組織戦略の考え方: 企業経営の健全性のために (ちくま新書 396)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480059963

感想・レビュー・書評

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  • 組織体制について意図せざる結果を求めて沼上先生の本をチラ見笑 おぉ~、組織を制約理論で見る発想は無かった…。

  • 色々と書いてあるが、結局は「守・破・離」ということ。アメリカ人が書いたソフトウエア・マネージメントの本にも「守・破・離」の大切が力説されているものがあるが、これが伝承の原理原則。未熟者に告ぐ、「徹底的にトッププレイヤーのまねをせよ。それができたら、受け継いだものにオリジナリティーを付け加えよ」。その後は、まさに”離”の世界だがこれはなかなか難しい。

  • 全力でおススメ

  • 著者が「自分で経営した場合、どういった点に気を付けるか」という点にこだわり書き上げたという、組織マネジメントの本。2003年発行だが現在読んでも全く違和感がない。
    TOC、マズロー、事業部制といった組織論を交えながらも、著者が自分の言葉で咀嚼しており、内容は非常に分かりやすい。
    例えば組織設計でのトップダウンで作り上げた理論に対して現実が追いつかない点に対して「スパッと割り切った組織に不純物を後から混ぜる。最初から混ぜて作るのでは、しがらみだらけの組織になる」といったように。また、組織へのフリーライド(ただ乗り)、キツネ(宦官的振る舞い)の悪癖だけでなく、それらを生み出す「大人しい優等生」の無責任さを問う等、切れ味も鋭い。

    ●メモ
    ・日本の高度成長、世界最高の水準になったのは日本が優れてただけでなくアメリカに大いに問題があったのではないか
    ・日本は長期雇用が前提である。アメリカ、その他の国のような雇用へ簡単になるわけではない。その問題を捉えながら現実的な施策が必要
    ・組織は毎回発生する問題を都度考えては組織の意味がない。手順、ルール遂行により実現してこそである
    ・人は目の前に大量のルーチンワークが積まれると、それを優先し、創造的な仕事を後回しにする
    ・経営のボトルネックは短期と長期で異なる
    ・マトリクス組織にてパワーバランスを取るのは難しい。解決策は「腹を割って話す」「トップ判断」「ミドル層がバランスを取る」。だが3つ目は本来両組織のトップが決断することを放棄しただけ
    ・マズローの法則では自己実現の前に「承認欲求」がある。これを如何に実現するか。これを軽視している傾向がある
    ・フリーライダーを防ぐことは難しい。責任感の強い人を採用し、会社と自分の運命がリンクすることを示していくしかないのではないか。エリートと呼ばれる人の賃金を大幅にあげるなどの考えもある。その場合、階層が生まれるため、その中間層が重要になってくる
    ・決断とは「何かを取り、何かを捨てる」ため、一部の人には苦痛を強いるものだ
    ・何本ものプロジェクトが乱立する状態は危険、「決断したつもり」に経営者がなっている可能性が高い
    ・エースの無駄遣いには注意。エースには仕事が集まる。無能な人間は暇である。
    ・意思決定で「自分の考えとは違うが、●●さんの意向を踏まえて…」という理由での決定は健全な議論を黙殺してしまう。議論の相手が存在しなくなる
    ・成熟した組織から人を抜くのは難しい。
     彼らは生産性も高く優秀だが、その場から抜け出さないし、権力もある。だが、彼らの忙しさは「内向き」である。なぜなら生産性が高いため、新規事業より忙しいはずがない。これは組織腐敗の始まり
    ・組織腐敗が最悪まで進んだ場合、「複雑怪奇なルールの廃止」「成熟事業部から優秀な若手を乱暴に引き抜く」「優秀な人材が暇になるような組織にする」ことである





  • 理論だけはなく実際の人の行動等まで含めた事を述べられており納得感がある。実務に即した内容。

  • 組織戦略というより組織マネジメントの指針ともいうべき内容。若干、論理性を欠く部分もあるが、ありきたりな体系に固執することなく、企業が陥りがちな罠をうまく説明している。
    解決の糸口は具体的に示されるわけではないが、組織の硬直化の予兆が非常に分かりやすく書いている。エリートとノンエリート、トラとキツネ、フリーライダーなど様々な社畜の姿を歯に絹を着せず、歯切れよく記述。
    学術というより経営論かもしれないが、久々に読んでいて腑に落ちる本でした。
    でもこれをリバイズして学術レベルにあげるには、相当なハードルがありますね。

  • バブル期には絶賛された日本的経営も、いまや全否定の対象とすらなる。
    だが大切なのは、日本型組織の本質を維持しつつ、腐った組織に堕さないよう、自ら主体的に思考し実践していくことだ。
    本書は、流行りのカタカナ組織論とは一線を画し、至極常識的な論理をひとつずつ積み上げて、
    組織設計をめぐる多くの誤解を解き明かす。
    また、決断できるトップの不在・「キツネ」の跋扈・ルールの複雑怪奇化等の問題を切り口に、
    組織の腐り方を分析し対処する指針を示す。自ら考え、自ら担うための組織戦略入門。

    目次
    第1部 組織の基本
    組織設計の基本は官僚制、ボトルネックへの注目、
    組織デザインは万能薬ではない、欲求階層説の誤用(承認・尊厳欲求が大事)

    第2部 組織の疲労
    組織の中のフリーライダー、決断不足、トラの権力、
    キツネの権力、奇妙な権力の生まれる瞬間(バランス感覚のある宦官)

    第3部 組織の腐り方
    組織腐敗のメカニズム、組織腐敗の診断と処方

    ★ポイントは、企業理念に基づいて、利益を産み出す行為か否か、ということ。

  • 一読して組織戦略というタイトルに違和感を覚えましたが、組織構造やヒト、企業の中での組織に生じる現象(フリーライダー、厄介者、キツネの権力など)について解説しており、日々の自分の属する組織と対比させながら読むと、なるほどと納得することばかりでした。
    組織構造に関しては官僚組織が基本であること、ヒトに関してはマズローの欲求階層説での承認・尊厳欲求の重要性と配慮について、気づかされました。
    お勧め本です。

  • 組織戦略あるある集。

  • 自分が所属する組織のことを考えながら読むと非常に参考になる。経営者がどの視点で物事を見ているのかも理解しやすくなる。
    内向きの話ではなく、外向きの意識を常にすること。
    3割以上内向きの調整が出てくるようになるのであれば危険信号。

    組織の基本は官僚制
    ボトルネックに注目すること
    組織デザインは万能ではない。常にその中のヒトを中心に考えること
    金銭やポジションでなく、自己実現に目をいかせすぎると会社の理念と異なる安易なものが出やすくなる。自己実現と厳しい評価はワンセットであるべき。
    組織の中にいるフリーライダーをゼロにすることはできない。すべての不満に対応することも困難。
    フリーライダーとなりうる人は自分が忙しそうに振る舞う。
    本当に仕事がくるエースが重要な仕事の決断できるように、エースに振り分ける仕事に気をつけること

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著者プロフィール

早稲田大学教授

「2023年 『わかりやすいマーケティング戦略〔第3版〕<2色>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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