変貌する民主主義 (ちくま新書 722)

著者 :
  • 筑摩書房
3.38
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  • (2)
本棚登録 : 317
感想 : 34
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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480064240

作品紹介・あらすじ

かつて民主主義は、新しい社会の希望であり、人間の生き方を問う理想であったが、いまや、それも色あせ、陳腐なお題目と化している。しかしそれは、単に現実が堕落したためではない。その背後には、民主主義を支える思想が、社会の深層で大きく変化したという事情があるのだ。本書では、デモクラシーのありようを劇的に変容させた現代の諸問題を、「自由主義」「多数者と少数者」「ナショナリズムとポピュリズム」「主体性のゆらぎ」といった論点から大胆にとらえ返す。複雑な共存のルールへと変貌する姿を鋭く解き明かす試みだ。

感想・レビュー・書評

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  • 民主主義にはもう何も期待しない。

  • 2008年当時は意味ある言説だったのかもしれませんが、今となっては長々と語る割にはびっくりするほど薄い内容です。終戦後しばらくまでは、保守がその権力で大衆に対立する一方で、革新が民主主義の守護を声高に叫んできた。しかし今は現代版ポピュリズムにより、民主主義に対立するはずの新自由主義が大衆に支持されて問題だ、という内容です。
    一読して著者が何を言いたいのか分かりにくいと思いました。理由のひとつは、民主主義に対して明確な定義がなされないまま、周辺の概念についてのマニアックな話をしているからです。最後まで読むとやっと熟議民主主義が著者にとっての定義や理想なんだろうな、とほのかに感じます。分かりにくいもうひとつの理由は、現在は膨大な戦後民主主義の分析があるにも関わらず、戦後の革新派が民主主義の擁護者であり、保守派がその排斥者であったと、旧態依然とした説明をしていることです。岸内閣の事例をもって論拠とするのは苦しいと思います。保守であっても自ら掲げるところの民主主義を否定せず、自らの権力の源泉にしてきたのではないでしょうか。今となっては程度の問題、また単なるイデオロギーの問題に見えます。このような雑な二項対立の持ち込みは、戦前に天皇主権と民主主義が対立したという記述にも見出せます。これら戦前戦後の様々な前提が崩れれば、著者のいう現在の「変貌する民主主義」の見方も必然的に変わるでしょう。
    民主主義は議会制や政党政治などテクニカルなことを見つめても理解できそうにありません。本書で得たことは、民主主義とはその議論のためにどんな定義であるべきか追求せざるを得ない概念である、ということでした。

  • 彼のアナーキズムの本が出ていたことに気づき久しぶりに読み返しました.

    現代政治理論や政治思想史の教科書を読んだことのない人には難しいところもあるかと思います.また,当時の民主主義論の問題状況の認識からはじめ,民主主義論に関するいろんな議論をするため,中途半端なところで記述を止めるところもちらほら.

    今回再読ですが昨今の新自由主義と民主主義との関係でいい確認ができました.未読の方は読んでおいた方がいいです.

  • 高3の自分にはすごく難しかったですが、自分の知識&理解力の無さによるものだと思うので再チャレンジしたいです。

  • ブコフ本

  • Kindle

  • 【由来】
    ・千夜千冊で「反知性主義」で検索をかけたら出てきた。

    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】


    【目次】

  • -108

  • 「自由主義」「多数者と少数者」「ナショナリズムとポピュリズム」「主体性のゆらぎ」という4つの観点から、現代における民主主義の立ち位置を概観するような本。結論はなくて解説に留まるので、読後少々モヤッとするが、そこはきちんと自分で考えろ、とも取れる。

    自分は政治学については素人なので内容の妥当性に関しては判断できないが、昨今の政治状況の中でポピュリズムやポリティカル・コレクトネスが政治に対して及ぼしている影響、そのあたりがなんとなく整理できた気がしている。

  • ドチャクソ難しい.

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著者プロフィール

1959年三重県生まれ。東京大学法学部卒業、同大学院法学政治学研究科博士課程中退。筑波大学社会科学系講師などを経て東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻教授。専攻は政治・社会思想史。著書に『変貌する民主主義』『迷走する民主主義』(ともにちくま新書)、『〈政治的なもの〉の遍歴と帰結』(青土社)、『戦後「社会科学」の思想』(NHK出版)がある。

「2023年 『アナーキズム 政治思想史的考察』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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