お節介なアメリカ (ちくま新書 676)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480063823

作品紹介・あらすじ

9・11以降、史上最強の帝国アメリカは、真の平和や民主主義の確立といった美名のもと、世界各国への介入の姿勢を強めている。本書は、そうした行動の背後に隠されたアメリカの思惑を、歴史的事実の詳細な分析をもって浮き彫りにし、鋭利かつ説得的な批判を突きつける試みだ。この危機の時代に、筋金入りの思想家が、ほぼ例外なく不掲載の憂き目にあいながらも気迫でつづり続けた時評集、待望の邦訳。世界と日本がこれからどこへ向かうのか考えるうえでも欠かせぬ一冊である。

感想・レビュー・書評

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  • お節介なアメリカ (ちくま新書 676)
    (和書)2013年09月28日 16:39
    2007 筑摩書房 ノーム・チョムスキー, 大塚 まい


    民主主義と格差の解消としての平等を目指す哲学について有益な思考の手がかりとなった。

    チョムスキーを徹底的に読み込んでみたくなった。それが僕の頭にどんな影響を及ぼすか分からない。だがそれは人間にとっての至上命令のようなものだ。

  • 9・11のテロが起きた時。私は大学生でその日は友達とずっとテレビを見ながら何事が起きたのか知ろうとしていた。
    でも、それは私とは関係のない遠くで起きていることだと思っていて、その後はあまり関心がなかった。それは今でも同じでなかなかこういったことに関心を持つことができないでいたけど、こういった本を読んでどんどん知識をつけていきたいと思った。

  • チョムスキーはおそらく現代人のなかでも指折りの知識人でしょう。
    そんな彼が自国アメリカをこきおろします。痛快です

  • 言語学者・チョムスキーのアメリカ政策批判本。ずいぶん前に一度読んで、数年ぶりに再読しました。

    まずタイトル。原著は「Interventions」で「介入、干渉」といったところ。それを「アメリカが自国の利益のみを追求するために余計なことをするからテロも広がるし環境問題は改善されないしイスラエルとパレスチナの問題も解決しない」という著者の意図を込めて「お節介」と訳したのは、翻訳者としての大塚氏の功績が光っていると思います。元のタイトルを無視していいなら、「横暴」「無責任」「無神経」あたりがしっくりくるのではないかと思いますが。

    チョムスキーのアメリカ政策に関する見解は、今も昔も変わってません。
    ざーっと列挙すると、アメリカはあくまで自国が一極集中で権力を手にしていたい帝国主義的な国であり、大統領はいずれの党も政治エリート出身なので政策に差異はなく選挙は政策よりもキャラクターに対する人気投票で決するものであり(この辺は日本にも当てはまるので耳が痛い)、国連の決定はあくまでアメリカの国益に即している場合にのみ遵守されるものでアメリカの方針と異なる決定を下した時は無視して構わない存在であり、アメリカは世界の自由と平等を確立するという理想を実現するために献身的に働く世界でも稀な例外的な存在である、というものです。

    実際、戦争バカのブッシュが大統領だった時には、これがすべて当てはまっていたのは事実でしょう。2007年当時にこの本を買ったとき、帯に「これが日本のボスだ!君たちは、どうする?」と書いてあったのは、その戦争バカに盲従して自衛隊を出した小泉純一郎をありがたがって担ぎ上げた、日本人に対する痛烈な皮肉と言えます。

    この手の政策批判本を後になって読むと、半ば当たり前のことを言っているようにも読めますが、大事なのはこれが「ブッシュが帝国主義的な思想の元、イイラクの石油関連の利益をアメリカ企業に強制的に集約させようと目論んで根拠のないケンカを売り、国連を無視してアメリカ単独の決定で一方的な略奪(戦争ではなく)を行ない、アメリカの言うことをちゃんと聞くような傀儡政権をイラクに樹立するために躍起になり、ハリケーンが起きても環境問題を無視し続けていた」まさにその当時に、論評として発表されていたことです。
    案の定、アメリカの大多数のマスコミは彼の論評を無視したようですが、彼の見解とアメリカ国民の大多数の見解は決して大きくズレてはいなかったということは、論の端々に出てくる世論調査などの結果から読み取れます。

    さて、戦争バカが退場して新たな大統領になり、早くもその新たな大統領が二期目を務めているアメリカ。無人機による爆撃を展開したり、他国の情報機関への盗聴工作が暴露されたりと、ここ最近はブッシュに負けず劣らずの一極集中覇権バカの側面を見せてますが、今後、少しはアメリカが変わっていくのかどうか。そして、現状についてチョムスキーはどう見ていくのか。
    少し古い本ですが、アメリカの当時と今、そして今後を読んでいくために、参考にすべき本のうちの一つだと思います。

  • おもしろかった

    歴史の中で見れば、大国が自らの利害関係者の利益を最大化すべく動いている構造は変わらなくて、
    ただ、現代はその構造の中で制約となるような純粋な民主主義や道徳みたいなものが少し大きくなったのかな。

    読んでるとき、
    テロってある個人が命かけてやっているわけで、あれだけあると、もはや暴力団の鉄砲玉とは違ってその人の重い思いも含まれている。
    美化するつもりはないけど、そんな人たちの最大限の訴えを、ただテロ許すまじで無視し蹴り続けるのはどうかな、と思った。

  • 9・11のテロでアメリカ以外の国ではようやく他の国と同じになった。
    レーガン大統領は、ホンジュラスを基地にして秘密裏にニカラグアに戦争を行っていた。
    国際関係論を議論する際に根本原理としてあるのは、「われわれは善である」という考え方である。我々とは政府のことで、国家と国民はひとつであるという全体主義の原理に基づいた表現である。

  • [ 内容 ]
    9・11以降、史上最強の帝国アメリカは、真の平和や民主主義の確立といった美名のもと、世界各国への介入の姿勢を強めている。
    本書は、そうした行動の背後に隠されたアメリカの思惑を、歴史的事実の詳細な分析をもって浮き彫りにし、鋭利かつ説得的な批判を突きつける試みだ。
    この危機の時代に、筋金入りの思想家が、ほぼ例外なく不掲載の憂き目にあいながらも気迫でつづり続けた時評集、待望の邦訳。
    世界と日本がこれからどこへ向かうのか考えるうえでも欠かせぬ一冊である。

    [ 目次 ]
    9・11―忘れられた教訓
    アメリカ対イラク―「侵略」に替わる私案
    イラク戦争への反論
    イラク戦争が始まって
    イラクは実験台だ
    終着点の見えないパレスチナ問題
    9・11と「テロの時代」
    アメリカと国連
    北東アジアという脅威―支配者のジレンマ
    フセイン裁判を前にして〔ほか〕

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 2002年から07年にかけて、著者が発表して来た社会的エッセイ43篇。

     アメリカ、といえばブッシュ大統領の好戦的ファッショ的政治姿勢を思い出すが,そしてその彼のお陰で世界中で生命,平和について甚大な被害が広がっているが,実はアメリカと云ったって、こんなタイプの男ばかりのさばっている野蛮な国ではない。ということがこの一冊から伝わってくる。

     チョムスキーといえば、生成文法理論の提唱で知られるマサチューセッツ工科大学名誉教授の言語学者だが、社会に開かれた関心と判断が実によく示されている。

     気に入らない国々を<ならずもの国家>よばわりし、民主主義を授けると威丈高に唱え,その国民の選択権を奪い,アメリカの軍需資本や石油資本の利益のために、圧政をおしつけ戦火を拡げているブッシュ等に「アメリカにこそ民主主義の確立を」と批判する姿勢は素晴らしい。

     このブッシュのご機嫌を伺い,インド洋に自衛隊を何が何でも再派遣するという、何処の国の政府に飲ましてやりたい痛烈な一服である。
                  

  • こちらも去年読んだ本。この著者はテロを巡るアメリカの姿勢について終始一貫反対している有名なアメリカ人の方かと。いえ、単に批評家ということではなく。
    やっぱり外から見ているだけではその国の詳細は分かりませんから、こういう本は興味深いです。ちなみに2002年から2007年までのアメリカの主にテロや外交関連の動きを著者視点で追ったものです。

  • アメリカ怖っ

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著者プロフィール

ノーム・チョムスキー(著) 1928年生。言語学者、批評家、活動家。アリゾナ大学言語学栄誉教授。『統辞構造論』(1957年)において言語学に「チョムスキー革命」をもたらし、その後も生成文法研究の発展を牽引し続けた。エドワード・ハーマンとの共著『マニュファクチャリング・コンセント』(1988年)では自由民主主義社会における思想統制のメカニズムを分析した。またベトナム反戦運動では中心的な役割を担い、それ以降も各地の独立メディアと協力して様々な草の根運動に協力し続けてきた。主に自国アメリカの国内外での強権主義に対して、アナーキズム思想と大量の歴史的資料に基づいて重厚な批判を展開している。存命中の学者としては世界で最も多く引用されている。ウェブサイト:https://chomsky.info/

「2021年 『気候危機とグローバル・グリーンニューディール』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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