経済大転換: 反デフレ・反バブルの政策学 (ちくま新書 439)

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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480061393

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  • (~2004大学時代の本@202012棚卸)

  • 『セーフティーネットの政治経済学』『長期停滞』(ともにちくま新書)の続編で、3部作の完結編となる本です。

    著者の基本的なスタンスは前著から一貫しており、本書でも小泉政権下における竹中平蔵の経済政策に対して舌鋒鋭く批判をおこなっています。とくに不良債権問題に対しては、銀行に対する十分な引当金を積むことのないまま弥縫策に終始していても、繰り返し損失が表面化することになり、そのたびに貸し渋りや貸し剥がしがおこなわれ、デフレ不況から脱することはできないと著者は言います。その上で、十分な引当金によって信用収縮に歯止めをかけることが、デフレ脱却へのもっとも有効な道筋だというシナリオが提示されています。

    本書のサブタイトルになっている「反デフレ・反バブルの政策学」という言葉に引っかかりを覚える読者もいるかもしれませんが、年金問題や高齢化問題といった日本が直面しているさまざまな課題に対する適切な政策をおこなうことが、経済の世界においても確かな信用をもたらすことになるという著者の主張が、このタイトルには込められているように思います。

著者プロフィール

金子 勝(かねこ・まさる):1952年、東京都生まれ。経済学者。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。東京大学社会科学研究所助手、法政大学経済学部教授、慶應義塾大学経済学部教授などを経て現在、立教大学経済学研究科特任教授、慶應義塾大学名誉教授。財政学、地方財政論、制度経済学を専攻。著書に『市場と制度の政治経済学』(東京大学出版会)、『新・反グローバリズム』(岩波現代文庫)、『「脱原発」成長論: 新しい産業革命へ』(筑摩書房)、『平成経済 衰退の本質』(岩波新書)、『資本主義の克服』(集英社新書)ほか多数。

「2023年 『イギリス近代と自由主義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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