帰ってきたもてない男 女性嫌悪を超えて (ちくま新書 (546))

著者 :
  • 筑摩書房
3.01
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本棚登録 : 210
感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480062468

作品紹介・あらすじ

ついに、あの男が帰ってきた!一度は結婚し、裏切り者呼ばわりもされたが、今また、独り身になり、より弱気になって帰ってきた。二十一世紀を数年経過した現在における「もてない男」、とくに今度は「男のセカンドヴァージン」「三十代美人どもの高飛車ぶり」などの観点から、恋愛、結婚、負け犬、出会い系サイト、女性嫌悪、等々の男女関連諸問題を斬ってゆく。痛快無比な真剣勝負。

感想・レビュー・書評

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  • 笑えるという点ではおもしろかったし、いろいろいろんなこと試したんだという点でもおもしろかった。でも、セックス。って、そんなにしたい!したい!いうことなのかなあと思った。もう聞き飽きた男の性欲は女とは違う論がまたしても繰り返されるし、そのへんに爆笑というか失笑というか。。だいたい、セックスは男がしたいからするもんではないと思う。両方がしたいからするというのが理想で、まあ、いにそまなくてもする場合もあるとは思う。ただ、付き合っていても結婚していてもレイプは成立するのだから、好きな女に好かれたところで、いつでも自分のしたいときにしたいセックスができるということにはならない。好きだからとて、相手のしたいようにいつでもセックスさせるような女はあまりいないと思う。彼が条件に挙げていた、高学歴で、源氏物語ぐらいは現代語訳で読んでいて、年齢は35歳以下で、容姿もそこそこっていうのは、かなり難しいと思う。し、もしそんな女子がいたとて、筆者のようなものの考え方をする人を愛するはずもない。どうして、こんな隠すべき自意識の発露みたいな本が新書になっているのかといえば、やっぱり読んで笑うためだとしか思えないんだけど、どうなんだろう。引用されている、谷崎やら、岸本葉子さんやら、漱石やら、独身知識人の関川夏夫さんやらがかわいそうに思えた。

  • 何回か読み直してこの本の主張をピックアップしてみた。
    ・社会は真に「モテない」人間の存在を無視している
    ・どんなに努力しようと、相手にされない人間というのは存在する
    (インテリの人類平等思想はくそくらえ)
    so what?と思わないでください。

    この著者、もし恋人だったら何かあるたびに理詰めで詰問されそうだ。こりゃもてないと思った。
    また、ブログを見た感じ「売られた喧嘩は買い置きがあっても買う」タイプらしくかなり敵が多そうだが、その分自分を誇大化して偉ぶるようなことは無い様に思う。その点呉智英に似ている。

  • 小谷野さんの本のおもしろさは、古今東西の書物の知識を披露しながら、俺はなぜもてないのかというきわめて通俗的な願望を辱めもなく告白する点であろう。今回はなんとサイトから結婚相談所まで手をのばすも理想とする才色兼備の女性にはめぐりあえない。「もてない男」が読者にもてるのは、きっと俺の方が小谷野よりましだ、もてるという優越感をそのときだけでももてるからではないだろうか。

  • 雑誌の連載をまとめたものであり内容に一貫的なまとまりがなく、あまりおもしろくない。

    面白いのは、著者自身が婚活出会い系サイトや婚活サービスに申し込もうとする実際の体験談くらいである

    28
    人は誰でも努力すれば何とかなるというのは戦後民主主義の欺瞞

    29
    人間には先天的ないしは10-15歳ぐらいまでの環境によって形成された能力差があってそれは事後的に変えられないという事実を認めようとしない欺瞞

    人間には先天的な能力差がある

  • 小谷野氏の代表作「もてない男」の続編。ざっくり言えば女性にもてないことを根源とした恋愛論、女性論であるが、著者の主張には肯首できる部分とそうでない部分があるものの、論旨は明解で面白い。要所要所で著者の実体験を記しており、それらに裏打ちされた主張は単なる言葉の羅列よりも重く感じる。

  • 東大の大学院を出ているインテリらしい内容。

  • 正直、眉を顰める向きも少なくないんじゃないかって内容ではある。でも、それは本作者に関しては折り込み済みな訳だし、ここで目くじら立てても仕方ない。という訳で、個人的には純粋におかしみました。これをかいているときの著者と、今の小生がちょうど同い年ってのも奇遇で、より楽しめたって部分もあるのかも。とはいえ10年以上前の著作だから、出会いの在り方とか、この頃とは更にまた違ったものになってるなぁ、って印象。谷崎作品とか、彼の女性遍歴とかを事ある毎に引きまくってるけど、よほど好きなんですね。

  • 2005年刊行。本書ないし著者の底流にあると思われる、現代男女関係における男性弱者論には共感かつ、いつも納得させられる。著者は国際日本文化研究センター客員助教授。

  • 『もてない男』(ちくま新書)の続編。前著は、文学作品の中から題材を引っ張ってきて議論を組み立てるという方法で書かれていましたが、今度はより直截に著者自身の考えが語られています。同時に、前著に対して寄せられた批判への応答もなされています。

    そのほか、かつてテレクラに電話を掛けたエピソードを告白したり、出会い系サイトや結婚紹介所に出かけたりといった、おもしろいエピソードもあります。前著のような文学談義を求める読者には、不必要なエピソードで水増ししただけに思えるかもしれませんが、個人的には、著者の「完全に分かった上でやってる」のに、あえて呆けて見せるスタイルが楽しめました。

  •  面白かったし、「恋愛にも才能が必要」とか何となく納得出来る部分も多かった。この本には、切ない青春時代を送ってきた著者の怨念と哀しみがこもっているような気がする。怨念と悲しみを論理的に分析して、文化人類学と社会学と文学の知識で味付けしてある感じ。でも、読み終わって特に達成感はないな。何かを得たという感じは全くしない。読んでいて面白いから、それはそれで良いんだけれど。

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著者プロフィール

小谷野 敦(こやの・あつし):1962年茨城県生まれ。東京大学文学部大学院比較文学比較文化専攻博士課程修了、学術博士。大阪大学助教授、東大非常勤講師などを経て、作家、文筆家。著書に『もてない男』『宗教に関心がなければいけないのか』『大相撲40年史』(ちくま新書)、『聖母のいない国』(河出文庫、サントリー学芸賞受賞)、『現代文学論争』(筑摩選書)、『谷崎潤一郎伝』『里見弴伝』『久米正雄伝』『川端康成伝』(以上、中央公論新社)ほか多数。小説に『悲望』(幻冬舎文庫)、『母子寮前』(文藝春秋)など。

「2023年 『直木賞をとれなかった名作たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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