パラサイト社会のゆくえ (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 195
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480061959

作品紹介・あらすじ

親に基本的生活を依存する独身者を著者が「パラサイト・シングル」と呼び始めてから、七年あまりがすぎた。この言葉はすっかり定着したが、実はこの間にパラサイトたちは密かに変容していた!かつては、「本当は自立できるのにリッチな生活をしたいから」パラサイトしたのだが、現在では「正社員にもなれず、自立したくても自立できない」貧乏パラサイトが主流となっているのだ。この九〇年代後半のパラサイトたちの変容の背景には、日本社会の地殻変動がある。自殺者数の増加、離婚率の高まり、青少年犯罪の増加などさまざまなデータ・現象を手がかりに、日本の家族のゆくえを多面的に分析する。

感想・レビュー・書評

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  • 少ないやる気を奪われました。
    希望がなくても日本人は80ぐらいまで生き続けるのが嫌です。

  • パラサイト・シングルの時代の続編。概ね前作と主張は変わらないが新たな事象もでてきたりして、おもしろいです。説得力があり、わかりやすい。

  • この本のキモは、1998年を境に社会の構造に変化があり、これまで親と同居してリッチな独身生活を謳歌しているとされたパラサイト・シングルが、リッチでもなく独立して暮らせない生活困窮者と定義付けが変わったということである。
    その理由を探るために社会変化を可視化し推考しているが、多くが原因を当事者に求めている結果、社会がなぜそのように変化したのかへの記述が少なく、なんだかなぁという思いが残る読後感となった。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/38295

  • 2004年刊。著者は東京学芸大学教育学部教授。◆格差社会に関する論考を世に出し続けている著者が、年金・フリーター論・ペットから制服論・教育論に至るまで、幅広い分野につき、短くエッセイ調にまとめたもの。◆四十代半ばの人が喋るぬいぐるみの購入層の7割であることに驚きつつ、他方、死んだ方が妻子を養えると考えながら自殺する男性が多い社会状況に慄然としながらも、ペット産業が今後の最高の成長産業だとする点には懐疑的になりつつ読了できた。◇さっと読めるので、現代社会を多面的に俯瞰したい方が読むとよいと思う。

  • 日本の現状を主に「家族」の問題を中心に読み解き問題提起をおこなっている。パラサイトシングル問題をはじめ、フリーター問題・さらに制服の私服化についても言及している。

    フリーターが必ずしも好きでなっているわけでなく、社会構造の変化が招いているとの指摘は的確だ。

    1998年が転機だとの指摘はおもしろい。この年を転機に日本の状態は悪化している。

  • 2004年初版の山田先生の本。
    最近、山田先生の本ばっかり読んでるような…

    親に基本的生活を依存する独身者を著者が「パラサイト・シングル」と呼び始めてから、七年あまりがすぎた。この言葉はすっかり定着したが、実はこの間にパラシトたちは密かに変容していた!かつては、「本当は自立できるのにリッチな生活をしたいから」パラサイトしたのだが、現在では「正社員にもなれず、自立したくても自立できない」貧乏パラサイトが主流となっているのだ。この九〇年代後半のパラサイトたちの変容の背景には、日本社会の地殻変動がある。自殺者数の増加、離婚率の高まり、青少年犯罪の増加などさまざまなデータ・現象を手掛かりに、日本の家族のゆくえを多面的に分析する。

    (以上、本の帯より)
    個人的には納得感のある本なのだけど、なんとなく分かっていたことの追認というニュアンスが強いので、個人的には満足度は高くなかった。読みやすい本だけども。
    パラサイト・シングルという現象自体、日本的な要素が強いので、他の国に対して適用できるかどうか微妙だが、進み過ぎてしまった社会の分析という意味では参考になるかも。

  • 金融機関の相次ぐ倒産、企業の不良債権発覚、リストラなどによって社会構造が変化した節目を「1998年」とし、そのあたりで社会の価値観も大きく変化した。それが自殺の増加、就職、結婚難、若者の不登校、犯罪の増加、子供の勉強意欲の後退など様々な面に波及している、と指摘する。本書を読んで、今まで漠然と感じていたこと、ニュースで聞いたこと、肌で感じていたことが、線でつながっていくような感じがした。

  • パラサイト、何かに依存して生きている。人に頼るというより、相手に任せてしまう、という感じか?シングルでいる人たちが多い。その方が楽であるから。夫婦関係、結婚は一方に依存するのは、ちょっと違う。親子関係、子供は親に依存する。教育、先生は、生徒は、人としての関係をうまく頼れない。ハリーポッターが受けたのも、学園物であったこと、努力すれば認められるという内容であったこと、(イギリスでは社会ランクを変えることは難しい)という理由らしい。家庭においては⇒ペットに依存&年金も、若者は支払えない。(生活は)他の方法に頼る?

  • 10年以上前に
    パラサイトという言葉で
    親に寄生するおとなの子を表現し
    とても話題になった本の続編

    2004年に書かれた本ではあるが、
    その時点で社会が変容し
    パラサイトせざるおえなくなっている
    若い世代が生まれている

    1998年に社会が大きく変容し
    自殺者が突然3万人に急増し
    正社員になりたくてもなれない社会となり
    フリーターが急激に増えた

    そんな社会は2012年のいまも変わらず
    むしろこのごろの方がより
    生きにくくなっているように感じます

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著者プロフィール

大阪府出身。京都大学法学部卒。華々しい英雄伝が好きですが、裏話的なテーマも、人物の個性をあぶり出してくれるので、割と嗜みます。著書に『世界ナンバー2列伝』(社会評論社)など。

「2016年 『童貞の世界史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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