コミュニティを問いなおす―つながり・都市・日本社会の未来 (ちくま新書) (ちくま新書 800)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • / ISBN・EAN: 9784480065018

感想・レビュー・書評

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  • 科学、宗教、人類史から各国の政策、自治体アンケートまで幅広い内容で、時間~空間、ソフト~ハードと視点が切り替わりついていくのが大変だった。
    日本の経済や社会に関する本は、同じようなことを違う切り口で述べていることに気づく。
    高度経済成長期の功罪とか急激な都市化、そして歴史的に普遍的原理が不存在であること。経済や社会保障、生き方などに価値観の転換が求められていることなど、この本でより大きな視点から再確認できた。

  • 著者の関心が幅広い。論旨を追うのも大変な本だった。

    【書誌情報】
    シリーズ:ちくま新書
    定価:本体920円+税
    Cコード:0236
    整理番号:800
    刊行日: 2009/08/05
    判型:新書判
    ページ数:304
    ISBN:978-4-480-06501-8
    JANコード:9784480065018

    戦後の日本社会で人々は、会社や家族という「共同体」を築き、生活の基盤としてきた。だが、そうした「関係性」のあり方を可能にした経済成長の時代が終わるとともに、個人の社会的孤立は深刻化している。「個人」がしっかりと独立しつつ、いかにして新たなコミュニティを創造するか――この問いの探究こそが、わが国の未来そして地球社会の今後を展望するうえでの中心的課題となろう。本書は、都市、グローバル化、社会保障、地域再生、ケア、科学、公共政策などの多様な観点から、新たな「つながり」の形を掘り下げる大胆な試みである。
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480065018/


    【目次】
    目次 [003-008]

    プロローグ コミュニティへの問い 009
      現在の日本社会とコミュニティ
      経済成長とコミュニティ
      農村型コミュニティと都市型コミュニティ――「つながり」のあり方
      人口構造という要因と地域コミュニティ
      人間にとってコミュニティとは何か


      第1部 視座 029

    第1章 都市・城壁・市民――都市とコミュニティ030
      「都市」の意味するもの――都市と関係性
      「集団が内側に向かって閉じる」
      関係性の進化
      ハードあるいは空間面における「都市」
      「都市」とその“外部”
      「市民」という概念
      団体としての都市
      都市という「まとまり」――西欧中世都市の二つの型
      市民あるいは都市の排他性?


    第2章 コミュニティの中心――空間とコミュニティ 066
      「コミュニティの中心」という視点
      コミュニティ政策に関する市町村アンケート調査
      「コミュニティの単位」――日本における地域コミュニティの原型とは
      地域コミュニティづくりにおけるハードルと展望
      「福祉地理学」――空間化の時代におけるミッション型コミュニティと地域コミュニティの融合
      「空間化するケア」
      「コミュニティの中心」の進化
      福祉・環境・スピリチュアリティそして大学――ポスト産業化の時代における「コミュニティの中心」
      “外部への窓”としての「コミュニティの中心」


    第3章 ローカルからの出発――グローバル化とコミュニティ 094
      「公‐共‐私」をめぐる構造の歴史的変容  工業化時代における「国家」への収斂
      経済構造の変化と「最適な空間的単位」の変容
      金融化・情報化とその先
      ローカルからグローバルへの役割分担
      時間的な解決から空間的な解決へ――再び「福祉地理学」について


      第2部 社会システム 115

    第4章 都市計画と福祉国家――土地/公共性とコミュニティ 116
    1 福祉国家と都市計画の国際比較 118
      北欧――「公」(政府)中心のシステム
      大陸ヨーロッパ(特にドイツ)――「共」(コミュニティ)的基盤と「公」
      アメリカ及びイギリス――「私」(市場)中心のシステム
      日本――折衷型システムと「公共性/都市」をめぐる課題
    2 歴史的展開における福祉国家と都市計画 127
      第一期:近代化・市場経済の浸透と私的所有権……一八〜一九世紀
      日本における展開――「土地の公共性」をめぐって
      第二期〔産業化前期〕:急速な都市化と「近代的都市計画」&社会保険……一九世紀後半〜二〇世紀前半
      第三期〔産業化後期〕:ケインズ政策・福祉国家の時代とその変容……二〇世紀後半
      第四期:経済の成熟化・定常化と福祉政策・都市政策


    第5章 ストックをめぐる社会保障――資本主義/社会主義とコミュニティ 145
      「ストックをめぐる社会保障」とは
    1 これからの社会保障政策 147
      福祉国家の方向性 
      事後から事前へ――福祉国家の意味
      定常型社会と「市場経済を超える領域」の生成
      フローからストックへ
      「公‐共‐私」をめぐるダイナミクス
    2 ストックをめぐる格差と土地・住宅政策 161
      ストック(資産)をめぐる格差の動向
      自治体に対する土地・住宅政策に関するアンケート調査
      土地・住宅に関する重要課題
    3 福祉政策と都市政策の統合――「持続可能な福祉都市」へ 172
      「人生前半の社会保障」の強化
      住宅の保障機能の強化
      公有地の積極的活用の社会化へ
      「福祉都市」の視点
      空間格差や社会的排除を生みにくい都市のあり方
      課税・財源のあり方


      第3部 原理 203

    第6章 ケアとしての科学――科学とコミュニティ 204
     「現代の病」への対応――医療技術とケアをめぐる議論
      様々なケア・モデル
      個体を超えた人間理解とコミュニティ
      様々な試み――社会的関係性への注目
      現代科学は「古人の知恵」に還る
      近代科学の展開とコミュニティ
      情報・生命・コミュニティ

    【付論】人間の意識とコミュニティ 226


    第7章 独我論を超えて 229
      独我論という主題
      独我論と「普遍的な価値原理」
      対応のあり方――「生きづらさ」をめぐって
      二つの「社会」
      日本社会のありよう
      普遍的な原理が個人をつなぐ「通路」になる


    終章 地球倫理の可能性――コミュニティと現代 251 
      普遍的な思想の同時多発性
      異なるコミュニティを「つなぐ(橋渡しする)」思想
      「普遍的な思想」の「多様性」と“リージョナルな住み分け”
      なぜこの時代に「普遍的な原理」を志向する思想が生まれたのか
      文明の成熟化・定常化と規範原理
      「定常化の時代」としての現在――精神革命期との同型性と差異
      「地理的多様性」を組み込んだ思想
      おわりに――コミュニティと時代構造


    参考文献 [281-286]
    あとがき(二〇〇九年 新緑の八ヶ岳山麓にて 広井良典) [287-292]



    【図表一覧】
    図1 経済システムの進化とコミュニティ 013
    表1 コミュニティの形成原理の二つのタイプ 016
    図2 先進諸国における社会的孤立の状況 018
    図3 人口全体に占める「子ども・高齢者」の割合の推移 019
    図4 コミュニティをめぐる構造 025


    表2-1 都市の歴史的変容 069
    図2-1 「コミュニティの中心」として特に重要な場所 072
    図2-2 「地域コミュニティの単位」として実質的に特に重要なもの 075
    表2-2 地域コミュニティづくりにおける課題・ハードル 079
    図2-3 地域コミュニティづくりにおける課題・ハードル(人口規模別) 080
    図2-4 経済システムの進化と「コミュニティの中心」の変遷 086


    表3-1 近代システム以降におけるローカル‐ナショナル‐グローバルのガバナンス構造の変容 095
    図3-1 社会資本整備のS字カーブ 101
    図3-2 経済システムの進化と定常型社会 105
    表3-2 ローカル〜グローバルの重層構造と主要領域での役割分担・課題 106
    表3-3 異なる地域における問題・課題と「資源」・“魅力” 108


    表4-1 福祉(社会保障)政策と都市関連政策の国際比較 118
    図4-1 社会住宅の割合の国際比較 122
    図4-2 社会保障給付費の国際比較(対GDP比、2005年) 123
    表4-2 都市のタイプと公平性 142


    図5-1 経済社会システムの進化と“富の源泉”及び税制 156
    図5-2 「公‐共‐私」をめぐる構造変化 157
    図5-3 所得と資産に関するジニ係数の動向 162
    図5-4 土地・住宅に関する重要課題(市町村) 165
    図5-5 土地・住宅に関する重要課題――人口規模別 166
    図5-6 高齢者や低所得者等に関する住宅の確保をめぐる近年の状況――人口規模別 168
    図5-7 公営住宅についての今後の方針 169
    図5-8 公営住宅についての今後の方針――人口規模別 170
    図5-9 「人生前半の社会保障」の国際比較(対GDP比、2005年) 175
    図5-10 公的教育支出の国際比較 175
    表5-1 土地の所有主体別面積 182
    図5-11 経済格差と空間格差 193
    表5-2 「持続可能な福祉都市」のイメージ 196
    図5-12 不動産に対する課税水準(対GDP比)の国際比較(2002〜04年平均) 197


    表6-1 15〜44歳の病気の負担(burden of
    disease〔in DALY:Disability-Adjusted Life Years〕)の主要要因(先進国、1990年) 207
    表6-2 医療モデルと生活モデルの対比 209
    図6-1 「ケアのモデル」の全体的な見取り図 210
    図6-2 健康転換と有効なケア‐モデルの変容 211
    図6-3 高齢単身世帯割合と介護の軽度認定率の相関(都道府県別) 216
    図6-4 「個人‐コミュニティ‐自然」の関係 220


    図1 世界人口の超長期的推移 265
    図2 人類史の中の「定常型革命」 266

  • ”<きっかけ>
     本屋で偶然みつけてタイトル買い。内容はなかなかいい感じ。”

  • 社会

  • Kindle本。自分がコミュニティ政策に関心があることに気づくなぁ。
    この前話していて思ったけど、最近、人が自然に動いてしまう仕掛け作り に関心がある

  • 広井良典『コミュニティを問いなおす』ちくま新書 読了。総じて雑多。帰納的な推測の正当性が気になる。だが、格差の源泉となるストックを公営住宅など福祉政策に活用する視点は斬新。生産性概念の転換を図れば、労働集約型が生産性に優れるとの考えも面白い。いずれにせよ政府の介入が前提となるが。
    2012/03/04

  • 【由来】
    ・天野祐吉の「成長から成熟へ」で「人口減少社会という希望」を検索したらMediaMarkerの関連本で出てきて、同じ著者で、しかも新書なら読みやすそうと思った。

    【期待したもの】


    【要約】


    【ノート】

  • コミュニティを問いなおす―つながり・都市・日本社会の未来 (ちくま新書)

  • 経済の成熟化により、富の源泉がフローからストックにシフトしている。ストックからの分配を行うこと。
    人生前半の社会保障を行うことの2点が今後の社会保障のポイントである。
    といった箇所が最も共感できた。
    もう一度読み直したい。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784480065018

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著者プロフィール

広井 良典(ひろい・よしのり):1961年生まれ。京都大学人と社会の未来研究院教授。専攻は公共政策、科学哲学。環境・福祉・経済が調和した「定常型社会=持続可能な福祉社会」を一貫して提唱。社会保障、医療、環境、都市・地域等に関する政策研究から、ケア、死生観、時間、コミュニティ等の主題をめぐる哲学的考察まで、幅広い活動を行っている。著書『コミュニティを問いなおす』(ちくま新書、2009年)で大佛次郎論壇賞受賞。『日本の社会保障』(岩波新書、1999年)でエコノミスト賞、『人口減少社会のデザイン』(東洋経済新報社、2019年)で不動産協会賞受賞。他に『ケアを問いなおす』(ちくま新書)、『ポスト資本主義』(岩波新書)、『科学と資本主義の未来』(東洋経済新報社)など著書多数。


「2024年 『商店街の復権』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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