完全教祖マニュアル (ちくま新書, 814)

  • 筑摩書房
4.07
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480065131

作品紹介・あらすじ

多くの人をハッピーにしながら、大きな尊敬を受ける-教祖ほどステキなビジネスはほかにありません。キリスト教、イスラム、仏教などの大手伝統宗教から、現代日本の新興宗教まで、古今東西の宗教を徹底的に分析。教義の作成、信者の獲得の仕方、金集め、組織づくり、さらには奇跡の起こし方-あらゆるシチュエーションを実践的に解説した本邦初の完全宗教マニュアル。

感想・レビュー・書評

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  • 新興宗教の教祖になって儲けるためには、みんなをハッピーにすること!

    それをコンセプトに新興宗教の作り方をレクチャーしていく本です。具体的には世間へ受け入れられる教義の仕組みや、信者の獲得や保持、布教についてなどが解説されています。

    最近の旧統一教会問題もあって重くなりそうなテーマだ思っていたのですが、予想以上に楽しく面白く読めた本でした。

    何より冗談のようなコンセプトなのに、内容は結構ちゃんとしているのが良い。三大宗教をはじめとした実例を示しつつ、宗教ができあがっていく過程が見えてきます。

    実例によってあまり知らない有名な宗教の様々な側面が見えてくる。そういう知識や雑学の面からも読めるし、信者たちの心理や横顔も見えてくる。
    それはだれもが持ちうる人間の心理の弱さや矛盾の考察にもつながります。

    そうした重くなりがちな内容を含みつつも、終始冗談みたいなコンセプトで軽やかに皮肉を交えつつ、最後まで話を進めてくれるのでありがたかった。
    軽い気持ちで読めるし、それでいて内容は思った以上にどっしりしています。

    少し違った視点から宗教や、カルトのことを考えられる興味深い一冊でした。

  • 宗教は儲かると聞く。本田技研工業の藤沢武夫氏はかつて「会社が倒産したら本田宗一郎を教祖にした宗教をつくる」と言ったそうだ。教祖に相応しい器というものがあるのか、人望のある教祖になるにはどのようなふるまいが必要とされるのか、宗教とビジネスの運用に違いはあるのか等、純粋な疑問と好奇心をくすぐられたので手にした本書。「はじめに」の文書から胡散臭さ全開だが内容はそれっぽいことを述べており楽しめた。あやうく新興宗教を立ち上げようという気持ちになる。

    以下、本書(はじめに)より抜粋

    本書は様々な宗教の分析から構築された極めて科学的なマニュアルです。科学だから決して怪しい本ではありません。(中略)本書を信じるのです。本書を信じなさい。本書を信じれば救われます。

  • 宗教には一切関わっていない生活を送っていますが、たまたまオススメされていたのをキッカケに読んでみました。
    「人々をハッピーにすること」をモットーにすることは、どんな仕事にも活かせそうと思いました。

  • 宗教の価値はみんなをハッピーにすることだと思った。
    昨今の宗教二世問題の影響もあり、宗教というと怪しい、やばい、思想が強すぎる、搾取されている…などの印象がある人もいるかと思う。
    が、宗教は精神面のケアの役割があって、宗教の教えによって救われてるのであればそれはそれでいいんじゃないかと思った。

    神の存在が人間の精神面のケアをしてきたり、秩序をもたらしてきた側面があり、日本を離れて海外に行くと、当たり前のように現地の人々の生活の中に宗教が溶け込んでいる。
    一方で科学の発展やSNSによるコミュニティの形成、人口の伸び悩みなどの影響もあり、近年、キリスト教が有史以来の信者急減という状況だとネットニュースの記事で見た。
    キリスト教を離れた元信者たちは無宗教になるとのことで人は神に救われなくなってきてるんだろうなと思った。

    日本も無宗教が多い(特定の宗教を深く信仰している方が少ない)が、そうした宗教のないコミュニティでは代わりにオンラインサロンや推しを信仰しているような気がする。

    そうした宗教の代替となるものを提供しようと考えている人にとっても役立つ本だと思っている。

    全然関係ないけど、文にクセがあるが私としては読みやすかった。ブログみたいなゆるめのノリで書かれていた。

  • キリスト教・イスラーム教・仏教のモデルを主に教祖になるための方法をマニュアル的・具体的に紹介することで宗教の構造を科学的に解説した著作。

  • アーティストが自身のファンコミュニティを作る際にも適用できるのでは?というか、まるまるパクれると思う。
    本書内にも書いてあるが、"好奇心で読む"より、"実用書として読む"、その側面が強い。私のように、「なんか面白そうだな。レビューも高いし」という程度で読み始めた人は、少し退屈かも。「何かを得たい!スキルを学びたい!」、そんな気持ちを持った人には有益。

  • クセの強い文章で、慣れるまでかなり時間がかかったが、宗教の根底にあるロジックを垣間見れて面白かった。

  •  マニュアルという名前だが実際の印象は、教祖に必要なものを既存の宗教から例を出し、宗教とはこういう仕組みであると解説したもの。
     宗教はなんとなくでしか知らず、戒律やら祈りの意味なんて深く考えたことはなかった。これらに宗教組織を維持するためにどう意味と仕組みがあるのか?そういうことを具体的に例を出し解説してくれるため非常にわかりやすい。一見意味不明な儀式にも人間の心理と照らし合わせると大いに意味があったりするのが、理解できるとおおっと感心してしまう。一方でディズニーランドの舞台裏を見ているような居心地の悪さもある。
     真面目にかかれているがマニュアルとしてはネタ部分もあるので参考にするには危険かもしれない。ただなんとなく宗教の仕組みやらを知りたいという人にはちょうどいいと思う
     
     

  • 昨今の情勢に鑑みてあまりにも不謹慎なタイトルに、反面教師として読もうと手に取った。
    意外にも、あっけらかんとした雰囲気の本。実際の有名な宗教を例にとり教祖のハウツーを分かりやすく説明しており、宗教とはこのようにして出来上がるのか…と社会の勉強にもなった。あと(この本の意図ではないだろうが)宗教とはこんなふうに近寄ってくるんだな、自己防衛にも役立つ気がする。

  • 本書は2009年第一刷発行である事を先に申し述べておく。
    壮大な政界汚染へのアンチテーゼ、要するにイヤミのような感想となったのなら、たまたまだ。

    あなたは、人の役に立ちたい、って思ってますよね?
    誰しも心の中に、愛を秘めているものです。
    そうです、そして、あなたは幸せになるために、そして、誰かを幸せにするために生きておられるのです。

    けれども、今のままでは多くの人を救うのは難しいのではないですか?
    日々の仕事、勉強、育児、あるいはただ瞑想に耽るだけの時間…
    それらももちろん素晴らしいことに間違いはありませんが、もっと、あなたの力を発揮する場所があります。
    あなたのご友人やお知り合いに優秀な方はいませんか?
    きっといらっしゃるはずです。
    その方たちにあなたの思いをぶつけましょう。
    そしてよりわかりやすくご友人たちの周りに説明してもらいましょう。
    そうそう、団体になったらきちんと法人登録もしなくてはね。
    税や法律の知識に詳しいご友人がいればお願いしましょう。
    建物も作りましょう。
    政治にも進出しましょう!
    皆を幸せにできますよ。

    人は弱いものです。誰かに認められたいし、寄り添いたいものです。
    あなただけが世界の真実を知っているのです。

    大衆は何も考えません。
    簡単に幸せになって簡単に稼げると思っています。
    それでいいんです、愚かな、いえいえ、迷える子羊である大衆にとっては明日のこと、未来のことより今が大事なんです。

    私の話を聞いていただき感謝いたします。
    あなたこそ教祖にふさわしい!
    さあ、一緒に新しい宗教を立ち上げませんか?
    この国を、世界を、一緒に変えていきましょう!

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著者プロフィール

1980年生まれ。広島県出身。作家。著書に『仁義なきキリスト教史』『完全教祖マニュアル』(辰巳一世との共著)など多数。

「2020年 『仁義なき聖書美術【新約篇】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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