくに金子の方に顕著ですが)対立を鮮明にすることを避けているような印象を受けます。成毛が自身の経歴を振り返りつつ今後の日本において求められるビジネス・マインドのあり方を語っているところは、「希望のビジネス戦略」というタイトルにふさわしく、希望を感じさせます。しかし成毛の提示する「希望」は、彼の言う「鼻にピアスをした若者」や「「少年ジャンプ」を読みふけっているサラリーマン」や「売春婦かと見紛うばかりの若い女性」にとっての「希望」にはけっしてなりえないものです。

    他方金子は、「厳しい労働条件でも誇りをもって働いていけるような環境づくりが大切」だと語っており、いわゆる社会的包摂の重要性を指摘していますが、「しかし「愛」だけで、どうにかなるものではないでしょう」と成毛に突っ込まれて、ヴィジョンの抽象性を露呈してしまっています。

    金子が「希望」を寄せるような「社会的包摂」を実践している企業家もいるはずなのですが、なぜそれにふさわしい対談相手が選ばれなかったのか不思議に思います。けっきょくのところ、両者の立場が噛み合わないままに終わってしまっているような印象を受けました。

  • この対談の要諦は、
    �アメリカのモデルの盲目なるご追従は、日本の空洞化に至る
    �銀行の機能不全を埋める新たな動脈が必要
    �希望のビジネス論は、書いていない

    成毛さんの発言には、彼なりのビジョンが述べられているのだけれど希望のビジネス論まで昇華していない。

    もっとも、2002年の状況をベースに語られているので2009年の現在でレビューするのもやや辛いが・・・。

  • [ 内容 ]
    デフレ不況が深刻化する中で、身動きが取れずにいる企業は少なくない。
    ばら色の夢をふりまいた「IT革命」論も今は鳴りをひそめ、日本経済は展望を失ったままだ。
    こうした状況から抜け出すには、企業再建が欠かせない。
    その処方箋を提示するべく、戦略的ベンチャー企業家と気鋭の経済学者が徹底討論。
    自己革新能力を低下させた企業の再生に必要なのは何か、問題の核心は何なのかを明らかにしてゆく。
    企業再建の実例も示され、これからのビジネスを考える上で、多くの手がかりが得られるはずだ。

    [ 目次 ]
    序章 いまだから、あえて希望を語ろう
    第1章 戦略なき日本の憂鬱
    第2章 日本企業・再建の条件
    第3章 日本のビジネス・チャンス
    第4章 変転する社会の行方
    第5章 希望のビジネス戦略へ

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 雑誌の対談を読んでいるようでしたが、
    成毛さんの熱い思いにはいつも共感させられます。

  • 金子勝さん、成毛眞さんの

    希望のビジネス戦略 ちくま新書

    を読みました。

    本書は経済学者の金子勝さんと、

    もとマイクロソフト日本支社社長(いわゆるウインドウズ95時代の)の成毛眞さん

    の対談を元にして書かれた本。


    僕、もともと成毛さんって言う人が好きでね〜。

    「本は10冊同時に読め」
    などで

    >>たとえば「趣味は読書。最近読んだ本はハリポタ、セカチュー」という人は、
    救いようのない低俗な人である。」<<

    などの至言をたくさん出している人なんですよ。


    それで他のブログとかに

    「そういう決め付けをするお前のほうが低俗」

    とかって言われてしまう。

    実は氏子こういうこと言う人好きでね〜。

    いくつか著書を読んで思いますが、頭の中がパラダイスですよ。この人。
    天才には 人の100倍すごい人 もしくは 何でそんなこと考え付くの

    って人がいると言われますが、この人の言うことは膨大な知識に裏づけされた
    「何でそんなこと考え付くの?」なんですよ。

    天才じゃなくても、自分の中に巨大な知を持っている人は人が思いつかないようなものを
    考え出せるんですね〜。


    そんな成毛さんが決めつけてるんだから、そこには何らかの意味があると思える。
    ただのペーペーが言ってるんじゃないですから。

    決め付けでものを判断してはいけない というけれども、考えに考えた挙句に
    決め付ける人ってのは、自分で責任が取れる人間だと個人的には思う。



    本題

    本の前半あ〜だこ〜だ日本のあかんところ、アメリカと日本の違い、いろいろ暗い話題が
    出て、そのうち成毛さんが作った会社「インスパイア」のビジネスモデルの話になるんですが、


    ビジネスモデルは一言で言えば、「自己責任型の投資コンサルティング会社」(成毛さん談)

    事業会社から資金を調達し、経営に行き詰まりを感じているオールドエコノミー
    (製造、鉄鋼など)の会社の株を買う。

    株主になってから、顧客企業に対し、コンサルティングを行う。
    もちろん、コンサルティング料は頂くももの、その料金は割かし抑えて他に利を取る。


    株主になっているのだ。だから、顧客企業の価値を高めることができればできるほど、

    キャピタルゲイン(株式の値上がり部分)がもらえる。

    キャピタルゲインの比率は投資した事業会社8割、インスパイア2割だそうだ。


    がんばればがんばるほどキャピタルゲインがもらえる。いいじゃないの。



    そのうち行ってみたい会社ですよ。つっても社会人暦3年5年のペーペーの僕が
    雇ってもらえる可能性も低いから、給料半額で雇ってもらおうかな。

    実際にこのビジネスモデルで稼いでいるんなら、社員は相当優秀ですよ。

    だから、給料半額で。

    氏子は相手との彼我戦力差を見切る力だけは強いですから。

  • 人を蹴落とす事がビジネスじゃない。意外な組み合わせだが、息が合ってて面白い。

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著者プロフィール

金子 勝(かねこ・まさる):1952年、東京都生まれ。経済学者。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。東京大学社会科学研究所助手、法政大学経済学部教授、慶應義塾大学経済学部教授などを経て現在、立教大学経済学研究科特任教授、慶應義塾大学名誉教授。財政学、地方財政論、制度経済学を専攻。著書に『市場と制度の政治経済学』(東京大学出版会)、『新・反グローバリズム』(岩波現代文庫)、『「脱原発」成長論: 新しい産業革命へ』(筑摩書房)、『平成経済 衰退の本質』(岩波新書)、『資本主義の克服』(集英社新書)ほか多数。

「2023年 『イギリス近代と自由主義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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