ヤクザと日本―近代の無頼 (ちくま新書)

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著者 : 宮崎学
  • 筑摩書房 (2008年1月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480063960

ヤクザと日本―近代の無頼 (ちくま新書)の感想・レビュー・書評

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  • 豊富な参考文献を参考にしながら,実によくまとめてある.中身が濃くてとても読み応えがあります!ヤクザとはそもそも何なのかが分かる本

  • 社会構造の中で、ヤクザはどんな変遷があって、どう成り立ったのか。義理人情の詳しい考察や他の社会との比較があったりして、すいすい読めた。芸能から切り離せない訳、現代でなくなった役割など、客観的に捉えるにはよいと思う。巻末参考文献の量が圧巻。

  • やくざという存在が日本の近代化といかに分かちがたく結びついていたか。
    下層労働現場における「仕切り」役として、「芝居小屋」などの悪所の顔役として、末端庶民への社会権力として、そして時には理不尽な支配に対する反権力の暴力装置として、著者の主張するところでは「昭和20年代ころ」までその存在は一般社会と地続きであったとされる。
    「親方・子方」関係や「義理と人情」の価値体系から語られる日本社会の深層に根ざした存在としてのやくざ論はスリリングだし、「自治としての談合」という切り口などは談合を批判する人々も是非しっておくべき歴史的経緯だろう。
    ただ、高度成長を経て大きな変化を遂げた日本社会の中で、やくざという存在もまた変質を余儀なくされたはずであるが、その点について本書は多くを語らない。バブルを経て「偽装請負」などの言葉に象徴される不安定雇用がはびこる現在、社会経済の裏面ではいまだ彼らが蠢いているはずなのだが、やはりやくざを語るには時間と距離が必要なのだろうか。

  • 7章の、山口組が出来たところのはじめだけ。貧困によって自らの身を守らなければならなくなった者達がヤクザになっていった。
    ヤクザは近代日本の構造から生まれた、と、宮崎学は言っている。
    とはいえ、読み返す気にはならないなぁ。

  • ≪目次≫
    序章    ヤクザ観の相克
    第1章    ヤクザの源流ーカブキ者から博徒まで
    第2章    近代ヤクザの成立ー川筋から、港から
    第3章    親方・子方関係とヤクザー下層労働力統括者としての近代ヤ       クザ
    第4章    ヤクザと芸能の世界ー周縁仲介者としての近代ヤクザ
    第5章    ヤクザと近代国家ー社会権力としての近代ヤクザ
    第6章    義理と人情、顔と腹ー日本的社会関係と近代ヤクザ
    第7章    山口組概略史ー近代ヤクザの典型
    あとがき

    ≪内容≫
    日本のヤクザを社会史的にしっかりと著述したもの。縁の遠い世界ではあるが、政治家のヤクザへの手のひら返しの部分、もう少し深く知りたいと思った。
    社会の必要悪としてのヤクザ、と言うかヤクザに限らず、そうした必要悪をどのように扱っていくのか(撲滅させるのか、折り合いをつけていくのか)、考えさせられるものがあった。 

  • ヤクザの歴史を辿ると、別の顔をもった日本がみえてくる。

    著者・宮崎学は「突破者」の作者であり、京都のヤクザ組長の息子として育ち、グリコ森永事件で重要参考人にもなったアウトローである。
    本書は、近代ヤクザの成立を通して日本の近代化を解析した本である。
    近代ヤクザは、炭鉱や港湾などで働く最下層労働者達が生きるために協力し合うなかから生まれた。それが発展し「組」となる。やがて暴力と顔とネットワークを形成して周縁社会のなかで社会的権力となった。

    この近代ヤクザの力を利用したのが、政治権力である。急速な近代化を行おうとしていた明治国家は彼らを使い、国の統治と社会秩序に役立てようとする。教科書には出てこない日本近代化の一側面だ。


    ヤクザ内部に働くロジック(義理と情、顔と腹)も詳しく解説されていて勉強になる。
    この本を読むとヤクザと日本は、コインの表裏であることが分かる。ヤクザを知れば、日本の本質も見えてる。

  • 公共ってなんだ?「港」にしろ「劇場」「興行」にしろ、社会的権力としての「暴力」にしろ、近世・近代でヤクザがやってたことは今地方自治体とか国の機関がやっている。区長とか市議とかの役割は結局「顔」だし。
    著者としては、ヤクザがやっていたことは共同体による自治だということ。アメリカの保安官との成り立ちの違いとか、義理と人情と契約(法律)による義務との違いとか。
    マーティン・スコセッシプロデュースで1920年代の東海岸アトランティック・シティで一時代築いた実在の政治家イーノック・ジョンソンのドラマ(ボードウォーク・エンパイア)があるのだが、町の繁栄のためには法律も平気で破るし上院議員に賄賂も渡す町の顔役VS連邦捜査官(禁酒法の)という構図。ちょっと似てる。

    「第四章 ヤクザと芸能の世界 周縁仲介者としてのヤクザ」とか、「劇場」興行史を駆け足でなぞるよう。「音楽」は大衆の劇場でかかる必要どころか軍隊という晴れ舞台があったわけで、いわゆる悪所由来の芝居小屋的な興行的な文化勢力が今も強い日本の「演劇」はなかなかにしぶとくて目が離せない。

    著者はアカデミックな象牙の塔の方ではないので、引用多く、恣意的に感じるところもあるのだが、著者が言うところの、
    あまりにも近代化が急過ぎて政治的権力(法)手が届かないところで国家が利用した既存の社会権力=近代ヤクザ
    をただ賛美するのでなく、社会経済の成熟具合に則って、今の任侠道は形ばかりの武士道と同じ、とも言うのは気持ちいい。

    明治以降の官製公認の歴史しかない土地は産業構造が歪んでいる。重厚長大の国営工場があったところなんか特に。という視点を強めた。個人的に。
    北部九州は、炭鉱・大正デモクラシー/玄洋社/かつての植民地近い・製鉄所・労資紛争とかで捉え直すと面白そう。

  • ヤクザの是非を云々する前にその成立事情を知る上では非常に役立つ概説書ではないだろうか。HOTな話題の芸能との関係もしっかり書かれているし、切っても切れないと言われるその関係がどうして不要とされるようになったかもきちんと書かれている。

  • 日本の近代化、その経済的・政治的・社会的の各側面からーすなわち日本資本主義・近代国民国家・近代的社会関係のそれぞれが成立していく過程との関わりにおいてー近代ヤクザの成立を見てきた・・・

    本書 - アウトローの近代史 - サムライとヤクザ
        - 紙芝居と「不気味なもの」たちの近代

  • 巷に「ヤクザの実践◯◯」と銘打った本が数多くあるが、
    実際にヤクザの根本を知らずにそういった本を読んでも身にならないと思い本書を購入。

    とっても内容が充実した本だった。
    欧米社会主義はカッコいいなんて風潮を多々感じるが、日本人が本来持っている「人情」「義理」はどこの国の社会的主義よりも崇高であると感じた。

    日本人としてもっと素で生きれば、自己啓発本に頼らなくても充実した日々を生きれるのではないだろうか。

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ヤクザと日本―近代の無頼 (ちくま新書)の作品紹介

ヤクザとは何者なのか?法の支配がおよばない炭鉱・港湾などの最底辺社会に生きた者たちが、生きんがために集まり発展したのが近代ヤクザの始まりといえる。彼らの存在が日本社会の近代化を下支えしたという現実。日雇い派遣、ワーキングプアなど、あらたな下層社会が形成されつつある今こそ、ヤクザの歴史を振り返ることで、現代社会の亀裂を克服する手がかりがみつかるにちがいない。

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