高校生のための評論文キーワード100 (ちくま新書(542))

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480062420

感想・レビュー・書評

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  • かなり長い時間をかけて読み終えた一冊。

    「形而上」とか「アプリオリ」とか、あ、なんだったっけ?と、出会うとうろうろする語がある。
    そういう語を、背景を含めてイメージすることが出来たらいいなあという願望で購入したわけで。

    そこらの単語帳(を作っている人には申し訳ないが)を購入するより、自分の願望は叶えられる結果となった(気がする)
    収録語数が100語と限られている点が残念なのだが、これが辞書並みの分厚さを持っていたならば、きっと必要な部分しか読まなかっただろうとも思う。

    「導入(ポイント)」「切り口(拝啓)」「展開」という視点から見ていくのだけど、どの語も説明が本当にわかりやすい。

    たとえば「隠喩(メタファー)」の項目を引用する。
    「隠喩はさらにぼくたちの思考方法を規定することがある。たとえば指導する者を「頭」と呼び、使われる者を「手足」と呼ぶような比喩は多い。人間の身体は隠喩の源泉でもあるのだが、それがぼくたちの思想を規定してしまうことも考えておくべきだ。」

    「真理を太陽の光でイメージするように、西洋の思考方法は西洋の伝統的な隠喩の力で規定されているのだ。このことを自覚することは大切なことだ。西洋の思考の枠組みを作りだしているもの、西洋の思考の運動を背後で動かしているものがわかれば、その思考方法につきものの落とし穴に落ちることを避けられるかもしれない。」

    私たちが言葉を使っている意識は、私たちは言葉によって規定されているという指摘で、ぐっと立ち止まる。
    そして、それがどのような弊害をもたらすかまで、踏み込んで説明をしてくれる。

    そういう怖さまで考えさせてくれる、良書である。

  • 内容は高校生には若干難しめだが、評論文の頻出単語を背景も含め理解しておくにはとても良い本。

    高校生でなくとも、少し難しい用語の簡単な辞書として用いることができる。

  • 読み終えました。
    高校生向けに、分かりやすく、しかしレベルを落とさないで書くというのは
    素晴らしい力量だと感嘆。
    (2012年11月14日)

    再読しました。
    (2012年12月24日)

  • 内田和夫先生 推薦

    近代と現代の人と社会を論じる上でのキイワードに疎い人にはぜひ、という本。

     本学は社会科学系の学問を学ぶところだ。社会科学は西洋の思想伝統から誕生したものであり、社会をつかむキイワードは西洋哲学の思考にその源をもつといってよい。逆にいえば、西洋哲学の基本語彙の解説を身につけると、近代社会と現代社会を語る話が分かりやすくなる。
     この本は、高校生の現代文入試受験準備のために編まれたものだが、大学生にも十分役立つ。たとえば、一元論と二元論、エゴイズム、概念、貨幣、環境、記号、規範、共同体、近代、というキイワードが、見開きページで解説される。そのキイワードの歴史的意味変遷と現在の意味理解上の論点が整理されているので、用語の理解が深まるのである。

  • 評論文によく出てくるキーワード100個について、定義やさまざまな切り口からの見方を述べてある。
    小論文対策にいいかも、と思った。
    哲学的な解説が多いのが特徴かもしれない。
    ただ、これを高校生がすべて理解するのは大変な気がする。

  • 100の基本用語をそれぞれ2000文字ていどで解題する、人文系入門の良書です。
    「一元論と二元論」「外延/内包」「イデオロギー」などまとめにくい用語すらも2000字程度でそこそこ不足なくやさしい言葉で説明できる文章力は、素直に賞賛していいと思います。
    主語に「ぼくたちの」を乱発しているあたりが、一応高校生向けぽいってことなのかな?
    でもこの本を咀嚼できる高校生は、かなりヒネてるんじゃないかなぁ。

  • [ 内容 ]
    評論文が読めるようになるための近道は、独特で難解な用語を根本から理解すること。
    本書は、最新の入試傾向を踏まえて、読解上欠かせない100語を厳選して収録。
    それぞれ見開きで、定義およびその語が持っている思想的背景や、押さえておきたい文脈などを複数提示する。
    これらの用語を、ただ辞書どおりの意味ではなく、もっと深い背景も含めて把握できれば、評論文中での文脈をある程度推測する力がつくのではないか。
    文章を読む〈視点〉が養える、「急がば回れ」の一冊。

    [ 目次 ]
    アイデンティティ
    アイロニー
    アウラ
    アナロジー(類推)
    アプリオリ/アポステリオリ
    アレゴリー
    異端
    一元論と二元論
    イデオロギー
    イメージ〔ほか〕

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 「形而上/形而下」や「認識論」など、これって本当に高校生に必要なのか?と思ってしまう。
    これを理解している高校生は、きっと受験勉強そっちのけでマイワールドを構築している人なんだろうな~。
    そういう人、大好きだけど。

    いずれにせよ、100項目のキーワードにつき見開き1ページで解説しているというある種の便利さは存在する。
    評論文対策というより、100項目の中から具体的に学部で何を勉強したいのかという指針として活用できる書物。

  • 兄から受け継ぎました!
    受験に活用できたら幸いだなぁ・・・
    ちょい読みにくいかなぁ。

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著者プロフィール

中山 元(なかやま・げん)
1949年生まれ。東京大学教養学部中退。思想家・翻訳家。著書に『思考の用語辞典』などが、訳書にカント『純粋理性批判』、ハイデガー『存在と時間』などがある。

「2022年 『道徳および立法の諸原理序説 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中山元の作品

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