コミュニティを問いなおす―つながり・都市・日本社会の未来 (ちくま新書)

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著者 : 広井良典
  • 筑摩書房 (2009年8月8日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480065018

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コミュニティを問いなおす―つながり・都市・日本社会の未来 (ちくま新書)の感想・レビュー・書評

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  • コミュニティの機能が失われた現代社会で、コミュニティの再生のために、コミュニティを問いなおす。しかし、それは、従来のコミュニティの再構築ではなく、新たな関係性、価値観にもとづいた、新たな機能を持ったものになるだろう。
    本書の中で、著者はコミュニティの定義について、「人間が、それに対して何らかの帰属意識を持ち、かつその構成メンバーの間に一定の連帯ないし相互扶助(支え合い)の意識が働いているような集団」としている。その、「人間が」尊厳を取り戻し、社会が再び機能する場所として、「公」(政府)でもなく、「私」(市場)でもなく、「共」の場である「コミュニティ」に焦点を当てている。
    著者が言うように、現代は、人々の価値観を含めて社会システムが大きく転換しないといけない時期に来ていると思う。そして、「共」の場で変化のリーダーシップをとっていける存在としては、事業体をもつ協同組合であったり、実績を積んだNPOなどであり、そのはたさなければならない責任は大きいと感じた。

  • 歴史より地理を、時間よりも空間を—(pp275)

     過去より未来は確実に良くて、産業化されていない地域=遅れた地域という直線的な思考でなく、地理に対応した地域の特徴を捉えること。

     社会福祉に、都市政策の視点を導入し、どのような効果があるのかを多面的に検証する内容。その切り口として、「コミュニティ」が取り上げられている。

    http://picsec.blog.shinobi.jp/%E5%BB%BA%E7%AF%89%E3%83%BB%E9%83%BD%E5%B8%82/%E3%80%90%E6%9C%AC%E3%80%91%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%92%E5%95%8F%E3%81%84%E7%9B%B4%E3%81%99%E3%80%80%E5%BA%83%E4%BA%95%E8%89%AF%E5%85%B8%E8%91%97%EF%BC%882009%EF%BC%89

  • 本書のみでの論旨の理解は難しいのかもしれない。理解不足ながら、まさに東京郊外に住み、現実発生している郊外コミュニティーの課題と合わせて読むとき、視点が整理されてくる。東京郊外における高齢化問題、コミュニティーとしての団地再生の課題、ロードサイドビジネスを中心とする街作りのあり方など多くの問題の方向性を示してくれる。

  • コミュニティのあり方やその再生については多く議論されており、地方自治体では商店街や公民館、学校などを中心としてコミュニティを形成する試みがなされている。コミュニティが重要視されるのは、それが人が生活するうえでの基盤になるものと考えられているからであり、経済成長に頼らない豊かな生活を送る上での基盤になるものであると認識されているからである。
    しかし、マンションの住人はマンションを単位としたコミュニティという意識は薄く、むしろコミュニティは排他性や同調圧力を生むためにコミュニティというしがらみからの開放が進歩であるとされてきたという歴史がある。文明の発展とは、コミュニティという集団によってではなく、個人がバラバラに生活できる社会が「進歩」であると考えられてきた。このような理由から、コミュニティという言葉に対して批判的な立場をとる人も存在する。
    本書は、都市、グローバル化、社会保障、地域再生、ケアなどさまざまな観点から、人と人との新たなつながりの形を模索するものであるが、「コミュニティ(共同体)」をより具体的に分析し、感情的次元の「農村型コミュニティ」と規範的・理念的なルールによる「都市型コミュニティ」とに分類している。
     人の移動が少なく、濃密な関係性が築かれるのが「農村型コミュニティ」であり、コミュニティという語についての一般的な認識がこれにあたると言える。そして、生産のために個々が集う場所が「都市型コミュミティ」であり、この外部に開かれている流動的な集団を、西欧では宗教が、日本では経済成長という理念が一つの集合として束ねていた。
    明治以降、日本は欧米列強の進出に直面する中で、「文明の乗り換え」を行った、しかし価値原理(キリスト教)は受容せず、仏教・儒教の価値原理はほとんどを捨象した。この価値原理の喪失を経済成長という信奉が埋めたと言える。
    そして経済成長が頭打ちになった現在、個々をまとめるコミュニティの意識が希薄になっていると言われているが、推論すると本書で言うところの「都市型コミュニティ」が薄れているのであり、重要ということになる。
    しかし、ここで議論は転回し、社会保障の話に移る。制度としての保障だけにとどまらず、心のケアなども含めた保障で、ケアを施す場としてコミュニティが重要であるという内容であり、このコミュニティとは濃密な関係を受容する「農村型コミュニティ」、感情的次元による「つながり」の場についてである。
    さらに、社会格差に対する保障にも触れているが、興味深いのは所得に関するフローの格差ではなく、ストック(資産)の格差が、日本の固定的な階層の中での世代交代により蓄積され、より拡大しているという議論である。このストックに対する保障という観点から都市政策による社会保障という考えが
    導きだされている。これまでの都市政策は景気刺激策として行われてきた。そして福祉政策は担当省が異なるということもあり、制度やサービスが中心であった。
    著者の提言は、NPOや地域コミュニティなどの「公」的な領域の発展と、所得の再配分や土地所有のあり方などの公的部門の強化が重要であるとし、大きく括れば社会保障のより一層の充実といえる。

  • 経済の成熟化により、富の源泉がフローからストックにシフトしている。ストックからの分配を行うこと。
    人生前半の社会保障を行うことの2点が今後の社会保障のポイントである。
    といった箇所が最も共感できた。
    もう一度読み直したい。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784480065018

  • トマ・ピケティ「21世紀の資本」が売れに売れている2015年新春というタイミングでこの本を開きました。そのベストセラーにはまだ手をつけていませんが本書は「フローからストックへ」という社会の変化を先駆けて提示しているように思いました。もちろんエコノミーとコミュニティと目指すベクトルは違っているのですが…。基本にある「公‐共‐私」という社会の骨格に対するまなざしがとても「優しく」感じました。それは最終章で著者自身のライフテーマになっているくだりで裏打ちされました。はっきりしませんが自分のこれからのヒントを与えてくれる読書でした。

  • 京都府の南に「私のしごと館」という、それは立派な建物がある。職業体験のできる場所で、小学校や中学校の体験学習にも利用されているようだ。ところが、それがどうも採算が合わないらしい。その建物をどうするかでずいぶんもめているようだ。維持するだけでも相当なお金がかかる。壊してさら地にするのにもまた大きなお金が必要となるのだろう。私も何度か訪れたことがあるが、なんでまたこんな大きな箱物を作ってしまったのだろうかと思う。本書の前半には具体的にそういうモノをどう使ったらいいかのヒントが書かれている。地域の住民がうまく活用できるサロンやホールとなればよいのだが。さて、2ヶ月以上かけて読んでいるので(途中他の本に気移りしながら)前半の内容はほとんど忘れているのだけれど、後半の原理的な話だけでも十分に読み応えがあった。独我論から2500年ほど前に同時多発的(ギリシャ、インド、中国、イスラエル)に起こった普遍的な価値原理へ。そして、いま必要とされている新たな思想――それは有限性と多様性を重要な要素として持つ――の確立。図書館のリサイクル位置でもらっていた手付かずの伊東俊太郎「比較文明論」も読んでみなければいけない。いままた読み始めている梅棹忠夫の文明論、それからいま気になって仕方ないレヴィ=ストロースの思想などとも比較しながら読んでみたい。

  • 取り扱われているテーマが広範で、私には少し難解。
    情報系の本ではなかった様だ。
    アンジェラアキの「手紙」に何かを感じるという共通点は、著者と私が同年代だからなのかも。

  •  戦後の日本社会とは、「農村から都市への人口大移動の歴史」であった。都市に移った日本人は都市的な関係性を築いていくかわりに「(核)家族」という、閉鎖性の強いコミュニティをつくった。これは家族の利益を追究することが、個人のパイの取り分の増大にもつながるという意味で一定の好循環を作っていた。しかし、経済が成熟化し、そうした好循環の前提が崩れるとともに、家族のあり方が流動化・多様化する。それはかえって個人の孤立を招き、「生きづらい」社会や関係性を生み出した。
     このように社会的紐帯がゆるんでいくことは、人々が個人個人でしたいことをして生きるという理想を実現し始める反面、イエやムラなど前近代に起源がありながら、経済成長を支えるなどした社会的準拠枠の喪失を意味する。
     そのような状況下、新たなコミュニティ作りが模索される。そこにはどのような解決策が存在するのか?
     大学の講義と卒論にて使用。

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コミュニティを問いなおす―つながり・都市・日本社会の未来 (ちくま新書)の作品紹介

戦後の日本社会で人々は、会社や家族という「共同体」を築き、生活の基盤としてきた。だが、そうした「関係性」のあり方を可能にした経済成長の時代が終わるとともに、個人の社会的孤立は深刻化している。「個人」がしっかりと独立しつつ、いかにして新たなコミュニティを創造するか-この問いの探究こそが、わが国の未来そして地球社会の今後を展望するうえでの中心的課題となろう。本書は、都市、グローバル化、社会保障、地域再生、ケア、科学、公共政策などの多様な観点から、新たな「つながり」の形を掘り下げる大胆な試みである。

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