ナビゲート!日本経済 (ちくま新書)

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著者 : 脇田成
  • 筑摩書房 (2010年1月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480065285

ナビゲート!日本経済 (ちくま新書)の感想・レビュー・書評

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  • 『ナビゲート! 日本経済』

    【書誌情報】
    シリーズ:ちくま新書
    定価:本体760円+税
    Cコード:0233
    整理番号:825
    刊行日: 2010/01/05
    判型:新書判
    ページ数:256
    ISBN:978-4-480-06528-5
    JANコード:9784480065285
    在庫 ×

    日本経済の動き方には法則がある。それは「体質」といってもいい特性である。経済はどう動き、どう認識され、そして時にどう「誤診」されるのか。それをよく知れば、地価や株価の変化を察知し、予想外のショックにも対応できる。本書では、さまざまな経済データを用いて「病状」を読み解き、不景気の病因を「診断」し、経済学で「治療」を試みる。大局的な視点から日本経済の過去と未来を整理する、信頼できるナビゲーター。
    http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480065285/


    【抜き書き】
    □pp. 69-70
    “   処方箋③ 訓練強化が本当に望ましいのか
     正規雇用と非正規雇用の格差を是正するために、労働者の訓練強化が主張されます。たしかに前向きの方策で、一見良さそうです。しかし筆者は、この主張に疑問をもつようになってきました。このような処方箋はもはや有効な段階を越えているのではないでしょうか。
     厚生労働省は麻生政権時より2009年度補正予算に盛り込まれた職業訓練の拡充を始めると発表していました。最初は2000人規模でのスタートとなる見通しですが、厚労省は初年度に10万人、3年間で35万人の訓練枠を見込んでいたそうです。雇用保険を給付できない人に職業訓練中の生活費を月10~12万円給付し、希望者にはさらに5~8万円を貸し付ける仕組みも始め、3年分計7000億円が補正予算に計上されていたそうです。
     訓練の内容は基礎学力の向上などに6ヶ月をあて、さらに医療や介護、情報技術、農業など分野別の演習を3~6ヶ月受講するコースや、パソコン講習を3ヶ月受けるコースがあります。厚労省はすでに企業や各種学校、非営利団体(NPO)など訓練を担う民間施設の募集を始めたそうです。
     2000人から大きく飛んで35万人(ほとんど製造業派遣労働者全体にあたります)、その後100万人(!)に修正という試算や、基礎学力からパソコンに飛ぶ計画もあまりに総花的でよく分かりません。もともと訓練補助といっても、一時は英会話教室のNOVAやフラワーアレンジメントの講習に補助を出していたように、なかなか有効な手立ては見つけにくいことが認識されています。”


    ※71頁の絵に付されたキャプション 「ネタ切れの職業訓練:フラワーアレンジメント」


    □pp. 71-72
     “世の中には物的な生産性がなかなか上がりにくいが、清掃業や配達業など人手に大幅に頼らざるをえない職業も存在します。現在、問題になっている介護もようでしょう。このような職業に従事する人々に、訓練を促し高生産性業務への移動を望むよりも、巨額の訓練費用(7000億円)や生活費補助の原資を使って、介護などの不安定な環境と低賃金を少しでも是正する方が急務ではないでしょうか。いささか過激な言い方ですが、厚労省自体が貧困者を食い物にする「貧困ビジネス」を行っている、といわれないようにしてほしいものです。”



    【簡易目次】
    目次 [00-006]
    はじめに(筆者) [007-010]

    第1章 景気「診断」と「治療」 011
    第2章 「平熱」と「発熱」――経済政策のインパクト 039
    第3章 「病状」の進行――経済の基本リズム 085
    第4章 「モルヒネ」としての金融政策 117
    第5章 「病巣」の「転移」と「再発」――金融危機への波及 153
    第6章 「手術」の成功と「リハビリ」の失敗――小泉構造改革 191
    第7章 「老化」と「生活習慣病」――これからの日本 223

    おわりに(脇田成) [244-245]

  • 経済を病状に例えているのが分かりやすい。

  •  日本経済の現状について、「わかりやすく」「説得力」がある本は数少ないが、本書はその少ない本の一つと思えた。
     経済の短期の動きの「サイクル」と長期の動きの「トレンド」。「輸出重視」と「内需重視」の視点。「労働市場」と「非正規」の取り上げ方。
     どれをとってもわかりやすいし、昨今において安部政権が「賃上げ」を経済界に異例の要請をするなどの状況を踏まえると、「輸出」で「種火」に火をつけて「内需」で「所得から消費という経済の第二段階に火をつける」という本書の視点には実に説得力がある。
     しかし、経済とは本当にこんなにわかりやすいものなのだろうか。
     だとしたならば、「円安」で輸出を増やし、非正規などなくす「労働市場の改革」をおこない、消費を増やせばいいだけの話なのだが…。
     それが実は難しいということなのだろうか。本書は、昨今よんだどの本よりも興味深かった。

  • 短期、中期、長期の経済の3つの波を一時的な風邪、慢性病、老化と見立て、一時的な風邪と老化では治療法が異なるため、それぞれの状況に応じた適切な診断を施していこうというのが本書の趣旨。金融政策、財政政策も、日本経済の状況をみながら適時適切に処理していかなければならないということ。当たり前のことかもしれないが非常に大切な視点と感じた。これまで日本政府は円高対策として低金利政策をとり、ひたすら安売り狙いの輸出産業優先でやってきたが、過大な金融緩和はバブルを呼びバブル崩壊が齎した過剰設備は長年にわたり日本経済を苦しめることとなってしまった。景気のサイクルを超えて金利を下げっぱなしであった金融政策は、効果に耐性を生ぜしめ、緊急避難策としてはともかく標準的なマクロ政策としては有効性を失わせてしまった。また、2003年の不況時に政府の円高介入がなければ円キャリートレードという問題はなかったかもしれない。また、2005年から2007年にかけての景気拡大局面においては利潤を賃金に回さず投資に回してしまったため、過剰設備を生み結果的にはこれが日本に大損失を齎すこととなった。製品価格は低下し物価を急速に下落させ賃金低下とデフレを引き起こした。不良債権問題に対して小泉改革は有効な手術を施したが、家計に所得を返さず企業の内部留保を高めただけであったため、消費は低迷し企業を過剰投資に苦しめることとなった。日本経済は過剰投資の結果、企業の資本収益率が著しく低い。少子高齢化にある日本で、もはや過剰投資と企業優遇を繰り返す余裕はない。一刻も早く正道に戻さなければならないのだが。

  • 本書のポイントは、経済を見るときに長期的な「トレンド」と短期的な「サイクル」を区別することだ。

  • [ 内容 ]
    日本経済の動き方には法則がある。
    それは「体質」といってもいい特性である。
    経済はどう動き、どう認識され、そして時にどう「誤診」されるのか。
    それをよく知れば、地価や株価の変化を察知し、予想外のショックにも対応できる。
    本書では、さまざまな経済データを用いて「病状」を読み解き、不景気の病因を「診断」し、経済学で「治療」を試みる。
    大局的な視点から日本経済の過去と未来を整理する、信頼できるナビゲーター。

    [ 目次 ]
    第1章 景気「診断」と「治療」
    第2章 「平熱」と「発熱」―経済政策のインパクト
    第3章 「病状」の進行―経済の基本リズム
    第4章 「モルヒネ」としての金融政策
    第5章 「病巣」の「転移」と「再発」―金融危機への波及
    第6章 「手術」の成功と「リハビリ」の失敗―小泉構造改革
    第7章 「老化」と「生活習慣病」―これからの日本

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    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • ゼミで使った本

  • 2010.4.22

    日本経済の全体像をみたいなと思ってたから、ちょうど良かった。

    金融緩和→金余り→不動産投機
    輸出主導の好況→家計の消費に点火できず

    短期、中期、長期の問題を分類すること。
    企業の内部保留を賃金にまわしていく。
    少子化対策。

  • 初心者向けということですが、少し経済学をかじったことがある人向けでしょう。各章ごとにテーマが設定されていますが、その結論がわかりにくいところも多い。まず1章と最終章を読みましょう。
    そこまでおすすめはしませんが、新書で安価ということで買っても損はないかも。

  • ナビゲート!日本経済 難しい・・・。とりあえず、景気には2段階あるということ、少子化対策が必要だということを言いたいことが分かったような気もする。 http://bit.ly/dofSDv

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ナビゲート!日本経済 (ちくま新書)の作品紹介

日本経済の動き方には法則がある。それは「体質」といってもいい特性である。経済はどう動き、どう認識され、そして時にどう「誤診」されるのか。それをよく知れば、地価や株価の変化を察知し、予想外のショックにも対応できる。本書では、さまざまな経済データを用いて「病状」を読み解き、不景気の病因を「診断」し、経済学で「治療」を試みる。大局的な視点から日本経済の過去と未来を整理する、信頼できるナビゲーター。

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