国語教科書の思想 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 359
感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480062703

作品紹介・あらすじ

戦後の学校教育は子供の人格形成を使命の一つとしてきた。現在、その役割を担っているのが国語である。「読解力低下」が問題視される昨今、国語教育の現場では何が行われているのか?小・中学校の教科書、なかでもシェアの高いいくつかの教科書をテクストに、国語教科書が子供たちに伝えようとする「思想」が、どのような表現や構成によって作られているかを構造分析し、その中に隠されたイデオロギーを暴き出す。

感想・レビュー・書評

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  • 自身の国語教科書の分析をテクスト論的構造分析だの言うのは少々大袈裟だが、つまらない教科書に付き合ってたら大仰なことも言いたくなるのだろう。最近の教科書を知らないので、その点興味深かったが、矢張り、教科書のイデオロギー性を今さら暴露したところで…という感しきり。そしてこの著者、結局は国家とか資本主義とか体制は批判するのだろうけれど、教科書をたっぷり浸している戦後民主主義に対しては牙をむかない訳で、また本当の「批評」を教える国語教育をと謳っているが、本当の批評ができる人間は教科書なんて丸めて嫌いな奴をどつくものくらいにしか考えないだろう。結局戦後民主主義的な「幼稚」さが詰められた教科書ということになるが、矢張り、問題は教科書ではなく「教師」という代物(イデオロギー性云々だけではなく、キョウイクシャの一般的な教養・学問レベルの質ということだ)だということに言及する警世家は現れない。

  • 納得。2005年の本だけど、現在も全然状況は変わってない。

  • 教育

  • 高校2年生の時に読んだ。とても参考になった。

  • ちょうど塾で中学国語を教えていて、「反論する方法」みたいな単元で、文章に潜んでいる前提を書け、みたいなのをやった。石原が本書でやっていることと全く同じで、あれは教科書準拠の教材だったが、カリキュラムも変わっているのかな。しかし、石原の提案にしても塾での授業にしても、今の子どもは高度な勉強してるな、と思った。

  • 2017/01/16
    クッキーの命日

  • 2005年刊。

     義務教育期間に国語科が身につけさせるべきとしているのは、読解力でも表現力でもない。まして批評能力でもない。
     それは道徳的正しさだ。
     この観点で、国内で高い採用シェアを占める教科書の記述を解析していく。

     やや独善的解析、舌足らずな説明もないではないが、光村図書の小学五年(下)での書籍全体の構造分析など、十分納得できる点も多い。
     なにより国語の授業が読解とは程遠かった意味・理由を的確に言い当ててくれた点を評価したい。

     ちなみに、PISAの結果での記述問題等に「無回答」が多い点が(国語)教育の問題点を雄弁に物語るよう。

  •  現代日本の国語教育の危うさ、アンバランスがよくわかった。小学校、中学校の教科書の内容が懐かしく感じた。

  • 小学校や中学校で使われる国語の教科書にテクスト分析の手法を適用することで、そこに働いている権力のありようを解明する試みです。

    ただし本書は、「学校」という空間の権力分析をおこなう理論的著作ではなく、もっと論争的な意図を持って書かれた本というべきでしょう。イデオロギー装置としての現代の国語教育に対して、著者ははっきりと反対の態度を表明し、あるべき国語教育について積極的に「提言」をおこないます。「あとがき」によれば、「道徳教育で押さえ込むのをやめて、「批評」活動を通して「個性」を育てる方向へシフト・チェンジしなければ、日本はもう世界で生き残れないのではないだろうか」という思いが本書を書かせたということですが、やや性急に「国語教育への提言」へと踏み込んでいるような印象も受けます。

  • 結論はごく常識的で多少展開が荒いところもありますが、興味深いテーマなのでオススメです。

    【書誌情報】
    シリーズ:ちくま新書
    定価:本体720円+税
    Cコード:0237
    整理番号:563
    刊行日: 2005/10/04
    判型:新書判
    ページ数:208
    ISBN:978-4-480-06270-3
    JANコード:9784480062703
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著者プロフィール

1955年生。早稲田大学教授。著書に『漱石入門』(河出文庫)、『『こころ』で読みなおす漱石文学』(朝日文庫)、『夏目漱石『こころ』をどう読むか』(責任編集、河出書房新社)など。

「2016年 『漱石における〈文学の力〉とは』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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