サブリミナル・インパクト: 情動と潜在認知の現代 (ちくま新書 757)
- 筑摩書房 (2008年12月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480064608
作品紹介・あらすじ
現代社会は過剰な刺激に満ちている。直接快楽を刺激する音楽と映像。絶え間なくメッセージを投げかけるメディアやコマーシャル。それらは私たちの潜在脳に働きかけて、選択や意思決定にまで影を落とす。が、私たちはそれを自覚しない。意識下にある情動・認知系への介入は、意識レベルでは認識されないからだ。本書は、「情動」と「潜在認知」に関わる認知神経科学の知見をもとに、現代の諸相をつぶさに検証、創造性をもたらす暗黙知の沃野に分け入って、新たな人間観を問う意欲作。
感想・レビュー・書評
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僕には難しかった。
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seiyaさんその通りですその通りです2019/09/26
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seiyaさんありがとうございますありがとうございます2019/10/18
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つまらなかった
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ゴミーーーー
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控えめに言ってクソ
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とても硬い文章で読みづらい。
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・視線のカスケード現象。二つの顔を比べて好きな方を選ぶという課題。最初は均等に二つの写真を見ているが、選択するボタンを押す1秒くらい前から視線が偏りはじめ、片方を見ている確率が80%くらいに増大した時点でそちらをより魅力的と判断してボタンを押している。
二つの顔の魅力度を揃えておいても、極端にしていても同様だった。好きな方ではなく、嫌いな方を選ぶとか丸顔を選ぶ、などの課題ではカスケード現象は生じない。好きな図形を選ぶなどでも同様の結果だった。目隠しして布の感触から好きな方を選ぶ課題でも同様の傾向がある。
・言語はもともと動物の叫び声やほえ声のように情動的な新号だったはずで、それが次第に状況を記述したり、情報を伝えたりするものへと進化してきたと考えられる。これが言語の進化の主な道筋です。だとすると、そこから枝分かれした、いわば裏街道で、逆に情動的なコミュニケーションに特化して発生したのが音楽だとは考えられないでしょうか。
・これらの結果は何を意味しているのでしょう(ポーカーのセミプロと一般人がPCでポーカーゲームをすると、セミプロの方が手札の計算などの回路の活動は低く、全体的な活性化はセミプロの方が高い。その脳の使い方は他のくじ引きなどのゲームでも敷衍される。)
まず何かに習熟するとはどういうことか、それにヒントを与えてくれます。習熟するとは、同じ理論/計算をより全力をあげてやることではありません。考えてみれば当たり前の話です。そうではなく、状況や手がかりから実際の計算をせずに直感的に解くことなのです。
・ポーカーの研究は「神経系の活性化」がゲームの面白さ、ひいては快感につながることを示しています。しかしそれだけではありません。ポーカーのゲームを複雑にしている要因…たとえば報酬や感覚間の統合、メンタライゼーション(相手の思考を読むこと)など「社会的な知能」の動員が欠かせないのではないか。そういうことも示唆しているのです。
…このような社会的知能がそうでない(たとえばモノを操作する)知能の基盤になっていて、決して逆ではない。これがポイントです。ポーカーのセミプロの脳内活動のパターンは、まさにこのことを連想させるものだったのです。
この結果を見たとき私は、ポーカーが不滅の人気を誇ることも納得できる気がしました。それとともに、現代社会における音楽の隆盛を理解するヒントを得たように思いました。よく考えると、この章の前半で音楽の起源として挙げた四つないし五つの説は、すべて社会的知能に関わるものではありませんか(求愛説、集団のアイデンティティ説または儀式/祭礼説、子育て説、そして言語との共通起源説です)。
・モンキーTVプロジェクト。
サルがジュースを得るために視覚識別を行っているときと、ジュースの報酬なしでただ単にショートムービーを観ているときとで、それぞれ特異的に反応するニューロンを探した(サルに見せたムービーは、毎週Youtubeからトップ10のムービーをダウンロードして使いました。動物が出てくるムービーや、カンフーなどのアクロバティックなアクション物が、サルは特に好きなようです)。
結果は興味深いものでした。調べたニューロン全体のうち、約3/5が報酬に応答するニューロンでした。そのうちの約半分がジュースの報酬のみに反応するニューロンだったのは、従来の知見通りでした。しかしそれ以外に、ムービーだけに反応するニューロン、ジュースとムービーの両方に反応するニューロンが、それぞれ1/4ぐらいずつ見つかったのです。
・知覚は注意を向けた対象の変化を、わずかでも敏感に検出するのが特に得意なのです。親近性へのチューニングが、新奇なものの検出を助けたことになります。この「新奇なものを検出する」機能は、時間軸上、または空間軸上での「ポップアウト」現象(特に目立つ物が飛び出して見えたり聞こえたりする現象)と言い替えることもできます。そうです、「地」から「図」が飛び出す仕組みに他なりません。地と図が互いに相手を強調し合うように、親近性と新奇性も相手を強調し合う仕掛けになっています。 -
ほとんどが駄文
実験結果に基づいた知見は第一章ほか僅かに留まり、あとは著者の感覚に基づく物語のような記述
第一章は面白く、脳が元々の機能を他の目的に転用したり、快を脳内で完結するに至る流れは刺激があった。 -
・CMでは有名人が目新しいシチュエーションにいる.それが一番効果があるから.
・マクドナルドの椅子は固い.だから回転率が上がる.
ではその店の戦略を知っている(Awareness)場合対抗出来るか.
→答えはNO.結局知らずしらずのうちにお尻が痛くなって帰ることになる.
対抗するには同じく潜在レベルで.座布団を持ち込むという策によってそれが可能に.
つまり,知っているだけではだめで,潜在レベルではどうかということ. -
無意識に強く支配されている人間の自由意思について、多方面から考察されている。他の書籍とも共通点が多く関連づけながら読むことが出来た。内容的にも核心が突かれていると思われるが、文章が多少難解で、整理しながら理解するのには時間がかかりそう。
一見合理的な、値段や品質のような理由づけはたいてい本当ではない。
購買動機が、潜在/顕在の両方のレベルで認知と情動に働きかけるという気づきについて書かれていた点。
また、潜在的な報酬にアクセスしながらリサーチが行われるブランド・ストラテジーや、コンシューマー・インサイトの話は、同時期に読んでいた「手書きの戦略論『人を動かす』7つのコミュニケーション戦略」の内容と同様のことが書かれており興味深い。
さらに後半では、ネットメディアによる情報の「独り歩き」のメカニズム、その操作の可能性については、「クチコミ」による広告戦略論とも重なる。
やはり、広告の戦略論と、知覚・認知科学の世界はても切り離せない。 -
『サブリミナル・マインド』(中公新書)、『〈意識〉とは何だろうか』(講談社現代新書)に続く、著者の3冊目の一般向けの本です。
本書は、現代テクノロジーが人間の潜在的な情動にどのように働きかけているのかということを解説しています。また、アーキテクチャをめぐる倫理的な問題提起もなされています。
先の2冊と比べると、やや問題領域が拡散しているような印象もありますが、こちらも興味深く読みました。現代のテクノロジーと人間の自由や倫理をめぐる問題になると、どうしても社会学的な文脈に頭が移ってしまうのか、著者の控えめなスタンスにちょっともどかしさを覚えました。むろん実証的な認知神経学の諸成果を踏まえてこそ、意義のある議論が成り立つということは分かるのですが。
最後の創発に関する議論は、著者自身まだ十分に考えを詰めていない段階なのかもしれません。