- Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480065223
感想・レビュー・書評
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6賞のアルスの話がとても興味深かった。心で科学を感じる力を小学校から伸ばしていかないとと痛感。
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読後の感想は、「久々に読み応えのあるちゃんとした新書を読んだなぁ~」というもの。
私が大学生の頃、新書と言えば岩波新書、中公新書、講談社現代新書が御三家で、卒業する頃に集英社などからも出るようになったと思います。当時は今のように各出版社から多数の新書が出ている状況ではなく、一冊一冊がかなり重みのある作品が多く、一般教養書としてとても重宝しておりました。しかし今は粗製乱造というのか、本当に読んで良かったなぁと思う、かつてのような重みのある新書は少なくなった印象を持ちます。そんな印象が多い中、この『「理科」で歴史を読みなおす (ちくま新書)』は私の知的好奇心を心地よくくすぐり、そしてタイトル通り歴史の読み方に別の視点、「理科(=理系的な分析)」を与えてくれます。
縄文人が見ていた夜空の星と、現在の我々が見ている星空が異なるというお話しや、弥生文化との入れ替えなど、興味深いお話から始まり、現在のレア・アース問題もびっくりするような日本の金銀産出とその流出の歴史(全く今考えるともったいない話です・・・)、そして数の話など、とても興味深い話がたくさん出てきます。そしてまた文章も簡潔でわかりやすく、飽きのこない書き方で魅了してくれます。
中でも最終章の「アルスの世界-科学と芸術の接点」は、科学が如何に発展してきたか、そして芸術と科学がどのように分化していったかというところが、科学者としての著者の深い考察の中で示されています。
現在は様々な方面の分野に専門的に分化した時代。しかしかつてはそういった分化したものではなく、“アルス”という知的好奇心を満たす大きな未知の世界の探求があり、芸術的な分野と科学の間を行き来する知の巨人が数多くした時代。それゆえに芸術的とも、科学的ともいえる大きな発展や発明を担うことができたのでしょう。
ネット時代になって、情報が錯綜し、正負入り乱れる情報の海で難破する方も多く見うけられると思います。情報の海に溺れないためにも、ぶれない一つの視座がほしいところです。本当の“知”とはどんなものか、お時間のない方は最終章だけでも読むことを強くお薦めいたします。 -
[ 内容 ]
歴史を動かしてきたのは、政治や経済だけではない。
数学的知識、暦の作り方、冶金技術など広い意味での「理科力」こそ、人間を人間として進歩させてきたものなのだ。
縄文時代の天文学、世界最高水準の技術で作られた奈良の大仏、古代日本人の数学的センスがかいまみえる万葉集。
ギリシア以来の「アルス」のあり方…。
人類の「これまで」と「これから」を理科の視点から眺望する。
[ 目次 ]
第1章 縄文の空の下で―天、地、数
第2章 古代文化の形成と科学―鉄、数詞、記数
第3章 現代数詞の成立―日本語創成の中で
第4章 金銀銅の社会史―取り尽くされた鉱物資源
第5章 数遊びの東西―数比、魔方陣に見る理性と感性
第6章 アルスの世界―科学と芸術の原点
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
視点が面白かった。著者の意見がどのような評価なのか知りたい。
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学問に理科も歴史もありません。学問として、広く捉えます。
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100606朝日新聞書評
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ユーラシア大陸には岩塩があったからアフリカからの人類の移動を受け入れられた…なんて、これまで考えたこともなかった。岩塩がなかったら歴史は変わっていたってことですね。
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科学と歴史というのは以外に相性が良い。気候の変動や病原菌の突然変異、穀物類の植生等は、それだけで人類の歴史を大いに左右しうるわけで、そういった観点から歴史を読み直すのが、最近はやっているらしい。「銃・病原菌・鉄」など世界的な名著もある。
本書もその流れを汲んでおり、日本の歴史を「理科」的な視点から再構成してみようという試みは非常に立派。実際、それを本職の先生がやれば面白い本ができるのは間違いないと思うのだけれども、本書の場合は著者が物性物理学の先生なので、いわゆる「余技」に過ぎない。余技でも一級品に昇華できていれば良いのだが、いささか消化不良気味でした。 -
タイトルに期待して購入したけれど、「理科で」という感じはあまりしない本だった。むしろ歴史的要素が強い感じ。
ただ途中まではとても面白く、「理科」ないし「社会」のどちらかの知識があれば、その知識がうまくつながっていくような知的興奮が得られると思う。
ただ最後の二章は付け足しのような感じ。せっかく途中まで盛り上がった気持ちが冷めてしまうようにも感じた。