よく生きる (ちくま新書)

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著者 : 岩田靖夫
  • 筑摩書房 (2005年11月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480062680

よく生きる (ちくま新書)の感想・レビュー・書評

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  • 新書にしては大変重量のある内容であり、質、量ともに充実していた。
    よく生きる、というテーマについて導き出されたいくつかの提案は、是非とも自分の目で目にするべきだと思うが、特に感銘を受けたのは、第3章の「神について」である。

    その存在についてスピリチュアルな考察をするのではなく、よく生きないといけない理由、善き人でなければならない理由、そうあろうとする理由が、心に訴えかけられる。

    非常に意義ある読書体験だった。

  • 著者がおこなった講演や研究発表の中から、「よく生きる」という問題に関するものを13編収録している。やさしい語り口だが、扱われている問題はきわめて本質的だと思う。

    自分がもって生まれた能力を可能な限り展開させて生きてゆくこと、すなわち「自己実現」は、人間の生にとって重要な意味を持っている。だが、このことは人間が「生きること」の半分にすぎない。あとの半分は、他者との交わりのうちにある。自分を強くして、自分を守って、自分が傷つかないようにいつも用心していると、人は孤独になる。自分の「傷つきやすさ」(vulnérabilité)を他者にさらすとき、はじめて本当の意味での他者との交わりが開かれる。

    著者はこうした他者との交わりの根源を、ユダヤ・キリストの神の概念の中に見ようとしている。新約聖書には「神は愛である」という言葉がある。神が自己自身の中で自足していたのであれば、世界を創造するはずがないと著者は言う。神は愛であるがゆえに切に他者を求め、世界を創造したのである。愛の発露は、相手の応答を求める行為である。その相手は、反抗にせよ同意にせよ、自分に応答しうるものでなければ愛は成立しない。ここから著者は、神がみずからに反抗しうる人間を創造したのは、神自身が人間の反逆のために苦しんで苦難を受けることを求めたのだと述べる。

    私たちは神の姿を直接見ることはできない。ただ、『マタイ福音書』に記されているように、「この世でもっとも弱い者、もっとも虐げられている者、もっとも孤独な者、もっとも見捨てられた者の姿をとって神は現れる」のである。こうした著者の考えの背後にあるのは、弱者からの呼びかけに神の痕跡を見ようとするレヴィナスの思想と言ってよいだろう。

  • ソクラテスや福沢諭吉などの話などを出し、「よく生きる」ということを解説している。

    人間の長い歴史の中でようやくたどりついた民主主義。人は自由に生きることが大事であって命令や権力に左右されるべきではない。自己実現が生きることであるが、人間が本質的に持つエゴイズムがそこにはどうしても現れてくる。

    財産とか名誉とか社会的地位とか何だとか宝物をいっぱい抱え込むと人間は自由を失う。人間が憧れを持つのは「力」でそれによって人をひきつけ存在を強めようとするエゴイストである。それを得ることは「善く生きる」ことなのか?そうじゃない。

    なんで生きているのか?それはかけがえのない人に出会うためである。と著者はいう。

    自分の中に自分というものは存在せず、他人との関わりの中で自分が存在するのである。

    自分がどんなに力をつけて自分に見せつけたところでどうなる。大事なのは他人との交わりのなかで自分の存在の意味が見えてくるということだ。

    非常に読みやすい語り口で、大事なことを何回も違う表現などで繰り返すのでとても頭に入ってくる。「善く生きる」ということを考えさせられたと同時に「生きるとは何か」に納得がいき腹落ちした。

    色々な物語も混ぜられすごい読みやすいです。良書。

  • 「私と他者との間には深淵があるということです。」

    読み終わってから2年以上あるが、頻繁に心に浮かんでくるフレーズ

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