持続可能な福祉社会: 「もうひとつの日本」の構想 (ちくま新書 606)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480063113

作品紹介・あらすじ

かつての日本社会には、終身雇用の会社と強固で安定した家族という「見えない社会保障」があり、それは限りない経済成長と不可分のものだった。経済成長という前提が崩れ、「定常型社会」となりつつある今、再分配のシステムである「福祉」を根底から考え直す必要がある。本書は、「人生前半の社会保障」という新たなコンセプトとともに社会保障・教育改革の具体的道筋を示し、環境制約との調和、コミュニティの再生を含みこんだ、「持続可能な福祉社会」像をトータルかつ大胆に提示する。

感想・レビュー・書評

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  • 私の原点

  • 日本の政治家は国民を馬鹿にしているし、自分らのことしか考えてないと思うから、医療・福祉いや他のことも、この国には期待しないし、無理やなぁ〜

  • 桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPAC↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/440982

  • 「福祉社会の新たな可能性」

    所蔵情報
    https://keiai-media.opac.jp/opac/Holding_list/search?rgtn=K26699

  • 2006年刊。著者は千葉大学法経学部助教授(元厚生省官僚)。◆日本は定常型社会(極端な経済成長は望めない)に移行したことを前提に、経済成長→失業少、企業型福祉という手法は頓挫する。そんな中で福祉社会を維持するべく、所謂高額年金取得を廃止、相続税強化(といっても、法定相続人4人につき、控除9000万円→6500万円。「最高」税率を50→75%という1988年以前の水準に戻す程度)による財源確保と、広い意味での教育と失業対策という若年層福祉の充実を目指す。その指針・福祉哲学・社会や地縁の現代的変容を論じる。
    欧州型に近似すると思われるが、人口規模がドイツの制度は実はどうなんだろう?。◆所謂市場経済への不信(懐疑)から生まれたのが本論考のよう。ならば、その弱点、すなわち社会主義的な経済政策の問題点は反面教師にし、その弊害の極小化を目指す必要があるだろう。本書とは外れるが、例えば、東独やソ連はどうして経済的苦境に陥ったか。元々存在した購買力が大したことなし?、中央からの計画経済が非効率?。誰か、自由主義礼賛という観点ではなく、実証的に分析していないかなあ。◆本書は理念部分を含め再読必要。

  • 現代日本の社会問題について確証的なデータをもとに論じられていて、わかりやすい。小論文対策に良い。

  • 経済成長を続けていくことができるという戦後日本社会の前提が崩れ、定常型社会への移行が不可避となったという認識のもとで、今後の日本が社会民主主義的な福祉社会への道を歩むべきだという主張が展開されています。

    著者は、これまでの日本社会が、伝統的な「ムラ社会」の原理に則って来たと主張しています。戦後の経済成長は、人びとが「カイシャ」と「核家族」という2つの共同体の下で働くことによって実現されたとされます。しかし、小泉改革の頃から、こうした「ムラ社会」の原理がもはや成り立たなくなり、新たな社会のあり方について考えなければならない時期が到来しています。そして著者は、日本が今後取るべき進路は、経済成長を目標とするアメリカ型の自由主義ではなく、ヨーロッパ型の社会民主主義だと論じられます。

    さらに後半では、経済成長から定常型社会へという「ファストからスローへ」の移行と並んで、「クローズドからオープンへ」の移行が推し進められなければならないという議論が展開されます。そして、従来の「ムラ社会」のような閉鎖的な共同体ではなく、開かれた公共性に基づく「新しいコミュニティ」の構想が語られています。

    個別的な論点を掘り下げるというよりは、社会民主主義的な方向性を総論的に語った本です。教育や環境といった問題も、社会全体の構想とのつながりの中で考えなければいけないという視点は、興味深いと思いました。

  • 5年前に書かれた本を今読んで評価すると、少し点が辛くなる。それは著者の主張がかなり日本の社会においても受け入れられ、当たり前のことのようになりつつあるせいなのかもしれない。
    社会の基本的なありかたについて大きな見取図を示し、大胆な提言をすることの意義は認めるし、その内容にも大きな異論はないのだが、現実はそんなに単純じゃないよ、人間はそんなに理性的で合理的な行動ばかり行う存在ではないよ、という読後感がどうしても残るのだ。

  • 安直な社会民主主義の喧伝、という感じではなく非常に偉そうに言えば、
    地に足の付いた議論だと思ったけど。
    ともすれば何行かで終わりそうな新書の参考文献リストであるが、この本は豊富な文献・資料から書かれており、それも説得力の要因かもしれない。
    若者基礎年金のコンセプトは非常に興味が湧いた。
    大学講義の教科書指定されていたので読んだ。楽しみ。

  • [ 内容 ]
    かつての日本社会には、終身雇用の会社と強固で安定した家族という「見えない社会保障」があり、それは限りない経済成長と不可分のものだった。
    経済成長という前提が崩れ、「定常型社会」となりつつある今、再分配のシステムである「福祉」を根底から考え直す必要がある。
    本書は、「人生前半の社会保障」という新たなコンセプトとともに社会保障・教育改革の具体的道筋を示し、環境制約との調和、コミュニティの再生を含みこんだ、「持続可能な福祉社会」像をトータルかつ大胆に提示する。
    誰もが共通のスタートラインに立つにはどんな制度が必要か。
    個人の生活保障や分配の公正が実現され環境制約とも両立する、持続可能な福祉社会を具体的に構想する。

    [ 目次 ]
    プロローグ 「人生前半の社会保障」とは
    第1章 ライフサイクル論
    第2章 社会保障論/雇用論
    第3章 教育論/「若者基礎年金」論
    第4章 福祉国家論/再分配論
    第5章 定常型社会論/資本主義論
    第6章 環境論/総合政策論
    第7章 コミュニティ論
    エピローグ グローバル定常型社会へ

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著者プロフィール

広井 良典(ひろい・よしのり):1961年生まれ。京都大学人と社会の未来研究院教授。専攻は公共政策、科学哲学。環境・福祉・経済が調和した「定常型社会=持続可能な福祉社会」を一貫して提唱。社会保障、医療、環境、都市・地域等に関する政策研究から、ケア、死生観、時間、コミュニティ等の主題をめぐる哲学的考察まで、幅広い活動を行っている。著書『コミュニティを問いなおす』(ちくま新書、2009年)で大佛次郎論壇賞受賞。『日本の社会保障』(岩波新書、1999年)でエコノミスト賞、『人口減少社会のデザイン』(東洋経済新報社、2019年)で不動産協会賞受賞。他に『ケアを問いなおす』(ちくま新書)、『ポスト資本主義』(岩波新書)、『科学と資本主義の未来』(東洋経済新報社)など著書多数。


「2024年 『商店街の復権』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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