内部被曝の脅威 ちくま新書(541)

  • 250人登録
  • 4.05評価
    • (35)
    • (38)
    • (16)
    • (4)
    • (2)
  • 38レビュー
  • 筑摩書房 (2005年6月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480062413

内部被曝の脅威 ちくま新書(541)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 林麻衣子所蔵。篠原ゆかさんに貸しています。

  • 2005年刊。◆核エネルギー使用に伴うゴミが、体内に蓄積されることで生じる内部被爆。この問題について、湾岸戦争で利用された劣化ウラン弾、広島・長崎原爆の後遺症などから解説。また、戦後、原爆症の認定を受けられないまま死亡した低線量被爆者を医師として診察した経緯等も描写。内部被爆による影響は、低線量ながらも、長期かつ近接しており、影響は距離の2乗に反比例するから座視できない影響あり。また、影響が科学的に証明されてからでは遅い。本来は被爆国として当然だが、フクシマ以降はより一層意義深く、読み継がれて欲しい書。

  • 新書文庫

  • 原爆から劣化ウラン弾まで ―
    http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480062413/

  • 書名通り。
    また、サブタイトルに「原爆から劣化ウラン弾まで」とあります。
    アメリカ軍がイラク戦争で用いた劣化ウラン弾のことについても触れていますが、ここの部分は被曝の被害もさることながら、それ以上に、イラク国内の医療の悲惨な現状が述べられているので、無視できない部分、知っておかなければならない事実があります。

  • 福島の事故で、被ばくに関して自分は何もしらないことに気が付き、早速、入門として新書を読んでみた。
    作者の肥田医師は広島の原爆を体験し、原爆被爆患者を60年以上診てきた医者&活動家。鎌仲氏は、新進気鋭の社会派映像ジャーナリスト。両者とも、私は3月の原発震災が起こるまで知らなかった。

    そもそも、「内部被ばく」という言葉じたい、福島原発以前には馴染みがないものでであった。外部から受ける放射線からの被ばくは、たとえら医療の放射線を浴びる原爆の直接的な被害であったりするわけだ。しかし、違う意味で恐ろしいのは、体の内部に放射性物質を取り込んでそこから出る放射線によって被ばくすることである。広範囲で長期にわたる障害が出るので、原発を推進する側が一番隠しておきたい真実である。実際、内部被ばくの影響はかなり過小評価されており、国際的な基準さえも何らかのバイアスがかかっている可能性が大きい。

    この本では、広島・長崎での原爆後遺症としての内部被ばく、イラクや湾岸戦争で使われた劣化ウラン兵器が及ぼす内部被ばく、アメリカにおける核施設(原発や核兵器製造工場、ウラン再生工場など)周辺の内部被ばくなどが語られている。

    広島・長崎の原爆投下後、被爆者データはアメリカ軍が管理することになり、被曝者も医療従事者も、症状などをカルテに残したり書き残したりすることは禁じられていたそうだ。データの収集と分析はアメリカによって行われ、結果として「広島・長崎での長期的な原爆の影響は認められない」ということになってるようだ。このような見解は、現在の福島原発の解説などでも何度か聞いた言葉である。日本政府も戦後13年間も、広島・長崎の被曝者への調査、援助などは一切行わなかった。要するにほったらかしだったのだ。ずいぶんたくさんの人が、内部被ばくによる影響で命を落としていったようだ。

    ほかにも劣化ウラン兵器による被害のことなどが書かれているが、2005年に書かれた時点では、劣化ウラン兵器の健康に対する影響についてはWHOの調査などは実施されていないようだ。ただ、そこで働いている医師や、日々病んで死んでいく人たちだけが被害の深刻さに耐えている状況だ。

    福島収束のあと、日本人が経験するのは、まさにこの内部被ばくの恐怖であると思う。長期にわたる放射性物質の漏出によって、日本のおそらく広範囲の土地や水、空気が汚染され、結局それは私たちに降りかかってくる。被害はたぶん数十年後に表れ、またそれも何世代にもわたって続く可能性がある。そして、健康被害が出ても、もしかしたら本人は自覚することもないかもしれない。自覚しなければ誰を責めるでもなく、個人の問題として終わるだろう。
    内部被ばくの被害は、そんな形で世界各地に点のように散らばっているのだ。ヒロシマも、アメリカ各地の核実験も、チェルノブイリも、フクシマも、本当は全部つながってるのに。

    放射能による内部被ばくの可能性は、原発がある地域ならぜったいに無視できない(でもいままで無視されてきた)。放射線は人体には有害である。そして政府は絶対に助けてくれない。
    これを事実と見て、それからどうするのか。これだけ原発や兵器工場や核廃棄物がいっぱいのこの世界で、いったい人間はどうやって生きていけばいいんだろう?フクシマ後、日本はどうするんだろう?いま考えているけれど、どうしたらいいのか全くわからない。世界はこんな状況にまできてるんだ、とほとんど放心状態である。

  • 刊行されてから10年近く経つのに状況は悪くなる一方
    後戻りできないこと知ってるから怖くて想像しないようにしてるってことなのかな
    結局想像力が足りないってことなのかな

  • 医師である著者の肥田舜太郎氏は、1917年の生まれである。28歳の時、広島郊外で被爆し、キノコ雲を見る。はじめは重症患者の治療に当たるが、やがて、ピカ(閃光)に遭っていない、爆発の数日後に広島市内に入った人たちが、頭髪が抜け、血を吐きながら死んでいくのを目の当たりにする。被爆後何十年も経っても、原爆の後遺症である「ぶらぶら病」に苦しめられる人もいる。著者は、こうした患者と向き合いながら、60年にわたって内部被爆の研究に携わってきた。

    微量の放射線が人体に与える影響については、諸説がある。しかし、仮に著者の主張のすべてが正しいとは限らないとしても、本書は自身の直接の体験に基づいているため、説得力がある。とりわけ、第2章には圧倒される。

    占領米軍は被爆者を集めて検査を行ったが、治療は一切行わず、死亡者は解剖されて臓器はすべてアメリカに送られた。日本人による原爆症の調査、研究は一切禁止された。アメリカはまた、原爆投下前に、プルトニウムを人体に注射するという人体実験も行っていたという。

    現在でも、内部被曝を正確に測定する装置はない。著者は、「少しの放射線は心配無用」という「閾値仮説」に反対し、近藤宗平氏の『人は放射線になぜ弱いか』を批判している。また、「自然放射線も人工放射線も人体に与える影響は同じ」という仮定にも異を唱える。なぜならば、天然に存在するカリウム40はすぐに排出されるが、人工の放射性物質は特定の臓器に濃縮されやすいからだ(ヨウ素131は甲状腺に集まり、ストロンチウム90は骨に沈着する)。それにしても、被爆した著者がまだ元気で存命だというのは驚きで、放射線に対する耐性が人によっ大きく異なることを示している。

    もう一人の著者、鎌仲ひとみ氏は「ヒバクシャ」というドキュメンタリー映画を制作している。ヒバクシャは、世界中にいる。イラクでは湾岸戦争後に白血病の子供が急増したが、それは米軍が使用した劣化ウラン弾によるものと考えられる。また、アメリカ・カリフォルニア州ハンフォードにはプルトニウムの生産工場があり(長崎に投下された原爆もここで製造された)、その風下地区では多くの人が放射線障害に苦しめられている。この地区で生産されたジャガイモはマクドナルドのポテトになり、一部は日本にも輸出されたという。

    核エネルギーを利用することの問題点は、放射線という「毒」が発生することだ。核兵器を使用しなくても、核兵器を保有しようとしたその瞬間から、被曝は始まっている。ウラン鉱山でのウランの採掘に始まって、兵器を製造する過程で、莫大な数の人たちが被曝させられる。けれども、どこの国家も、決してそのことを認めようとはしないのである。

  • Blindness is guilty

全38件中 1 - 10件を表示

肥田舜太郎の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
高野 和明
ヴィクトール・E...
古賀 茂明
有効な右矢印 無効な右矢印

内部被曝の脅威 ちくま新書(541)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

内部被曝の脅威 ちくま新書(541)を本棚に「積読」で登録しているひと

ツイートする