- Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480063120
作品紹介・あらすじ
それと気づかれないまま、人を特定の方向に誘導するマインド・マネジメント。脳科学の知見を取り入れた「心脳マーケティング」に基づくこの手法は、今や商品広告のみならず、政治の世界でも使われている。マス・メディアを通してなされるこの種の「心脳」操作は、問題を「快」か「不快」かの二者択一に単純化し、人を思考停止へと追い込む。「テロとの戦い」を叫ぶ米ブッシュ政権も、「改革」を旗印とする小泉政権も、この手法を用いて世論を動かした。その仕組みを明らかにし、「心脳」操作に騙されないための手立てを提示する。
感想・レビュー・書評
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心脳コントロールの社会において
まず疑ってみることが大切だ。
受動的に得られる情報に対して
正しい判断ができるようになる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
好きか嫌いかの二元論でコントロールされている。
「なぜ」を考えること。
[more]
第1章 商品化される心脳科学
第2章 心脳マーケティングの時代
第3章 ブッシュ政権の「心脳」操作
第4章 人間にとっての言語と心脳
第5章 「小泉劇場」の深層
第6章 脱・心脳コントロールへ -
レビュー省略
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小森先生はやっぱり若干アタマおかしいなと思いつつ大変面白かったです。
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それと気づかれないまま、人を特定の方向に誘導するマインド・マネジメント。脳科学の知見を取り入れた「心脳マーケティング」が、人を思考停止に追い込んで、いまや人々は政府やマスコミのおもうがままに操られているのだと説く。
んだけどさぁ。あまりにも古典的なアジテーション……とおもた。
まず、「脳科学」の知見について、自分の都合のいいところだけつまみ食いしすぎ。たとえば「怒りは動物の脳で生じる」として、大脳辺縁系の説明などをひとくさりやって、「感情をあおり立てる情報」は「人間としての言語的思考を停止させ、動物的な反応、快・不快の単純化された二項対立の二者択一を、気分感情で行うような状態に人間を追い込んでしまう」と糾弾する。でも、「大脳辺縁系がどーのこーの」というレベルで話をするのであれば、「すべての情報は、感情の助けがなければ記憶に残らない」のである。ようするにこれは、感情を刺激するようなアオリとパンチの効いた情報のほうが記憶に残りやすい、ということを言うてるにすぎないのだ。まるで「クルマはガソリンを爆発させて走るから危険だ」というかのごとし。
次に。脳科学の話と、フロイト・ユング流の臨床心理学の話を安易にミックスしてしまうところ。木に竹を接いだよう。たんにイドやエスが大脳辺縁系から出てきて、超自我が前頭葉の産物だという話を、より大仰に言ってるだけの虚仮威し。
マスメディア批判も小泉政権批判も、ある種の紋切り型に強引に「心脳」をアテコミで入れているだけに感じる。一時期、なんでもかんでもフロイトやらユングを嬉々としてあてはめていろんなものを「批判」したような気になる人が多かったが……。道具を「心脳」というコトバに変えただけで、やることはあまり変わってない。
この本の結論はメディアや政治家にだまされないよう「我、疑うゆえに我有り」という自我観を持て、というコトバで結ばれる。しかし、脳科学の知見とかいうのであれば、フロイトから便利に持ってきた「自我」という概念から疑うべきだと思う。
「心脳マーケティングに警戒せよ」という主張を、「心脳」的に論じるというアイロニー……著者が「ねらって」やっているとしたら、すごいと思うが。 -
もう少し言論にアイデアが欲しかった。そんな都合のいい結論はないんだよと言いたかったのかもしれない。
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下條信輔さんや池谷祐二さんの本を読んだ後に,
本書を読むと かなり見劣りしてしまう。
アマゾンレビューにあるように,論の運びもチグハグな感じもする。
でも,無意識のうちに
――あるいは,あたかも自分の頭で考えたがごとく――,
ある行動をしてしまったりすることへの警鐘にはなると思います。 -
郵政民営化を問う総選挙のときに感じていた違和感の理由が、ここに見つかった。なるほど、思考停止状態に追い込むことであの政権は維持されていたのかと。
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義父の還暦旅行に随伴する時のお供にと思って図書館で借りた……が、肝心の旅行の時は全く読めずにベビーシッター三昧。最近子供から目が離せなくて「移動中に本を読む」という芸当が出来ないので、通勤中で読書時間の確保できる旦那に比べてホントに本が読めなくなりました。読みたい気持ちはあるんだけどな。
自分、割と宣伝には踊らされない方だとは思うのだけれども、それってやっぱり学士時代に史学の方法論を学ぶ過程で身につけた「特殊技能」なんだなあ、としみじみ感じさせられた次第。
書いてあることは私としては割とわかってるつもりの事ばかりなのだけれども、わざわざこうやって書き起こす必要が出て来るというのは、それだけ世の中があっちにざぶーん、こっちにざぶーんと付和雷同的になってる証左なんだろうな、と思ってみたり。自分の頭で考えず、検討せず「ただ何となく」で選ぶ事って本当に怖い。自分が選び取る理由を常に明確にする訓練って、その選択の根拠となる知識も必要な事だから、常に意識してなければ出来ないものだよなと強く感じた。
でも、久々のこういう固い文章にすごく懐かしさを覚えた元文系人間がここに。こういう(ぱっと見)回りくどく物事を「解説」する文章って、読んでるこちらも頭ぎゅるぎゅる使って楽しいね。
それはそうとして『バカの壁』、まだ読んでないんだよなあ。やっぱり読んでおきたいなあ。 -
[ 内容 ]
それと気づかれないまま、人を特定の方向に誘導するマインド・マネジメント。
脳科学の知見を取り入れた「心脳マーケティング」に基づくこの手法は、今や商品広告のみならず、政治の世界でも使われている。
マス・メディアを通してなされるこの種の「心脳」操作は、問題を「快」か「不快」かの二者択一に単純化し、人を思考停止へと追い込む。
「テロとの戦い」を叫ぶ米ブッシュ政権も、「改革」を旗印とする小泉政権も、この手法を用いて世論を動かした。
その仕組みを明らかにし、「心脳」操作に騙されないための手立てを提示する。
人を巧みに誘導するマインド・マネジメント。
この手法は広告だけでなく、政治の世界でも使われるようになった。
その仕組みを明らかにし、騙されない手立てを提示する。
[ 目次 ]
第1章 商品化される心脳科学
第2章 心脳マーケティングの時代
第3章 ブッシュ政権の「心脳」操作
第4章 人間にとっての言語と心脳
第5章 「小泉劇場」の深層
第6章 脱・心脳コントロールへ
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
(図書館)
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騙される、というよりは人は騙されることにも快感を得てるように感じるんだよなぁ。操作されることは、ある意味受動的に道を手に入れることだから。自分で道を作ることの出来る人はほんの一部、後者でありたいのはもちろんですが。
広告は言葉のビジネス、商品はアイディア、業種は問題解決業。業態は知識創造産業。 -
最後の「我、疑うゆえに我在り」が、まさしくこの本の感想です。
でも、『なぜ?』と感じ考えることは大切ですね。まぁ、面白かったです。 -
夏目漱石論や村上春樹論、そして、座談会昭和文学史(全六巻おもしろかったなあ)でお馴染みの東大教授が、マーケティングだとかプロパガンダというテーマで何を書かれたのか興味津々、通勤車中往復で一気に読了。
ブッシュや小泉のだましの極意・マインドコントロールの全貌解析にびっくり仰天。
小森センセって文学だけじゃないんですね、更に尊敬。 -
あの小森陽一が心脳マーケを批判!って思ったけど、いつもの右翼非難の本だった。
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みのもんたとブッシュと小泉純一郎を例に、我々の心と脳がいかに体系化された技術によって操られているかを説く。心脳マーケティング理論の解説がイマイチ納得できないが、「立ち止まって理性的に思考する」は使えるフレーズ。それにしても、教養を教えられるのは東大教養学部だけだなんて尊大な態度じゃありませんかねぇ。
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分類=社会心理学・マスメディア・心理操作。06年7月。
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ある意味、ホラー映画よりも怖いです。
知らない方が幸せかもしれないけれど、でもちゃんと知って立ち向かわなければいけない「心脳コントロール」のメカニズム。特にメディアによく接する人、心理学や政治に関わる人は要注意。気になった人は読んでみてください!! -
敬愛する小森先生の著書。この人は日本文学から政治学、メディア論まで守備範囲が広くて単純に凄いと思うし、うらやましい。 本の内容だが、現代、我々は企業や政治家に踊らされている!!! それが心脳マーケティングの手法!!
ただ、先生お得意の二項対立批判は別の二項対立を生み出しているという自己撞着に陥っている点は見逃せない。 この点に関しては、『「分かりやすさ」の罠』参照。