- Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480064172
作品紹介・あらすじ
皇位継承のあり方を論じるとき、欠かせない視点がふたつある。ひとつは、現在の天皇制が「象徴天皇制」であること。もうひとつは、現行の皇室典範は、何ら安定的な皇位継承を保証するものではないこと。古代より近現代におよぶ天皇制のあり方を歴史的に問い直し、戦後GHQによって皇室制度に仕掛けられた「時限爆弾」の存在を指摘する。今上天皇の体現する象徴天皇制の理念を踏まえ、皇統断絶の危機を回避する道を探る。象徴天皇制の今後を考える上で必読の書。
感想・レビュー・書評
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現行皇室典範の父系・嫡系・直系による皇位継承制限を、アメリカによる長期的な天皇制廃絶策だという前提で、双系継承への改正を訴える。「万世一系」イデオロギーを近代の産物として否定している点のみは評価できるが、現行皇室典範制定の陰謀論的理解や先行研究のつまみ食いによる恣意的な歴史把握など疑問が多い。
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第1週 1/11(水)~1/18(火)
テーマ「日本・日本人・日本語」
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https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00172153 -
[ 内容 ]
皇位継承のあり方を論じるとき、欠かせない視点がふたつある。
ひとつは、現在の天皇制が「象徴天皇制」であること。
もうひとつは、現行の皇室典範は、何ら安定的な皇位継承を保証するものではないこと。古代より近現代におよぶ天皇制のあり方を歴史的に問い直し、戦後GHQによって皇室制度に仕掛けられた「時限爆弾」の存在を指摘する。
今上天皇の体現する象徴天皇制の理念を踏まえ、皇統断絶の危機を回避する道を探る。
象徴天皇制の今後を考える上で必読の書。
[ 目次 ]
第1章 象徴天皇制の誕生
第2章 皇統断絶という時限爆弾
第3章 皇室典範と皇位継承
第4章 象徴天皇制の定着
第5章 小泉内閣の皇室典範改正案
終章 伝統と法理
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
天皇が終戦を求めていることが明らかになると、聖断による往診転換がにわかに検討されるようになった。
マッカーサーは占領統治を成功に導くために天皇を美化した。
連合国のうち天皇の訴追を求めたのはオーストラリアだけである。
伊藤博文は、皇室から政治を切り離すことに心を砕いた。
昭和天皇は戦後も、政治に強い関心を示していた。中曽根首相を政調したと評するのみならず、官房長官であった後藤田官房長官と田中角栄の関係を当時の中曽根首相の内奏に際して質している。 -
「象徴天皇制の意義を歴史的な事実を確認しながら改めて考えるとともに、象徴天皇制下の皇位継承のあり方を模索」する書。「皇室典範」改正問題を中心に取り上げているが、天皇・皇室制度全般について考える上でも多くの示唆にとむ内容である。
皇位継承の歴史をふまえ、必ずしも男系継承が皇位継承の伝統の本質ではないとして、有識者会議の報告書案、すなわち女系容認・長子優先を支持する考えを明らかにしている。基本的には、私も同感である。
皇位継承の本筋とは関係ないが、昭和天皇が政治に対する関心が強く、象徴天皇になりきれていなかったという記述は興味深かった。
また、「伝統とは、その本質を尊重すべく革新されるもの」ということが何度も繰り返されていたのが印象的だった。まったくその通りだと思う。 -
帯にあるように象徴天皇制と皇室典範の改正がマッカーサーによる天皇制潰しのための時限爆弾だったとは思わないが、周到に研究をして日本統治の道具として利用していたのは間違いない。
内容としては現在微妙に議論がシュリンクしている皇位継承について「万世一系」というのが幻想であり、女系天皇の存在や皇統断絶の歴史すらあったというのが最新の研究では分かっているというを知って非常に驚いた。この辺りは筆者が政治史専攻というのが冷静な記述ができた要因であろう。
象徴天皇制下に於ける女性天皇、女系天皇を考える上でかなりためになる本 -
著者はイデオロギー的にはどちらにも属さないと語っていますが、基本的には日本の伝統であり文化的財産でもある天皇制は今後も維持していくべきであるというスタンスです。私自身も、天皇制廃止論者のように無理して潰す必要はないと思いますし、今や国民の大多数はそう思っていると思います。お世継ぎ問題や雅子妃バッシングなどでにわかに注目を浴びることになった皇室の行く末。個人的には無理に法律改正をすることなく、このまま世継ぎがいなくて絶えてしまうのなら、それも国民の選択の結果だと思います。皇室がなくなった日本、天皇のいない日本というのがどうなるのか、私にはわかりませんが、十年もすれば慣れてしまうのではないかという気もします。著者は専門家らしく古代史にまで遡り、皇位継承問題を論じていますが、もう少し系図を載せるなどしないとちょっとわかりにくいところもあります。また万世一系について述べている件では、著者はそもそも万世一系はまぼろしと語りますが、たぶん国民の大多数はそんな精緻で歴史学的なこと考えてはいないんじゃないかな、という思いもします。例えば徳川15代は「一系」とは言えないかもしれませんが、家康公の血筋(基本的には男系?)であるというだけで認めていると思います。皇室もその程度で考えれば、少なくとも推古天皇くらいからは血が繋がって続いているわけですから、庶民的には「一系」というか「一族」ということで納得できると思います。