心理学で何がわかるか (ちくま新書)

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著者 : 村上宣寛
  • 筑摩書房 (2009年9月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480065056

心理学で何がわかるか (ちくま新書)の感想・レビュー・書評

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  • これは、「はじめに」でもあるように、心理学の入門本でもないし、教科書でもない。しかし、そうした教科書と呼ばれるものに出てくる、これまた古典的な研究成果について、最新の知見を交えつつ、批判を繰り広げていく。

    心理学の世界にはびこる「古いものは良いことだ信仰」をザックザックと斬っていく書き方は読んでいて爽快だった。

    本書で一番印象深かったのは最終章で繰り広げられる日本の臨床心理学への批判。

    日本ではなぜか心理学の臨床実践に関する部分では、「臨床心理学」なる学問と、「心理臨床学」なる学問が併存している。

    なぜ、このような違いが出てきたのか、何が今日の日本の臨床心理学の問題なのか、歴史的な背景も踏まえつつ解説されている。
    その中で紹介されている厳然たる事実や著者の結論は、おそらく臨床心理学を大学院で学ぼうとしている大学生には耳の痛い話だろう。

    ただ、こうした日本の臨床を取り巻く現状も知らずに、指定大学院を出て資格試験をパスしただけの「名ばかり臨床心理士」のようなものがどんどん生産されていくことへの警鐘でもあって、読んでいて唸らされた。

    本書は心理学の持つモヤモヤ感に切り込んでいくもので、文体が、これまた毒舌、シニカルで面白く、読みやすい。

    また、心理学を科学の一つと考えたとき、ものを言うには科学的な証拠が必要という点が強調されている。
    臨床にしろ、基礎的な心理学を学ぶにしろ、科学として心理学を研究するならば、この点を忘れてはいけないことを、思い知らせてくれる1冊だった。

  • ネットの記事やテレビの情報番組で心理学の専門家から『○○って実験したらぁ、△△ってなっちゃった。故に××よ!』と語られるとすぐ鵜吞みにしちゃう人は第一章だけでも読んでみよう・・・もとい、読まない方が幸せだろう。

  • 題名から推測(期待)していたものとは少々異なる内容。
    専門書ではなく新書であるので、ある程度、一般人にもわかりやすい内容かと思ったが、予想外にアカデミックな内容。

    心理学とは心の科学という著者による、統計学的な手法等が一般庶民には少々ハードルが高い感は否定出来ない。

    早い話が、細かいアプローチは小難しいので、社会で応用しやすい事例をもう少し簡単に書いてほしかった。
    ある程度心理学と統計学のベースがある方であればそれなりに読めるのかもしれません。

  • 認知心理学を専攻する研究者が2009年に刊行した心理学をコンパクトに説明した本。
     非常にわかりやすい。本書序盤での科学研究(世界・モデル・データ)についての説明も、これまで読んだ本のなかで最も上手い。当たり前ながら、心理学の方法論や研究の内容もある程度つかめる。
     しかし、(無駄に思える)昔語りが挟まるのは何故だろう。推敲しすぎて筆滑らかになったのかもしれない。


    【目次】
    はじめに 007
    第1章 心理学とは 011
    第2章 人柄は遺伝で決まるか 049
    第3章 人間は賢いか 081
    第4章 意識の謎 117
    第5章 記憶は確かか 147
    第6章 人と人の間で 183
    第7章 異常な世界へ 225
    註 263

  • 著者のかなり辛辣で直截的な物言いは、自信の表れなんだろうな、と思う。曖昧なところが無い書きぶりなので、内容はとてもわかりやすい。
    世間一般で語られている俗説をひっくり返していくところなんかは「はー」「へー」の連続だったけれど、「自由意思」のところはどうなんだろう。
    あの実験とあの解釈で、自由意思云々が語れるもんなのだろうか。そこはちょっと疑問に感じた。

    あと思うのが、結局のところ「実験室での人間の振る舞い」なんだよなあということ。
    非日常的な空間で、なんかよくわからん他人が自分を観察している状況。そこでの振る舞いは、はたして一般化できるもんなんだろうか?

    などなど、いろいろ考えさせられる。
    いろいろと示唆の詰まった良書ではあると思う。

  • 心理学と聞いて漠然と思い浮かぶ、フロイトやユング的なイメージがガラリと変わります。
    「心」という曖昧なものが対象な為か、信用のおけるデータを集めるのが難しそうですが、そうして集められた、客観的かつ厳密な統計から相関関係を導き出されると、心理学は魔法でも超能力的なものでもなく、学問なのだなと感じます。

  • 心理学で何がわかるか。しかし、わかりにくい表現が多かった。

  • ●:引用、→:感想
    ●ゾンビ・システムが特殊用途に限定されたリアル・タイム・システムだとすると、意識は汎用の問題解決システムである。特殊なリアル・タイム・システムと汎用の問題解決システムの両方を兼ね備えた生物の方が適用能力に富み、自然淘汰の結果、生き残ったと考えられる。→「お化け屋敷で科学する!」「ヒトはなぜ拍手をするのか」参照

  • 著者の体験が多く反映されている本。そして、この本の良いところは今までの有名な実験が詳細に書かれていること。
    普通の概論書では省かれてしまうような、詳細が書かれていてそうだったのかとうなずくことができる

  • 心理学が実は科学的な学問であることを説く書。カウンセリングなどに近い心理学のイメージを否定して何をどのように研究しているのかを書いている。どの程度までの科学的根拠を持つかどうかで研究が評価されるべきだという考えが、根拠の薄い場合の害を例を挙げて主張されていて、これに私も同意したい。ただ気になるのは専門用語が必要以上にかつ大まかに理解できる説明無しに見られるということで、それだけ読みづらく感じた。

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心理学で何がわかるか (ちくま新書)の作品紹介

「性格はどこまで遺伝で決まるか」「自由意志は存在するか」「記憶力は鍛えられるか」「暴力的映像は暴力を引き起こすか」-これらの問題に意味のある答えを出すには、哲学や日常的実感では力不足。科学としてのアプローチが必要なのだ。インチキ、俗説、疑似科学を退けて本物の心理学のあり方を提示しつつ、今、心理学がどこまで到達しているのかを平易に紹介。心理学、最初の一冊。

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