働き方革命: あなたが今日から日本を変える方法 (ちくま新書 784)
- 筑摩書房 (2009年5月7日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480064868
作品紹介・あらすじ
残業・休日出勤して、人生を会社に捧げる時代は過ぎ去った。長時間働いても、生産性が高くなければ意味がない。誰よりも「働きマン」だった著者がどのように変わったか、そして仕事と共に家庭や社会にも貢献する新しいタイプの日本人像を示す。衰えゆく日本を変えるには、何よりも私たちの「働き方」を変えることが、最も早道だ。なぜか?その答えは本書の中にある。
感想・レビュー・書評
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本書が世に出たのは2009年。まだ、電通事件も起きておらず、時短などは言われていたけれどもまだまだ夜中まで働く文化はある種よきものとして残っていたように思う。時を経て、2017年現在、自分が働く会社においても「働き方改革」ということで残業抑制の指示が出ている。それが「働き方革命」という本を手に取った理由である。
今までの日本人の働き方が、パートナーの働き方を制約するものであり、日本全体としても生産性を落としている理由ではないかとするのは理解できる。特に今後労働者人口比率がどんどん下がってくるにあたっては女性もこれまで以上に社会に出て働く機会が多くなるだろう。もっときちんと言うと男性と女性とで同じように働き、同じように家庭の中で役割をこなすことが当たり前になっていかないといけないのだろうと思う。
著者の駒崎さんは、障害児保育をサポートするNPO団体フローレンスの代表を務めるなど、その筋では有名な方らしい。本書の中にも描かれているように政府の様々な委員会にも呼ばれている。もともとは著者も学生時代にITベンチャーを起業し、無茶な働き方をしていたのだが、あるアメリカでのセミナーをきっかけにそれまでのやり方ではいけないと気付いたという。
実際に自分もそうなのだが、「忙しい自分」というのがセルフイメージの安定領域になってしまっていたことに気が付いたという。そのままではいけないという認識から、新しいセルフイメージを持つこと、ありたい自分を肯定的に想像すること、が大切だと気が付いたというのだ。
そもそも経営とはリソース配分をいかに行うのかということである。「自分の時間」という絶対的に有限のリソースの配分を考えることこそ第一にやる必要があることである。その時間を使って、よい会社にしようということから、よい社会にしようと言う考え方に変わっていこうというのがメッセージといえる。そこから「働き方革命」が始まる。
他にもいくつかのメッセージが含まれている。オープン化が進むこの時代においては、内よりも外を見ることが必要。短期よりも長期を見て行動する。何よりも他の組織、他の会社に行っても通用する「ポータブルスキル」を獲得することが大切。そのためにアウトプットだけでなくインプットを継続することが重要な行動規範になってくるだろう。
色々と考えるきっかけにはなった。変わるきっかけにはなるだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
駒崎さんの著書はいつも読みやすい。
中でも、この本は常にドキドキしながら、時にはプッと吹き出すようなネタも混ざっていて、勢いに乗って読めた。
ワークライフバランスを実現しましょう!という論は色々なところに転がっているけれど、駒崎さんは、そことは正反対側からまさに自身に「働き方革命」を起こした方。
会社、家庭、地域社会等様々な側面の「革命」の様子が記されているのですが、常に理想像と対局に居た頃との比較が常に描かれているお陰で、変化の価値が非常にわかりやすい。
ただ、この手のネタでどんな時も思うのが、「仕事を効率化・スリム化」させる能力にも優劣があるということ。
勿論、即時取り組める事項もあるとはいえ、
まずは、基礎体力的な部分をつけないとお話にならない事項もあるんだよなあ…。
そのジレンマを抱えつつ、日々まずは基礎体力をつけていきたいと、改めて思う新卒1年目の私でした。 -
ポジティブな自己対話をすることによって、ポジティブな自分イメージを潜在意識に形成できる。人は自己イメージと現実が異なる場合に認知的不協和になってしまう。
望ましい自己イメージを反復によって書き込みを行う。 -
マネージメント論と、モチベーションコントロールのノウハウに関するストーリーを、一冊にまとめた感じですね。
バリバリのNPO代表の方の手記です。
シェア読書会にて借りた本です。
共感するエッセンス多数、過去に別書で読んだ思い当たるテクニックも多数。
悩ましい日本の「生産効率」の悪さ(質の方が特に)に焦点を当てたストーリーに読めましたが、ほとんどが既存のルールに足を引っ張られて、浅い改善しかできなかったりして。
その辺も悩ましい。
いよいよ会社組織の一般的な悩みは、日本の国家としての悩みそのものな感じがしますね。
結局本書では、組織のTOP・責任者クラスであれば多少改善できるネタはありましたが、なかなかおいそれとできるものじゃなさそうですな。
紆余曲折を味わって、組織ごとになんとかするしかない、苦しい現状を感じずにはいられませんでした…。 -
仕事や家庭、プライベートなど、それぞれをどう両立させ、バランスを取るのか。
時間や気力などをどう使って、生活を充実させていくのか。
それらについて考えるきっかけとなりました。
仕事とは何か、読者にそう問いかけてくるようでした。 -
自身の経験を元にして書かれているので理解しやすく、働き方に関しての考え方を変えてくれる本。
特に本の最後に纏められている「働き方革命」実現に向けてが秀逸。
図書館で借りたけど、自分用に買おうと思った。 -
すべてのロスジェネに。
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読みやすい文章だった
認知的不協和
安定領域
忙しい状態が安定領域となっていないか
自分が忙しいのは忙しがっている自分自身の責任
どういう人生を送りたいか、それに向かって行動する
側を楽にする 他者と自分のために価値を生み出すことを働くと定義する
スリムタイマー使ってみたい
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とある思考の回数が多い部分のニューロンが発火し、道ができ、よりその思考がされやすいよう脳が作られる。
潜在意識ともいう。
だから潜在意識で自分には無理だと思っていると行動に出られない。
働くということを、食いぶちのためだけでなく、人生を豊かにする地域貢献、家庭の仕事、育児、家族との関係、すべて -
【実現のためにはまずビジョンを設定せよ】
ビジョンドリブンな働き方や組織運営を早々に説いた本。
2010年に読み終わっていたが、2020年に再読しても切れ味抜群だ。
・「働く」に対しても目標設定をし、目標は必ず言語化し、繰り返し見て、自分自身に刷り込んでいくこと。
・「仕事とプライベートを完全分離し、生活のために稼ぐことを『働く』と定義すること」から「プライベートを含めて、他者に価値を与える(傍を楽にする)こと全てを『働く』と定義すること」へ
・「キャリアアップ」ではなく「ビジョンの追及」
・「自分探し」ではなく「コミットメント(参画・貢献・自己投入)の連続による自己形成」
・「金持ち父さん」ではなく「父親であることを楽しむ父さん」
仕事における立場が上がってたきたり、プライベートで結婚して、子どもができて、育てていたり、そういった要因もあるおかげで、再読しても染み入ったのだろう。
うまく時間を見つけ、自身のレベルアップとビジョンの可視化を行いつつ、他者に価値を与えながら、一石二鳥、三鳥を狙って広く楽になる仕組みを提供できるようになりたいと思った。