日本語は亡びない (ちくま新書 834)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480065407

作品紹介・あらすじ

昨今、日本語の存亡を憂う言説で溢れている。しかし、本当に日本語は亡びるのか?外国語としての日本語は活気に溢れ、学習者は約三〇〇万人に及ぶほど、未曾有の日本語人気に沸いている。インターネット時代の英語の圧倒的優位が叫ばれているが、庶民の間では現在も将来も、日本人の生活語は日本語だけに留まるであろう。庶民に支えられている日本語を見つめることから、大胆かつ繊細に、日本語の底力を徹底的に解明する。

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。「日本語が亡びる時」という本に対する反論。日本語が上手に外国語を取り入れていること、英語の「主語」がないと成立できない、というところが、実は世界平和にとっては大きなマイナスであり、日本語のように、そこをあいまいにしたままで話がすすめられる言語こそ、これからの世界平和に貢献できるのではないか、という話、面白かった。英語こそ、亡びそこなったクレオール語なのだ、ということは、なんとなく実感するものがある。「雪国」の冒頭を英訳したものを外国人に聞かせ、その情景を絵に描かせると、上空から山とトンネル、汽車そ描く絵ばかりだった、というのも面白かった。

  • 新書としてはバツグンにおもしろい。日本語という言語の深さに目覚めた。二人のみゆきの分析も見ごと。

    ・品詞上の免疫、基礎語彙の免疫、表記上の免疫、発音上の免疫
    ・2モーラの不思議
    ・歴史的に死にかけたのは英語の方
    ・主語が必須の言語(=人間中心)の方が少ない。ほとんどは主語は必須でない言語(自然中心)。
    ・英語文法を日本語文法の下敷きにした学校文法はダメ。
    ・「ただいま」と「おかえりなさい」の美しさ。
    ・広島と沖縄
    ・善と悪との二元論は子どもっぽい(英語の世界)。
    ・SVO構文はSのOに対する支配となって現れる。「力」と「正義」が。
    ・西田幾多郎:述語とは主語も客体も含まれている「場」

  • 第1週 1/11(水)~1/18(火)
    テーマ「日本・日本人・日本語」

    ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00172250

  • 読む必要があったので、期待せずにさーっと読んだ感じですが、言語学的なとこが新鮮で意外におもしろかった。確かに「英文法式日本語文法」は無理がある。だって日本語にはS(主語)がないんだもんねー。あと活用の話も納得。新書だからだけど、色々学んでると「もう知ってる」ことが多かった。でも飽きずに読めるし、入門書としては◎。

  • 実家に帰ったらころがっていたので読了。

    日本語の構造について、知識不足だっため、新鮮な記述が多い。

    明晰で読みやすい文章。主語がなくとも成立する日本語。雪国の文章を英訳すると視点が変わること。
    外来語の取り込み方を免疫に例えるのは納得。

    現代日本文学は豊穣だと感じているので、著者に共感。

  • [ 内容 ]
    昨今、日本語の存亡を憂う言説で溢れている。
    しかし、本当に日本語は亡びるのか?
    外国語としての日本語は活気に溢れ、学習者は約三〇〇万人に及ぶほど、未曾有の日本語人気に沸いている。
    インターネット時代の英語の圧倒的優位が叫ばれているが、庶民の間では現在も将来も、日本人の生活語は日本語だけに留まるであろう。
    庶民に支えられている日本語を見つめることから、大胆かつ繊細に、日本語の底力を徹底的に解明する。

    [ 目次 ]
    第1部 日本語は亡びない(水村美苗『日本語が亡びるとき』を読む;日本語は乱れているか;日本語を守る「堀川」―五つの免疫効果とは;「死にかけた」のは英語の方―歴史的検証)
    第2部 日本語を発信する(偽装する日本語;日本語文法と世界平和―日本語の世界観)
    第3部 二人のみゆき―日本的視点の表現者(宮部みゆきの下町;中島みゆきの地上;ハーンの憂い、クローデルの祈り)

    [ POP ]


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    [ 参考となる書評 ]

  • 貧弱な日本語は英語に負ける運命にある。
    特に蒸気機関と電気の力が生き渡ったら日本語では西洋の科学など学べない。
    人間中心に変わったのは英語やフランス語など西洋語の方であり、日本語を含む世界中の大半の言葉は今だに自然中心の構造をしている。
    人間を人間たらしめるのは国家でもなく、血でもなく、その人間の使う言葉である。

  • 『日本語が亡びるとき』の、著者の体験や主張の方法・方向性に同意できなかったので勢いで手にとった本。

    冒頭部分はちょっと不必要に『日本語が亡びるとき』への意識が見られるけれど、中盤以降は自身の研究の成果などをうまく伝えられていたと思う。

  • 面白い、なかなかワクワクしながら読みました。水村美苗さんの「日本語が…」は読んでいませんが、あたしもどちらかというと、この著者の側の意見なので、より面白く感じたのかもしれませんが。

  • 日本語は亡びない。日本語が亡びない理由。日本語が英語やフランス語と違うところなどをわかりやすく説明してくれています。

    詳細はこちら。
    http://blog.livedoor.jp/oda1979/archives/2630941.html

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著者プロフィール

1951年北海道生まれ。東京大学教養学部卒業。ラヴァル大学で修士号(言語学)、モントリオール大学で博士号(言語学)取得。専門は類型論、日本語教育。
カナダ放送協会国際局勤務、モントリオール大学東アジア研究所日本語科科長を歴任。
著書に『日本語に主語はいらない』『日本語文法の謎を解く』『日本語が世界を平和にするこれだけの理由』などがある

「2019年 『日本語と西欧語 主語の由来を探る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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