哲学思考トレーニング (ちくま新書 (545))

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 1161
感想 : 71
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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480062451

作品紹介・あらすじ

テツガクなんて小難しいだけで、日常の現場では何の役にも立たないのでは?否、それは工夫しだいで思考のスキルアップに直結するものだ。本書では、分析哲学、科学哲学、懐疑主義、論理学、倫理学などの思考ツールを縦横無尽に使いこなす術を完全伝授!もっともらしい屁理屈や権威にだまされず、かといって不毛な疑いの泥沼に陥ることもなく、一歩ずつ筋道を立てて考え抜くコツが身につく。すぐにも応用可能なノウハウを習得しながら、哲学的思考の真髄も味わうことのできる、一粒で二倍おいしい知の道具箱。

感想・レビュー・書評

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  • 全体を通して、文章が読みやすい。説明が上手である。まさに本書もテーマ、そのものを実現している。一度は、疑ってみる。あらゆる事象に接して生きている。疑う事を、方法、クリティカルシンキング、という方法を使うと、思考を整理しやすくなる。議論する場合、その手法についても紹介している。
    例に使われている
    科学的実証と疑似科学として「今西進化論」えお取り上げる。デカルトと懐疑主義、「生きる意味」を価値から考える。価値主張のクリティカルシンキングは、異なる価値観との対峙に役立つと思われる。
    デカルトの方法の説明
    方法的懐疑⇒デーモン仮説⇒思考実験
    についての説明は分かりやすい。

    • だいさん
      http://www.evernote.com/shard/s37/sh/0f20f12a-0361-4e7f-a44d-f98ef4d30...
      http://www.evernote.com/shard/s37/sh/0f20f12a-0361-4e7f-a44d-f98ef4d30594/316e131804f20029e48daebe007beab3
      2013/11/30
  • 哲学とは思考法を探求する学問である.この本はクリティカルシンキング,情報・主張・議論を吟味してより深めるためにはどうのような思考法があるのかをわかりやすく紹介・理解するための入門書であり,その先のレベルへ誘うガイドとなる.

  • 哲学的クリティカル・シンキングの入門書です。

    クリティカル・シンキングには「修理型」と「改築型」があり、修理型のクリティカル・シンキングが「人間の思考はどういう間違いを犯しやすいかを学び、その間違いを避ける方法を考える」もので心理学などがベースになっているのに対し、改築型のクリティカル・シンキングは「どういうルールにしたがって思考すると正しい結論につながるか、という基礎の部分から考えていく」ものとされています。本書で扱われているのは「改築型」のクリティカルシンキングで、科学哲学や倫理学における方法論的な考察を組み込んだ内容が扱われています。

    通り一遍の入門書ではなく、今西進化論を題材にした科学的言明の信頼性についての検討や、デカルトの包括的な懐疑に対する文脈主義の発想を利用した「疑う技術」の紹介、さらに、価値判断についての意見の相違を理性的な討論を通じて乗り越えるための技法などのテーマが考察されていて、おそらく著者自身の哲学的な立場が反映されているように思えます。個人的にこれらのテーマ自体に興味を覚えたので、おもしろく読み進めることができたのですが、その一方で、もう少し教科書的な叙述がなされている哲学的クリティカル・シンキングの本も手にとってみたいと感じました。

  • オフィス樋口Booksの記事と重複しています。アドレスは次の通りです。
    http://books-officehiguchi.com/archives/4283659.html

    「この本の対象は大学生、論理的思考を身につけたい社会人である。筆者は論理的に考えるための習慣として疑うことをあげている。疑う習慣をつけるために、筆者が取り上げた例題を用いるとよい。

    筆者が疑うための例題として、第1章では自動車と飛行機の相対的リスクについて書かれている。この相対的リスクの事例については吟味が甘くなってしまうことを取り上げている。ここでは例題を取り上げないので詳しくはこの本で参照してほしい。

    第2章から第5章まで、先行研究、善し悪しについての主張(この本では「価値主張」)を取り上げている。第1章で論理的に考える練習をしてから、第2章以降の応用分野に幅を広げてほしいと思う。」

  • 正しい議論や適切は判断とはどのようなものかを哲学分野のトピックを土台に解説する議論についての入門書。
    時々、何が言いたいのかわからない箇所も見られたが、全体として実践までを視野に入れて丁寧に書かれた良書だった。
    前半は適切な議論の構造についての説明から始まり、その議論の妥当性を認めうる判断軸を分析哲学と科学哲学の分野からいくつも紹介している。
    後半は価値観の相違によって議論が停滞する事態をどのように乗り越えるかを紹介するエキサイティングで、非常に有用な内容だった。
    議論が白熱して核心に迫ったところでお互いの価値観が食い違いが発覚し、それ以降は建設的な議論が難しくなるケースというのは本当に良くある。そういった場合は価値相対主義を言い訳に議論を諦めていたが、本書ではそこの乗り越え方を具体的な形で提供してくれている。

  • 研究を進める時に知っておきたいエッセンスが詰まっている。大学院生にオススメ。

  • 「クリティカル・シンキング(批判的なモノの見方)を紹介した新書。

    他書の有名な本に野矢茂樹「論理トレーニング」(産業図書 1997)などがある。これに比べると、新書の枠内なのか、図や表が少ないので、あくまで入門書としての活用になると思う。

    内容は、本当に基本を押さえているという感じだった。これは、確かに哲学的思考?といえば、哲学的思考だが・・・。

  • 数ある本の中でも、私の知となり肉となっている本。
    わかりやすくいろんなことが書いてある。
    思考がやわらかくなった気がする本。

    同著者の「疑似科学と科学の哲学」もお勧め。

  • 哲学思考トレーニングというタイトルであるが、内容はクリティカルシンキングの入門書。哲学、論理学、科学の視点から日常生活に活かせる思考のツールを提供してくれる。デカルトの方法的懐疑もクリティカルシンキングの対象に。

  • [出典]
    「遅考術」 植原亮

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著者プロフィール

1968年生まれ
1999年 京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学
2001年 メリーランド大学よりPh.D.(philosophy)取得
    名古屋大学大学院情報科学研究科准教授等を経て
現 在 京都大学大学院文学研究科教授

著書:
『動物からの倫理学入門』(2008年、名古屋大学出版会)
『科学技術をよく考える』(共編、2013年、名古屋大学出版会)
『宇宙倫理学』(共編、2018年、昭和堂)他

「2022年 『宇宙開発をみんなで議論しよう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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