アニメ文化外交 (ちくま新書)

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著者 : 櫻井孝昌
  • 筑摩書房 (2009年5月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480064875

アニメ文化外交 (ちくま新書)の感想・レビュー・書評

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  • 外務省アニメ文化外交に関する有識者会議の委員として、世界各地で日本のマンガ・アニメの講演をおこなってきた著者が、世界で日本のマンガ・アニメが熱狂的に受け入れられている現状をレポートするとともに、これからの「アニメ文化外交」の課題を論じている本です。

    おもしろく思った点と、少し疑問を感じた点が一つずつあります。まず、おもしろいと思ったのは、アニメを通して日本に強い関心を持った世界の人たちが、「官」の人たちの心を動かしているということです。日本のサブカルチャーに「官」が関わることを批判する論者もいて、たとえばマンガの原作者であり「左翼」の立場を堅持する大塚英志は「国策としてのマンガ・アニメ」に明確に反対の立場を取っていますし、マンガ家の江川達也もそれに近い発言をしていた記憶があります。もう少しアカデミズム寄りのサブカルチャー批評家たちも、「クール・ジャパン」の掛け声には冷めた視線で見ている印象があります。しかし、本書で紹介されている著者の情熱的な外交努力や、巻末で著者と対談している外交官の山田彰の言葉を読んで、アニメ文化外交を進めていくのも、けっきょくは「官」の中の「人」なのだということに気づかされたように思います。やや強引な議論だという気もするのですが、著者のように情熱的な「人」でなければ、アニメ文化外交の努力も海外のファンを動かすことはないのだろうとも思います。

    一方、少し疑問に思ったのは、マンガやアニメに代表されるサブカルチャーにどれほどの伸び代が残されているのかという点です。著者は「ここ数年、アニメのDVD海外市場は縮小傾向にあるが、その最大の原因が違法ダウンロードにある」と述べていますが、それだけではないでしょう。また、日本の優位はそう簡単には揺るがないとは言うものの、今後中国や韓国のクリエイターが育ってくれば、ますます限られた大きさのパイを奪い合うことになるのではないかという気もします。

  • 2009年刊。アニメ文化をテーマに海外講演、フィールドワークに携わる著者が語る海外での日本アニメの隆盛の模様が本書。◆やや楽観的な見方とは思うけれど、ディズニーや米国ドラマが60年代の日本他の国の人々に与えた影響(親米化)を考えると、映像作品が外交、親日感醸成(特に子供や青少年)に意味あることは確か。ドラえもん(特にアジア)、グレンダイザー(EU。アーサー物語だから?)の影響の高さは割に著名だが、それ以外(ハガレンやNARUTOは兎も角、ハルヒの海外での高評価はやや意外)にもあるというのは心強い。
    さらに外交事務当局を介した作品上映会や試写会、現地TV会社への紹介・仲介も、実は安価なわりに効果的な方法かもしれない。◆そういう意味でアニメーション制作会社の経営安定の重要性を感じざるを得ない(現実に制作会社が小規模だし、著名作品を制作していたのに最近潰れたのも)。海賊版・違法ダウンロードの問題を地道に伝道している著者の姿勢には頭が下がる(「SHIROBAKO」や「それが声優」が有益に作用すればいいが)。◆一方で、ディズニーやピクサーのような金銭的に余裕のない日本アニメが、ネット動画で海外に拡散した意義。
    違法アップ・ダウンロードの問題(制作会社の利得減少に直結)を認識しつつも、ネットのかような意義を忘れ去ることは難しい。特に、中東・東欧に広がったことを見ると猶更。この手の書籍を見るたびに思わずにはいられないところ。◆なお、海外での反響や声には吃驚したが、中でも一番驚いたのは、独での「日本アニメは平和をテーマにしたものが多いが、それは政府のプロパガンタなのか」という問いかけ。

  • 実際に世界中のアニメファンと触れ合った実体験が語られるのが面白い。著作権保護まで含めて「正しい理解」を求めようとしている真摯な著者の姿勢がいい。今後求められるべきは、アニメが開いた日本文化への窓口をどう活用するかという行政側の対応だろう。

  • 【資料ID】90118
    【分類】778.77/Sa47

  • 日本人の女の子のファッションに憧れてるフランス人の女の子の話が気になった。
    満足度5

  • 事例が豊富で面白い。

  • 今や世界中に存在する日本アニメのファンたち。日本アニメの現状と、その可能性を、外交官としての視点から語る。

    授業のレポートを書くために読んだ本、その1。
    前半は、日本のアニメがいかに世界中のファンをとりこにしているか、いかに世界の多くの人々が日本アニメが好きか、ということが著者の経験から延々と繰り返され、正直「うーん、これはまるで身内自慢を聞いているみたいだなぁ」と思った。
    しかし、後半になってやっと、前半部分の著者の体験話が生きてくることとなる。

    アニメが本当に「外交」として、国境を越える手段となりうるのか。この問題を論ずるにあたって、ただ「日本のアニメはすごいんですよ」と文化人ぶって言われただけなら、「ふーん、そうなんだ」としか思わなかっただろう。
    しかし、この著者はなんというか、人間の性善説を信じているようなところがあるんですね。それが文章にも出ていて、「アニメがこんなに海外で愛されているなんてすごいなぁ」「こんなに日本のアニメが世界中で愛されているなんて嬉しいなぁ」という、前半で繰り返される純粋な喜びが、後半で妙な説得力を持ってくるのである。
    アニメを持ってして、「世界平和への貢献を期待したい」なんて、ただの知識人やアニメファンが言ったならば、「まぁ気持ちはわかるけど」と思いつつ、偏屈な私は少ししらけてしまったかもしれない。しかし、この著者が前半で繰り返す彼自身の「世界で日本のアニメが観られている喜び」を読んできてこの言葉を聞くと、「そっかぁ」と素直に受け取ってしまうのだから、不思議なものだ。
    経験に勝る説得力はない、ってことなのかもしれない。

    「外交」としてのアニメは、後半の100ページ超でまとめられているだけなので、題名から予想されるだけの内容の深さは期待できないが、著者の文章が明るいので読みやすくとっつきやすい一冊。
    日本アニメの国際的な立場での文化的貢献の役割も、希望を持って読めるという意味では、なかなかおすすめの本でもあった。

  • 全体的に「~と思った」「~と感じた」という表現が多く、具体的な数字などが少かったのが少し不満。でもその分わかりやすく読みやすかったです。これから同じような内容のもう少し具体的で専門的な本が増えて行くといいな。

  • Is anime diplomacy possible???
    The content is not so rich as I expected... It seems the author wants to show the popularity of Japanimation among the young people around the world. But it's just his personal experience.

  • 以下に備忘のため、要約。この前読んだ、中国動漫新人類と共通するところ多数。
    ■世界の若者は、私たちの想像以上に日本のアニメを好きで、日本に興味を持っている。それは、ゴッホが浮世絵から影響を受けたように。日本のアニメは、子ども向けでないのが、受けている。

    ■これを外交に生かすべき。外交に使い、日本のプレゼンスを向上するためには、官学企業、そして私たちの戦略が必要。

    ■官学企業、市民のやること
    官は、もっとアニメを日本文化として認識すべき。職員に対するアニメリテラシを教育すべし。能や歌舞伎などの伝統芸能だけが、文化外交ではない。
    学は、海外にアニメのクリエイターやノウハウを輸出し、日本のメソッドを広めるべき。
    アニメ産業は、対価性を顧客に認識させるため、製品の品質を落とさないこと。また、海外に技術を広める傍ら、海賊版しか入手出来ない国には、正規本の輸出を検討するべき。
    私たちは、海外の友人に向けて、アニメの素晴らしさを広めよう。日本のアニメの持つ平和へのメッセージは、きっと全世界の人々に受け入れられるのだから。

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アニメ文化外交 (ちくま新書)の作品紹介

ミャンマー、サウジアラビア、イタリア、スペイン…。作品タイトルを聞くだけで悲鳴をあげ、人気アニメのエンディングの振り付けをマスターする海外のファンたち。日本のアニメは、想像を超えて世界に広がっている。本書では、日本のアニメが世界でどう愛され、憧れの的になっているかを、現地の声で再現。また、このアニメ文化を外交ツールとして積極的に活用する意義を論じ、加えてそのための戦略をも提示する。

アニメ文化外交 (ちくま新書)のKindle版

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