甲骨文字に歴史をよむ (ちくま新書 732)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480064318

感想・レビュー・書評

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  • 殷が伝説から実在に。かなりインパクトのある発見が期待できる分野だが、中国相手の歴史研究となると色々と純粋学問以外に難しいのだろう。
    これまでにわかってきたこと、実際の文字の複写と成り立ちの説明などは暗号解読のようで興味深かったが、著者の研究に関する部分は雲をつかむような我田引水のような手ごたえの無さ。
    紂王の名誉回復と太公望の創作、このあたり、神武天皇の創作を日本人が認識するように、中国人が認められる日が来るのだろうか。

  • 三月書房に重なってあったので買いました。

  • 中国史の知識、まったく無いが、読み通せるだろうか。白川静さんの本(というか、その入門書)から興味を持つようになった世界。著者によれば文法が単純な分、漢文よりも読みやすいかも、と。もちろん背景となる歴史と文化を知らなければ理解出来ないだろうけど。

  • [ 内容 ]
    現代われわれが使用している漢字は、古代中国で生まれた甲骨文字を直接継承している。
    では、その文字は、どんな世界・どんな社会・どんな信仰において書き記されたのだろうか?
    甲骨文字の成り立ちや読み方を解説しながら、古代文明の姿を覗く。
    日本語で読める甲骨文字&殷王朝史の最先端の研究を紹介。

    [ 目次 ]
    第1部 甲骨文字とはなにか(甲骨文字が語るもの 甲骨文字を読む)
    第2部 文明と社会(自然と文明 神と祭祀 王と権力)
    第3部 殷王朝の歴史(王の系譜 殷から周へ)

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    [ 参考となる書評 ]

  • 私も少しは甲骨文字及び殷史をかじった人間ですが、著者が言うとおり確かに今の日本に甲骨文字から殷代史を研究している学者は少ないようです(著者は日本では自分だけといっています)。確かに、以前出た講談社の「中国の歴史」シリーズで殷を担当していたのは考古学から宮本一夫先生ですし、山川出版社の世界歴史大系で『中国史1』の中で殷を担当した松丸道雄先生はご高齢です。研究者の人口が中国史の中で最も少ないと言ってもよい殷代史の入門として本書が担う役割は大きいものです。
    内容ですが、一言で言うと「批判的」でしょうか。これまでの研究成果を批判的に継承しています。例えば殷の滅亡原因は、これまでの研究成果では東方の「人方」という敵対勢力に帝辛(紂王のモデル)が遠征をしている隙に西方から周が侵攻し滅亡したとされてきました(もちろん紂王と妲妃による酒池肉林は後世のフィクション)。しかし著者は暦の復元から、「人方」制定は前の王の代であり、「盂方」との戦争が殷滅亡の原因とされています。批判的ということは、斬新だということで読んでいて面白かったのですが、研究者人口が少ないのでそれを多角的に検証する他の研究者がいないので、それは今後を待つしかありませんが、そういう研究者が現れるためにも、繰り返しになりますが本書の持つ意義は大きいと思われます。

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著者プロフィール

落合 淳思(おちあい・あつし):1974年愛知県生まれ。立命館大学大学院文学研究科史学専攻修了。博士(文学)。現在、立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所客員研究員。主な著書に『殷代史研究』『甲骨文字辞典』(以上、朋友書店)、『漢字字形史字典【教育漢字対応版】』『漢字の音――中国から日本、古代から現代へ』(以上、東方書店)、『殷――中国史最古の王朝』『漢字の字形――甲骨文字から篆書、楷書へ』(以上、中公新書)、『漢字の構造――古代中国の社会と文化』(中公選書)、『甲骨文字の読み方』『古代中国の虚像と実像』(以上、講談社現代新書)、『甲骨文字に歴史をよむ』(ちくま新書)、『甲骨文字小字典』『漢字の成り立ち――『説文解字』から最先端の研究まで』(以上、筑摩選書)などがある。ほか論文多数。


「2023年 『古代中国 説話と真相』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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