友だち地獄 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
3.50
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本棚登録 : 1153
感想 : 114
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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480064165

作品紹介・あらすじ

誰からも傷つけられたくないし、傷つけたくもない。そういう繊細な「優しさ」が、いまの若い世代の生きづらさを生んでいる。周囲から浮いてしまわないよう神経を張りつめ、その場の空気を読む。誰にも振り向いてもらえないかもしれないとおびえながら、ケータイ・メールでお互いのつながりを確かめ合う。いじめやひきこもり、リストカットといった現象を取り上げ、その背景には何があるのか、気鋭の社会学者が鋭く迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 僕ら世代の集団で行われる「優しい関係」というもの。確かに自分もやっているフシが多々あり、痛いところついてる。特に、今年一年かけて向き合っている事が、この本が与える視点でスッキリしてきた印象だ。ぼくも「優しい関係」から抜け出せていない1人なのかもしれない。

    この内容から真っ先に浮かんだのは、前日に他人と話す話題を決めてから寝るって人の話(しかも、誰と何を話すのか?まで決めてるらしい)。関係に支障が生まれないように、そこまでするのかと驚いた記憶がある。

    どうやら僕ら世代の関心の比重のほとんどは、内輪の人間関係への繊細な気配りにもっていかれているようだ。
    この本にも書いてあるけれど、「内輪への繊細な気配りによって、僕らの気配り容量は外へ向けられにくくなっている」ってのは、聴講した講義でも言ってた。

    今の僕ら世代の集団をみる、一つのスッキリとした視点を与えてくれる本でした。

  • 若者論。最近の若者はコミュニケーション能力が足りないとよく言われるけど、実はむしろコミュニケーションに気を使いすぎてて、まわりといかに波を立てずうまくやっていくかという「優しい関係」を保つことに気を使っているという。他者からの承認をものすごく重要視する傾向にあるようだ。
    なんかわかるなー、って思った。
    決定権を持つのは特定のリーダーではなく、その場の「空気」。
    そんなばかなことあっていいのか!若者!

    他者からの承認も、決定権も、神様のとこにいけば確固とした、正しいものがあるのに!!

    あなたの若い日に創造主をおぼえよ。
    若い人に神様のこともっと知ってもらいたいものだわ!!

  • 面白い。自分に当てはめながら読めてしまうのがより一層この本の中で指摘されている自分の中への関心の強さを表してるけど。
    ケータイの話、選択肢が多くて選ばないことで生のリアルを感じる話

  • ふむ

  • 人間関係の息苦しさに悩む世代を解析し、背景に何があるのかを社会学から読み説く。高野悦子「二十歳の原点」が引用されたことも懐かしく、現代の10代も安保闘争10代も同じような悩みを抱えていたことに改めて気づく。時代が変わっても人は同じ轍を踏み、世代間の乖離に、自己の不確立さに、苦しみもがくのだなあ。考えてみればシェイクスピアの時代からも変わらず続いている問いだ。人の数だけ答えは異なり、人の数だけ悩みがある。

  • そうかー、もう15年近く前の話だったんだなあ。これ医コロナだもんねえ。しんどいわな。

  • それぞれの時代に沿った若者の生きづらさについて分析説明している本で、非常に説得力があった。

    いつの間にか鈍感になったのか、若いころのぼんやりとした生きづらさを忘れていたが、この本を読んでいる間は其の頃の気持ちが思い出され、生きることが重く感じられ疲れました。

  • 使われている言葉もとても読みやすく自分自身の関心にあまりにも沿っていたので、あっという間に読破した。 「優しい関係」という言葉がまさに自分の中高時代・そして現在の大学生活を総括してくれていると思った。 ガラケーの時代からSNSやスマートフォンの時代になって変化してきている部分もあると思うが、数十年後の若者はどうなっているのかとても興味深い。

  • 社会問題論や犯罪社会学を専門とし、筑波大学で社会学・教育学を研究する著者が、現代の子ども・若者が抱える歪んだ「優しい関係」に迫る。誰からも傷付けられたくなく、誰も傷付けたくないという鋭敏な嗅覚が「空気を読めない」人を阻害し、その一方で自分が阻害されないようにメールやスマホでお互いの「つながり」を確かめ合う。そんな息苦しい環境と、いじめ・ひきこもり・果てにはリストカットやネット自殺という若者の行動を照らし合わせ、その背後に横たわる人間の本質に迫る。読後感は重いが、読んでおくべき一冊。

  • 2000年代に書かれている本で、いろいろ変わった部分も多いんじゃないかなーと思う。

    若い時期は皆悩む時期であり、世代といわず、その時々の社会の課題に不条理にぶつかって一番適応力が早い集団でもあるように思う。

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著者プロフィール

筑波大学人文社会系教授/社会学

「2018年 『談 no.112 感情強要社会』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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