ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

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著者 : 梅田望夫
  • 筑摩書房 (2006年2月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480062857

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ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)の感想・レビュー・書評

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  • ■組織と個とブログ
     確かに初めて会う前には、検索エンジンを使って相手のことを調べ、その人に関するネット上の情報を前もって読んでおくというのは、個で仕事をする人たちの間では、ごくごく自然の振る舞いとなった。その意味でブログは、個の信用創造装置としての役割を果たすようになりつつある。
     私ももう実名で何年も続けてブログを書き、同時に多くのブログを読んできた。知人と頻繁に会わずとも、またときには見ず知らずの相手とも、ある種の信頼関係を生み出し得る舞台装置のような意味を、ブログから強く感じる。
     大組織に属する人たちの多くは、個としての情報がネット上に流れることを嫌いがちだ。個人情報をさらせば組織内で無用な詮索をされるケースもあるし、大組織の看板で仕事をしている場合には、個としての存在感を表に向かって出す必要がそもそもない。大組織の内部が素晴らしいコミュニティとして完結している場合には、そのコミュニティの外部に個として出ていく理由も存在しなかった。しかし日本も大きく変化している。
     私は一九九四年に渡米したが、外から見る日本の変化は激しい。特に金融ビッグバンあたりを分水嶺に、九〇年代後半から変化が加速しているように感じる。日本ビジネス社会における大きな変化は、大学生や大学院生が就職先を考えるときの選択肢の中に、「共同体意識に縛られた日本の旧来型組織」の外で質の高い仕事ができる場所が増えたことである。そういう場所は、私が大学を卒業した八〇年代前半にはとても少なかった。
     たとえばIT系外資と言っても、当時は日本IBMと日本DECを除けば質の高い仕事ができそうな就職先はほとんどなかったが、今はたくさんある。金融の世界も大きく変わったから、外資系投資銀行、プライベート・エクイティ・ファンド等、さまざまな選択肢がある。プロフェッショナル・ファームという概念も当時はなかったが今は当たり前だ。そしてベンチャーの概念も大きく変わった。
     さらに日本の旧来型組織の中でも、カルロス・ゴーンの日産自動車、ダイエーやカネボウのように再建過程で資本構成が変化して経営や組織のあり方が様変わりした企業などが日に日に増えている。四十代でCEOや社長になるというキャリアパスなど昔は全くなかったが、これからは当たり前になる。
    「共同体意識に縛られた日本の旧来型組織」以外に職を探そうとしても、いまはふんだんに選択肢がある。日本組織の暗黙のルールは「日本は雇用流動性が低いから、共同体に忠誠を尽くすことが最優先事項」であったが、その外で通用するスキルを持つ人にとって、日本ビジネス社会の雇用流動性はかなり高くなった。雇用流動性が高くなったということは、「内向きの論理」だけでは生きていけず、組織に属しながらも、外を常に意識しなければならないのが当たり前になるということだ。
     その意味でも、個の信用創造装置・舞台装置としてのブログの意味合いは、今後ますます大きくなる。人口全体で見れば「表現者として飯が食えるか」などと考える人はもともと少数派なわけで、広く一般的経済活動の一環で個と個の信頼関係を紡ぎ出す場としてのブログの意味合いに比べれば、むしろ小さな話であるとも言える。
     もう一つ重要なのは、ブログは個にとっての大いなる知的成長の場であるということだ。fladdict.net blog の「知的生産性のツールとしてのブログ」という文章がある。ブログを書き続けることによる自らの成長がこんなふうに書かれている。
    「実際ブログを書くという行為は、恐ろしい勢いで本人を成長させる。それはこの一年半の過程で身をもって実感した。(中略)ブログを通じて自分が学習した最大のことは、「自分がお金に変換できない情報やアイデアは、溜め込むよりも無料放出することで(無形の)大きな利益を得られる」ということに尽きると思う。」
     そしてその「溜め込むより無料放出」についてはさらにこう詳述される。
    「まず個人にとってのオープンソースとかブログとは何か。それはポートフォリオであり、面接であり、己の能力と生き様がそのままプレゼンテーションの装置として機能する。(中略)記事を書き続けることで人との繋がりも生まれていく。転職活動をする場合、相手が読者ならば自己へのコンセンサスがある状態から交渉を始めるアドバンテージを得られる。それだけのものを、金も人脈も後ろ盾のない人間が手に入れる唯一の手段が、情報の開示なのだと思う。」
     情報は囲い込むべきものという発想に凝り固まった人には受容しにくい考え方であろう。しかし、長くブログを書き続けるという経験を持つ人たちにとっては、実感を伴って共感できる内容に違いない。ブログという舞台の上で知的成長の過程を公開することで、その人を取り巻く個と個の信頼関係が築かれていくのである。

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    ウェブの進化論

  • ・5年前に上梓された本のため、現在ではどの程度主張に妥当性があるか分からないが(勉強!)、ウェブ業界の勢力図の壮大なシフトの仕方を俯瞰することができたと思う。つまり、かつての「こちら側」=携帯やATMなどのフィジカルな媒体にイノベーションを起こす世界から、「あちら側」=ウェブ上に蓄積された情報に付加価値を創造する世界にトレンドが動いてきたということ。その筆頭にあるのがグーグルである。
    ・ウェブは言うまでもなく情報を司るものだから、すべての産業の根幹になっていると再認識した。これまで私は、ウェブ業界をなぜか忌避していたきらいがあったが、今後はこの業界の動向をしっかりと追っていきたい。それは仕事に限らず、ありとあらゆる場面でインターネットに触れる身として大切。

  • 10年以上前の書籍ながら今見ても色褪せない。リアルタイムな情報があれば〜という下りはTwitterが実現しているし、目の付け所というか先見性も感じた。グーグルとヤフーの違いとかIT系の論説に引用したい内容多数。

  • 主にグーグルの台頭に注目してインターネットの進化について書かれた本。

    Web2.0の方向性は今も進んでいると思うけど,それ以上のパラダイムチェンジはまだ起こっていない印象。

  • この世界、ルールを変えた者が最初は一番強い。 70

    出版社に対して「飲みやすい提案」を少しずつ出しては徐々に世界を変えていく。
    アマゾンの戦略は実にしたたかである。 104

    「書けば誰かに届くはず」 そんな意識の変化

    株はてなの取締役の方が書いた本

  • 感想書いてなかったみたい。2006年に買って読んだ。

  • WEB2.0とは何か。それを具体的に表し当時話題となった一冊。今でも色褪せない。

  • ちょっと過大評価してる感じはあるけど現状と重なる言説とかもあり興味深かった。

  • Linux は開かれたネット・ビジネスと囲い込み販売の間にあるという意味の指摘は正確だと思う。Google に代表される富の再分配はユダヤ・プロトコルの代替策たりうるか。楽観、無理。非批判。

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ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)の作品紹介

インターネットが登場して一〇年。いま、IT関連コストの劇的な低下=「チープ革命」と技術革新により、ネット社会が地殻変動を起こし、リアル世界との関係にも大きな変化が生じている。ネット参加者の急増とグーグルが牽引する検索技術の進化は、旧来の権威をつきくずし、「知」の世界の秩序を再編成しつつある。そして、ネット上にたまった富の再分配による全く新しい経済圏も生まれてきている。このウェブ時代をどう生きるか。ブログ、ロングテール、Web2.0などの新現象を読み解きながら、大変化の本質をとらえ、変化に創造的・積極的に対処する知恵を説く、待望の書。

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